あの人は?
これからのことを相談することになった。
潜入は計画通り。
どこまで?
向こうの城まで。
どのようにして?
着々と見直しと修正は行われる。
おばあさんは,あの人につきっきりでいろいろ話を聞き出そうとしてるみたいだ。
時々男になったり,戻ったりしてるみたい。あんなに交代してたら・・働いてる時,不便じゃなかったのかなあ?
『ころころ変わるのは,ここに来てからだ。』
『何でかな?』
『国境をまたいだからだろう。』
「この国に来たからと言うことか?」
イシュが聞いてくる。
『おそらく。』
ドラヘの返事は,確信したものではなさそうだよ。少し迷ってる感じがするね。
『ドラヘでもよく分からないの?』
『気配がするのじゃ。』
『何の?』
「まさか,赤龍の気配とか言わねえよな?」
紅白か???
「赤龍って?」
「炎の龍だ。呼び出すなら,白龍か赤龍。俺が選んだのは白龍だが・・・赤龍の方が,気性が荒く,操るのが大変だそうだ。」
・・・
「操るですって?」
聞き捨てならないことを言ったわね。
「・・・っ・・その頃はそう思ってたんだ。今は違うぞ。ちゃんと人格は認めている。いや。龍だから龍格か?」
「あたしの人格は?」
「認めている。」
「ならよし。」
その間にも話はどんどん詰められている。あの人のことも当然話題に乗る。
「イシュ様にそっくりと言うことは,ご親戚の可能性も捨てられません。」
「しかし・・ここに留め置いても,どうなるわけでもありませんぞ。」
「城に?」
「いや。それはあまりにも冒険ではないか?」
・・・・ふうん・・・
『やっぱり,イシュの両親なの?』
『可能性は高い,としか言えんな。』
『赤龍に関しては?』
『それも今は確実な事は言えん。』
何か知っていそうな気がするんだけどな。
「全ては隣国に原因があると思われる。
出発は明日。この人も連れて行くことになった。おそらく,城に全ての鍵があるのではと言う話だったから・・・隣国の城・・・ここにどんな秘密があるのかな?紫電先生の役割って何?あたしが行く意味って白龍だけのことなの?
いろんなことが頭をよぎる。
ぼんやり考え事をしていたら,
「おい。飯だぞ。おまえの分は四人前頼んどいたからな。ははは。皆どん引きしてるけどな。」
って。失礼な奴。
「・・・うるさいわねえ!!!」
『美優は,そう言うイシュの婚約者だからのう。イシュ,おぬしも,どん引きされてるんじゃないのかのう?』
・・・・・
・・・・・
『ドラヘ・・・言うに事欠いて・・・もとはと言えば,あんたのせいだあ!!!』
かしましく騒ぎながら,イシュとあたしは食堂へ向かう・・・確かにすれ違う騎士さん達が,ちょっと引いてる感じがするけど・・・イシュが皇太子のせいだよね。うんきっとそう。




