風呂に入る時は裸だろう?
「わっ」
叫び声でイシュがやってきた。
『どうした?』
狐がのたうち回ってる・・
『おまえなんかしたのか?』
『胸に着いてた龍の涙を取っただけだよ。』
・・・・・狐はやがてぐったりして・・・何だか形を変えていく・・・
「?」
『人?』
『狐?』
やがて狐は人と狐に分かれた・・・
ぴくりとも動かない・・・
『まさかまた死んじゃったの?』
『いや。息をしているぞ。』
『無理な分離・・・こやつはずっと眠っておることじゃろうて。』
・・・
『ええええ~~~~』
『おまえってひでえ奴。』
『ある意味,助けてやったことにもなるじゃろう。』
『死んじゃうのに?』
『こやつの命は後数週間だったのじゃ。狐の生につられていたが上にな。だが,人に戻れたからにはもっと生きることが出来ようぞ。』
『でも目を覚まさないんじゃ駄目じゃないの?』
『いつかは目覚めようぞ。』
『死ぬ前に?』
『・・・多分・・・』
あんまり安心できない情報だよね。
・・・・・
『ライトにはどうしたら良いのかな?』
『龍の涙が二つそろった今となっては,分離は用意であろうさ。』
『あたしとドラヘも?』
『それはどうじゃろう。』
『俺とフラメは?』
『それもどうじゃろうかな・・・』
・・・・・
とりあえず,あたし達はこの部屋を後にした。
考えてても仕方ないし,乱麻達のことも心配だからね。
二人して階段を滑るように移動する・・・
『ここは実験棟なのじゃ。』
『実験棟?』
『学校じゃからのう。向こうには教室棟もあるのじゃが,妾は残念ながら行ったことがないのじゃ。』
なるほど・・・それで造りが違ったのか。
『美優,紫電から通信が入っておるぞ。』
『あ・・・はい。美優です。え?イシュ?大丈夫だよ。ここに一緒にいるよ。それより乱麻はそっちに着いた?』
『今帰って来て,イシュ様のことを心配しています。それと,ライトの様子が変なんです。』
『分かった。今すぐ戻る。』
転移だね。イシュは行けるかな?
念のため,イシュの手をつかんで素早く転移する・・・
・・・・無事,着いた・・けど・・・
「乱麻。その格好は?」
「はあ・・・犬に追いかけられて・・」
「それだけでそんなになるのか?」
「どぶに落ちて・・」
『それだけではなかろう?』
「はあ・・・どぶから上がってきたところを馬が通り過ぎて・・・」
『で?』
「また落ちました。」
「お風呂は?」
「ここの風呂は,夕方しかたてないんです。」
紫電先生の言葉に,こんな格好でいることには納得したけど・・・臭い。
あたしは水の塊を思い浮かべた。空中に水が出現する。
『妾が湯にしてやろう』
イシュの口から漏れた女性の言葉に乱麻も,紫電先生も,ライトも驚いている。
「俺も龍の籠を受けたんだ。」
仕方なしにイシュが教えている。同化したなんて言えないもんね・・・ふふん・
ほどよい湯になったところで
「おい。美優。部屋を出ろ。」
「なんで?」
「風呂に入るには裸だろう。」
「ああ。そしたらイシュも出なさいよ。」
「なんでだ?」
「フラメは女性だよ。」
・・・・
その顔・・・ぐ・・・ふふふふふ・・・・




