地下にあるものは?
そっとイシュの側に行き,声をかける・・・
『姿を現して良いの?』
スシュ。ほっとした様子が良く分かるよ。ふっふっふ・・
『うまくごまかしてある。』
ごまかすって?
『どうやったの?』
『こいつの兄の振りをしたんだ。』
だまされるんだ?
『よくばれなかったね。』
『ああ・・乱麻があそこで紹介されてた時にいた者が,誰も残ってなかったからな。』
なるほどねえ。
『美優様。』
『なに?乱麻。』
『美優様はどうなさいますか?』
心配してくれるんだ。思ったよりずっといい奴じゃないのさ。
『大丈夫だよ。ドラヘがついてるからね。紫電先生の所にもこれから連絡するしさ。』
乱麻も体の力が抜けたみたいだね。
『ありがとうございます。』
『なんのなんの・』
さてっと・・・ところで・・・
『ここはどこ?』
『分からん。』
即答なの?ここまでどうやって来たかも覚えてないのかな?
『ああ。めまいがしたと思ったら,・・ここだった。』
『それは結構大きな魔法じゃな。だが,痕跡を消せないようではの。』
『消せないようでは?』
『未熟者の仕業・・もしくは道具を使っているとしたら,道具の使い方が良く分かっていない者の仕業と言えような。』
・・・でここはどこ?・・・
『ここは学校の中じゃな。』
『魔法学校?』
イシュが聞く・・・
『間違いない。』
ドラヘが言う・・・イシュのご両親かもしれないライトがいたという所だよね。何か手がかりがありそうだよね。解決もするかもしれないし・・・・・
でも,魔具を集めている義賊を装った窃盗団・・・学校とどんな繋がりがあるんだろう?イシュも少し難しい顔をしてるね。
・・・
不意に顔を上げたイシュが,
『そういや龍の涙は?』
って聞いてきた。えっと・・・あ・・あたしが・・・
『持ってるよ。』
そう答えたら,
『おまえが泥棒?』
だって・・・
『人聞き悪い。預かってるだけさ。』
・・・そのとき,なにやら変な力を感じた・・・何?
あたしは周りをぐるりと見渡した。何だろう?このもやっとした感じは?
『魔力じゃな。これは人の心を惑わす力がありそうじゃ。美優,イシュと乱麻に防護をかけておいた方が良さそうじゃ。』
『どうすれば良いの?』
『おまえの力で包んでやれば良い。』
あたしは二人の周りにバリアーを張った・・・他の子ども達はどうしようか・・・二人にバリアーを張ったことを知らせ,周りの子の様子を観察するように伝える・・・
やがて・・・一人の老人が部屋に入ってきた。子ども達は頭を垂れるから・・・イシュ達も習って頭を垂れた・・・何か言っているに違いない。操られた者にしか聞こえないみたい。あたしにも聞こえないから・・・どうしようか?しかたないな・・言葉が伝わるように少し操作する・・・
子ども達は一斉に頭を上げて,ぞろぞろと移動を開始した・・・どこに行くんだろうね?
『なんか不安だぜ。』
知らん顔して後を付いていきながら,イシュがつぶやいてきた・・・
『そうだね。見てる方も不安だよ。』
あたしはのんびり後ろから付いて行く。龍の姿のままだし・・・空になってるから,すかすかといろんな所を通りぬけていく・・・廊下も部屋もかすって通る・・・実験している部屋・・・なにやら唱えている部屋・・・眠っている人がいる部屋・・・ううん・・・見たくないものも見てしまいそうだね。
一部屋に入れられた子ども達は,そこで眠るらしい。思い思いに毛布を受け取りそこここに転がって寝る・・・らしい・・・。何だ?ちゃんとした寝室に入れないんかい?ちょっと腹が立ってきた。真夜中過ぎだよ。子どもだよ。何で床に転がしとくかなあ!!!もうこれだけでここの奴等の考えが分かろうってもんだね。
イシュが乱麻と寄り添うようにして寝転ぶのを見届けてから,
『ちょっと周りを見てくるね。守りはしっかり付けてあるから大丈夫だと思うけど,何かあったらすぐ知らせてね。』
『おう・・・』
ずいぶん眠そうだね。そういやあたしも眠いかな。お腹も減ってきたんだけど・・・
『ねえドラヘ。ここってなんか変だよね。』
『ああ。何とも言えない雰囲気だな。特に・・地下から何かの力を感ずるぞ・・・』
『悪い力?』
『そうかもしれぬがそうでないかもしれぬ。』
どっちだい!!
『行ってみた方が良いよね。』
『うむ・・・』
でも・・・すっごくおなかが空いてるよ。何とかしてからじゃないと,倒れちゃうよ。
地下よりまず食堂だ・・・
おや・・・あの老人だ。何してるんだろう?
コツコツと前を行く老人を見付けちゃった。ここは後を付けるしかないよね。
でもお腹が空いた・・・




