あれは?
むかつくなあ・・・頼まれても手出ししないって・・・
・・あれ?あたし・・・手出しして欲しいの?まっさかあ~~
・・・寝よ寝よ・・・・ぐう・・・
夢の中であたしはバッターボックスに立っている。ピッチャーがあたしに向かって球を投げる・・・あれ?消えた?魔球?ピッチャーの顔は見えないけれどなぜか,にやって笑ったことだけは分かった。また投げてくる・・・見えなくてもいいや。あたしは思い切りよくバットを振った。こっき~~~ん・・・球はどこまでもとんでいく・・・あたしは,走り出した・・・走っても走っても・・・ベースは見えてこない。なんて広いの???
はっ。あたしはがばっと起き出した。何だったんだろう?
体がむずむずする。あたしは立ち上がってテントの外に出た。
外で姿を消し,白龍の姿になって,ううんっと伸びる・・・白い花が降ってくる。これって気付かないうちに,あたしがしてるみたい。
少し寒いくらいの気温。空には星・・・今まで見たどの空より星が多い。知っている星座・・・はもちろんない。どこまでもきらきら光る星・・・天の川にようなものはないけれど,星を見ていると吸い込まれそうだね。おや・・・その空をこれから向かう方向へ,何か黒い影が移動している。何だろう?空を行く?龍か?それとも飛行船?
『ドラヘ?あれは何?』
『・・・どれじゃ?』
『あの空の影だよ。』
『・・・・・』
・・・・・
『フラメ』
『フラメ?』
『炎の龍』
・・・
『まさか?』
『多分召還されてここにおるのじゃろうな。』
『帰してあげることは出来ないの?』
『出来ん。』
『私と同じように?』
『そうじゃ。』
『することしないと帰れないって訳?』
『そうじゃな。』
・・・
『もし,酷いことを命令されてても?』
『そうじゃな。』
・・・・しゃくしゃくと花を食べながら考える・・・
『もしかしたら・・・』
・・・あたしは怖いことを考えちゃった・・・
『召還主が死んだら・・・』
『・・・命令は宙に浮き・・・召還された者は,どうして良いか分からなくなるじゃろうな。』
『それって良いこと?』
『どうじゃろうか。』
・・・
たとえば・・イシュがいなくなれば,あたしの制約はなくなる?でも・・・帰れるんだろうか?また,イシュ・・縛る者がいなくなっても,制約そのものに縛られてしまっているとしたら・・・それはそれでつらいかも・・・
『フラメは性格はきついが,悪いことは大嫌いなんじゃ。どこのだれにとらわれているか分からんが・・・悪いことをさせられそうになっているのなら・・何とかしてやりたいものだがな・・・どうにもならんじゃろうて。』
『なぜ?』
『美優は人を傷つけることは嫌いじゃろう?』
『うん・・・』
『だからじゃよ。』
『あたしには,フラメの成約者を殺すなんて事は・・出来ないって事ね?』
『そうじゃろうな。』
『殺せなくても,改心はさせられるかもしれないよ。』
・・・
『夢物語か?』
『本気だよ。』
しゃくしゃくしゃく・・・花はだんだん減っていく・・・




