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学校長先生

 入学式なんてどこも同じかと思ったら違った。

 受付をおばあさんと一緒に済ませ,学生の証のリングを貰った。一人一人違う意匠で作られているというリングは,あたしのには龍が刻印されていた。何で龍?

 

「イシュのは何だったけ?第一してたっけ?」

ぼそっとつぶやいたら,受付の女の子が,

「イシュ?イシュさんのおうちの方ですか?」

って目をきらきらさせて聞いてきたんだけど。

「そうよ。」

おばあさんが答えてる。


・・・・・


歩きながら,

「イシュってリングしてましたっけ?」

って尋ねたら,おばあさんはにこにこしながら頷いた。

「してますけどね。指にすると邪魔だって言って首からぶら下げてますよ。」

そうだっけ?首のきっちりしまった服を着ているこの辺りの人の胸もとなんて分からないよね。

「イシュのはどんな意匠のリングなんですか?」

「龍ですよ。我が家の意匠は龍なんですよ。」

なるほど・・・あたしの印じゃないんだね。ちょっとほっとしたわ。


 おばあさんはそれから廊下をどんどん進んでいる。

一つの部屋の前に来るとドアの小さな窓のようなところに手を入れた。何だろう?


 やがてドアがぎいっと開いた。

 おばあさんはためらわず中に入っていく。あたしもおそるおそる中に入った。

「ローティさん,よく来なさったね。」

「お久しぶりね。ブライトさん。」

おばあさんの名前はローティって言うんだ。初めて知った。

椅子から立ち上がった人は,おばあさんと似たような年回りの女の人だった。

「そちらがこの前ブラウさんが言ってた美優さんね。」

ブラウ?もしかしたら爺さんのこと?・・・・だった。


 この人は学校長なんだって。あたしの秘密も爺さんが来てしゃべってったそうだ。あのジジイ!!!

「龍と合体してしまった異世界の人ってことで良いのかしらね。」

「不本意ですけれど。」

渋々認める。

「もちろん誰にも言いませんよ。安心しなさい。」

 それからこの学校についていろんなことを教えて貰った。おばあさんもこの学校を出ているんだって。なんだ。身近なところに魔法使いがいたんじゃん。黙ってるから分からなかったよ。


「美優さんのことは,龍の加護を持つ生徒として先生方には周知して貰っています。」

ブラウ校長先生が言うから,どういうことかな?

「それって?」

聞き返すわね。当然。

「突然龍が現れても,美優さんを守るために現れたと思って貰えるでしょ。」

おばあさんが答えてくれた。なるほど・・・

「安心してくしゃみできる・・・」

「あらあらだめよ。学校が壊れるわ。」

おばあさんが慌てて言った。冗談ですよ~くしゃみは極力我慢・・・できるかなあ??

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