うん
食堂にそのまま奴を運ぶ。後ろから騎士さん達がぞろぞろついてくる。もちろん前には一人案内人がいるのだけれど・・・
食堂に入ったら,
「乱麻。どうした?怪我でもしたか?」
って紫電先生。
「こいつに放せと言ってください!!!」
言われなくても。ぽいっと。
どさっ
「痛たたたた・・・。おい。こいつを捕まえろ!!!見ているな!!!」
蹴ったろか?
いやいや・・・美味しそうな匂いの方にまっすぐ行くわ。あ・・・手を洗ってない。水水っと・・・しゃわ~~~。おっと。目の前に水・・・気が利くわね。あたしは手を素早く洗った。タオル・・・タオルっと・・・空中からタオルも現れた。手をささっと拭いて・・・
テーブルに着いた。あれ?何で皆,唖然として見てるのかな?
「食べていいの?」
・・・
「どうぞ。愚息が失礼したようで・・すみません」
「なんでそんな奴に謝るんだよ!!!」
「乱麻,この方は,皇太子妃になるお方だぞ。」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
この沈黙は何?
「俺の趣味が疑われている・・・」
ぼそっと言ってるのが丸聞こえなんだけど・・・知らん顔して食べちゃうよ。
「豚みたいに食うな・・・」
聞こえてるよ。乱麻・・・
わっ・・・
ちらっと見たら,口に大きく白い×に貼られた乱麻がいた。誰がしてくれたのかな。いい人だ・・・
いつもみたいに沢山食べて,食後のお茶を所望する・・・うん。まあまあだね。
皆げんなりした顔してるけど・・・しかたないなあ。
「これからどうするの?」
ってあたしは聞いた。これって空気読んでないのかな。
「ああ・・・」
皆,はっと我に返ったみたい。
「しかし・・白龍の加護持ちの方は,凄い魔力を使われるのですな。」
あれ?紫電先生。急に丁寧になったね。
「凄い魔力って?」
あたしは聞き返す。
「水を出したろ,」
「タオルもですよ。」
イシュと一閃さんも続けて言ったけど・・・
「あれ?誰かが気を利かせてくれたのかと思ってたんだけど・・・・」
皆さんの目・・・
どうやらあたしが無意識にやってたらしい。あたしと言うより白龍がかな?
白龍は,氷や水をよく操るらしいから,水を出せるのは当然かもね。
向こうは攻撃する気は満々みたいだね。ふふふ・・・お互い攻撃してみれば面白いのにな・・・ぼそっとつぶやいた声が聞こえちゃったみたい。
「おまえ・・・以外に好戦的なのな?」
いやいや・・・違いますから。あたしは,自分が施した魔法を思い描く・・攻撃は全て薬草に変わるんだけど・・・臭かったらイヤだな・・・
・・・
「臭くない薬草で,いい匂いがして,目にも綺麗なのはどれ?」
「は?」
他の皆さんは,話を詰め始めちゃったから,ぼ~っとしてあたし達を眺めていた乱麻に聞いたら,びっくりしていた。
「え・・・と・・・はくらん・しんくらん・らんりゅう・・・当たりがいい匂いでございます。」
何その言い方。
「普通にしゃべりな。」
・・・・
固まってる乱麻にかまわず質問を続けると,
「はくらんは,どんな効き目?」
周りにいた騎士のうち一人が,詳しいらしくて,いろいろ教えてくれた。
「傷に効きます。」
「しんくらんは?」
「腹痛です。」
「らんりゅうは?」
「心臓の病ですね。」
「匂いもいいの?」
「飾っても美しいですよ。」
あたしは頷きながら,漠然とした薬草をその3つの花に置き換える。うんうん。
そのうちに,
「大変です。敵が動き出しました。」
っていう報告が入ったわ。これは楽しみ・・・




