イシュ,大丈夫?
行く先にはまるや・・・大きな食堂・・・旅館だね。そこに入っていく・・・あたし達も・・・
子ども達はそれぞれ部屋に散らばった・・・大人が一人,食堂に・・・水槽の中に手をいれる。あたしは青い石を自分の手元に引き寄せた。そっとポケットにしまって・・・残りの石を全て青く変える・・・大人は水槽の中を小さな灯りで照らし・・・驚愕の表情だね。全部青いんだからね。躊躇しながら全ての石を持ってくことに決めたみたい。袋にざらざら入れてるね。でもけっこうな水音が・・・・・・
「だれだっ」
叫ぶ声がした。
がたがたがた・・・・子ども達が一斉に外に走り出ていく。
『イシュ,子ども達を頼んだわ!!!』
あたしは石の入った,水のしたたる袋を持った男を押さえつける・・・
ぱっと灯りが付く・・・袋ごと床に縫い付けられてる男は・・・従業員の人?宿泊してる人かな?そのひとたちに捕まったよ・・・そこまで見て,またあの家に飛んで戻る・・・子ども達もイシュもまだ町を走ってた。遠くから,怒声が聞こえるね。まるやの方角からだよ。きっと警備の人達がやって来る物音だよね。
家に着く頃には,遠くから犬の吠える声も聞こえてきた。まさか?警察犬?家に入ろうとした子ども達の前で,家の門は固く閉ざされたよ。子ども達は口々に
「開けて,」
「入れて」
って叫んでるけど・・
そのうちに犬と一緒に沢山の警備の者がやってきた。まずい。イシュも捕まっちゃう。あたしはイシュをすくい上げて乱麻の待つ部屋に飛ばした。これで安心。
「こらっなにしてるんだ!!!」
「おまえ達,今まるやに入った泥棒だな。」
口々に叫びながら警備の者達は子どもに襲いかかっていく・・・・子ども達は全員,警備の者に捕まってしまった。
その後・・家のドアをどんどんたたいて中の者を呼んでいる。どうなるのかね?
中からは誰も出てこない・・・
でも,子ども達は口々に
「入れて!!!」
「助けて!!!」
悲痛な声だね。泣いてる子もいるよ。仕方ないよ。泥棒だもん。自分たちは義賊だって思ってたかもしれないけど・・・しょせん人の物を盗む奴・・・罪がないはずがないって思わなかったのかねえ・・・
とうとう警備の者が扉に体当たりし始めちゃった。まずい・・・あたしは家の中に入って乱麻がいるはずの部屋に急いだ。
廊下にもどの部屋にも,誰もいる気配がないんだけど・・イシュはどうなったの?ほんの5分くらい前のことなのに何でいない?あたしは少し焦りはじめっちゃった。
『空間にゆがみがある』
ドラヘが教えてくれた。
『え?それって?』
あたしは立ち止まってきょろきょろ辺りを見回した。どこのこと???
『おそらく誰かがゆがみを利用して転移したに違いない』
どこにゆがみがあるの?そしてみんなはどこにいったの?
『どこに行ったか分かる?』
『このままゆがみに乗っていけば追いつけるだろう・・・』
『ゆがみのありかは?』
『庭じゃ。』
・・・・・
あたしは空のまま,ゆがみに乗って,イシュの所に行けって念じた。
クラリと目の前がゆがむ・・・今まで転移してきて初めてだよ。
『どうなっちゃうの?』
『人の魔法に乗るのは初めてじゃから,変な感じがするのじゃ。』
信じて良いんだろうね!!!
次に降り立ったのは,なんか薄暗い洞窟の中だった。向こうに人の気配がする・・・数人で移動してるみたい。近づいて驚いた。イシュ。姿を現してる・・・大丈夫なのかな?
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