乙女の体を何だと思ってんのさ!!!
ぞろぞろとこっちにむかって来る車・・・なんていうのかなあ・・・荷車っぽい物を後ろに引いてるね。その上には私が見ても分かる(?)多分大砲?
射程距離に入って来たんだろうね。こっちも慌ただしく仕度してるから,
「仕度しなくても大丈夫だよ。」
って教えてやったよ。
「何かしたのか?」
イシュが聞いたから,
「向こうが撃ってくるのを待ってなよ。」
って言っておいた。
「信じていいんだな。」
『白龍を疑うのか?』
あら。しばらく黙ってたと思ったら。
「いや。白龍が今のをしゃべったのか?」
『そうじゃ。美優の魔法を信じろ.』
あら・・・ドラヘ。良いこと言うじゃないの。
一応警戒したまま,相手の出方を見るってことで,伝令が飛んだみたい。
・・・いきなり撃って来た。
ずっが~~~ん
わっ
ぱらぱらぱらぱら・・・・
真っ白な花が降る。綺麗~~~
敵も味方も動揺しているね。
もう一発向こうが撃つ。
ずが~~~~~ん,
ぱらぱらぱらぱら・・・・・
今度は紅い花・・・綺麗な上にいい香り~
「よし。今度はこっちから攻撃だ。」
って声がしたから,
「やめときなよ。同じことになるだけだから。」
って教えてやった。でも・・・突っ込んでくわなあ・・・全く血の気が多いんだから・・
こっちが撃ち返した弾は,今度はピンクの花になって散っていく。うん・・・綺麗・・・
どよどよってざわめいてるね。どっちが攻撃しても同じことだよ~。けが人が出るのはイヤだからね。
向こうは,やけになって刀を抜いて走ってくるね。こっちも刀を抜いて走り出した奴がいる。刀はたちまち花に変わる・・・うふふ・・・綺麗。色とりどりの花を持って走ってく騎士さん達。かわいい~~~~
刀を打ち合わせようとして,初めて双方気が付いたみたい。ぐはははは・・・
あら・・・今度は組み討ちを始めちゃった。これは何にも魔法をかけてなかったなあ。殴って死んじゃうこともありだよね・・・それはいや。えっと・・・
拳は皆すかっと人をかするだけに・・・
すかっすかって,あちらこちらで妙なことになってるね。うんうん。平和が一番だよ。
「美優、おまえ何をしたんだ?」
「暴力反対だよ。」
・・・・
「捕らえられねえじゃねえか,どうにかしろ。」
「はいはい・・・しても良いけど,この後,ご飯頼むね。」
「いくらでも用意するから早くしろ。」
・・・・・・
「hitoni gaisurukimotino arumono subete sibararete niwanihaireya」
・・・・
「おい。味方も縛られてるぞ。」
「そりゃあ,平等だよ。お互い,人に害を与えようとしたんだから。」
あたしは差別はしませんよ。
・・・・・
で・・・味方の縄はとりあえず外せって言われたんだけど,
「gaiiwo motte naimono dake nawayo hazureteyareya」
って言ってやった。
・・・・・・
闘う気満々の奴は,そのまま・・闘う気が萎えた敵の方が縄が外れてくわね・・・ははは・・・一応逃げられないように,っと。
・・・
「おまえって・・・」
「何?」
「何で敵も味方も一緒に縛っちまうんだ?」
「あたしにとっては,敵も味方も関係ないんだよ。どっちが良くてどっちが悪いかなんて分かんないんだもん。暴力をふるう奴は,どっちも悪いと思うしね。」
・・・・
「おまえって変。」
「そうかなあ?何か物語なんかで,うむを言わず闘ってる場面があると,変だと思うんだけど。
善悪ってそれぞれの主観でしかない場合もあると思うし・・・・もちろん,一方的に虐待したり,理由もなしに攻めたり,特に女性をないがしろにしたりするのは,アウトだろうとは思うけど。今の場合,詳しい説明はないし,分かりませんって言うしかないでしょ。」
そもそもの争いの原因は何なんだろう?そこが分かれば,味方するもしないもはっきりするだろうにね。王もお爺さんも誰もはっきりしたことを教えてくれない。だから,あたしにとっては,味方するもしないもないんだ。そう言って結ぶ。イシュは凄く考え込んでいたわ。もし,本当に将来この国の王になるなら,考えて欲しいと思うよね。え?何でもいいからぶっ放してすかっとしろって?それは違うでしょ・・・てか誰?
・・・
『わしじゃよ。』
『無責任なこと言わないどいてくれる?』
『まあそうじゃな。わしはな。いろんな所に強制的に召還を受けては,無駄な殺生をさせられてきたんじゃよ。』
おや?
『断りゃいいじゃないのさ。』
『召還とは,そうはいかないのじゃ。』
『あら。あたし断りまくってるけど・・・』
『ああ。それが今回おまえの体を借りた理由の一つじゃ。』
なに?ドラヘは,召還者の言うことを聞きたくなくて,あたしの体を利用したってこと?乙女の体を何だと思ってるのさ?




