学校の中は?
お腹減った・・お腹減った・・・ぶつぶつ・・・あたしは老人の後を付けながら呪文のように唱え続ける・・・
・・・
『何が食いたいのじゃ?食いたい食い物に,来いと念じて見ろ。』
そりゃあ・・・お母さんのおにぎりだよ。お・・口の中に小さい何かがが入ったのが分かった・・・
・・・え。うそ・・・お母さんの梅おかかおにぎりの味だ。こんな体では味わえないよ。あたしは龍から人型へ変化した・・・今度はおにぎりがあたしの手の中に出てくる・・・おかあさん・・・・・梅おかかの味は・・・
・・・・・感激している間にも,老人は一つの部屋に入っていった。もちろん食べながらあたしも・・・
部屋の中には黒ずくめの服の男(?)がいたんだ。
「老師,子ども達は?」
男の声だね。
「小部屋に押し込んでおいた。今頃は夢の中じゃろうて。」
男は,頷いたよ。
「大事な実験材料です。逃がさないように願いますよ。」
「わしの腕を疑うというのか?まだ若造には負けんぞ。」
男は椅子を勧めたよ。どっちが主犯?若造の方?
『若造の方だな。老人は良いように踊らされていると見た。』
二人の会話を聞きながら3つめのおにぎりを食べる・・美味しいはずのおにぎりがだんだん美味しく感じられなくなってきた。人権をどう思ってるの!!!腹が立ってきたわぁ!!!
これ以上聞いてたら,この二人を潰しちゃいそう・・・ここにいて聞いてるのも必要なんだろうけど,学校の中を探ってくることにする。
二人の会話から,明日の夜まで子ども達は眠っているはずだと言ってたし,明日の夜から実験に使うって言ってたからね。実験って何する気なんだろう?ライトみたいにしちゃうのかな?もしかしたら,ライトを作り出したのはこいつら?最初から大当たりって事?
『可能性はあるな。』
『こいつら締めた方が良い?』
『先に,学校の中を確認しに言った方が良さそうじゃ。ここに,ほれ。日本にあったじゃろう?録画できる装置を置いていけば良いぞ。』
『龍が録画?境内で見てたの?』
『たまにはテレビも見たぞ。』
・・・・
あたしは腹の立つ会話をしている二人を残して部屋を出た。真夜中過ぎ・・・ほとんどの普通の人は眠っている時間。この学校には関係ないみたいだった。あちこちの部屋に灯りがともり,忙しく何かしている・・・
『いつ寝てるんだろう?』
学校の中を歩いているうちに,普通の教室が並んでいるところに出たよ。ここなら学校って感じがする。ここは誰もいなかった。広い学校だね。後で分かったんだけど,あたし達が最初に着いたところは,学校の実験棟だったんだ。こっちは授業棟。明け方の学校にはもちろん講義する人もいなくて・・・がらんとした大小の教室・・・見て回っていると,だんだん机や椅子が小さくなってきた・・
『これって小学校?』
『そうじゃな。小さい子もここで学んでいるんじゃろうな。』
『小さいうちから偏見を植え付けようってのか・・・でも小さい子達は昼間通ってきてるのかな?』
あたしも疲れてきた・・何かあったらイシュは連絡くれるよね?あたしはイシュを思い浮かべた・・・部屋が見えてきた・・・お・・・これ便利。イシュ・・・よく寝てるね。寝ていると結構可愛いじゃない?部屋の中にはあの変なもやが漂ってるけど,イシュと乱麻はしっかりガードされている。同じ龍が見たらばれちゃうそうだけど,今のところは大丈夫そう・・・だよね?
救護室のような所を見付けた。ベットがあるね。しめしめ・・・何かあったら目覚められるように・・・自分に魔法をかける。それからあたしはベッドにもぐりこ・・・めない。空になってるから・・・あらら・・・とりあえず・・・布団は掛けられないけど。ふわっとベッドに乗ることは出来るからよしとするか・・
とりあえず,おやすみなさい・・・




