白い花は・・・
司令室に通されたよ。要塞(?)砦(?)どっちかな?のちょうど中央の一番高いところにあって,ぐるりと四方を見渡せるところに,この部屋はあるんだそうだ。
あたしは,椅子に優雅とはほど遠い感じで座り・・・なにか?・・・周りの騎士さん達の残念そうな視線はスルーした。
「で。イシュ様は,ご両親の手がかりを探しにいらっしゃったと伺っておりますが。」
「・・・まあ・・・そういうことになるかな。」
「で・・・兄上は,その付き添いと考えて良いのですかな?」
「う・・・む。」
歯切れが悪いなあ・・・
「すまん。詳しくは言えないのじゃ。」
「スパイですか?」
「そうじゃ。ここに来る途中・・・実は狙われた。」
「先の偵察隊のことではなく?」
「ではなくじゃ。」
・・・
「ということは?」
「こちらに向かうことは,昨日・・・いや。すでに一昨日か・・・夜,急に決まったことでの。すぐにこちらに使いを出したわけじゃが・・・」
「使いが伝えることが漏れていたと言うこと?」
「こちらの砦の者を疑うわけではないのだが,秘密を知る者は少ないほど・・・良いからのう。」
「後で?」
「そうだ・・・後で」
周りにいる沢山の騎士さん達はざわついていた。
「すみません。我々が,疑われていると言うことですか?」
疑うなら,剣を抜くぞと言うような勢いで一人が尋ねたよ。
「美優。頼むわ。」
・・・イシュがぼそっと言った。
「ここは牢はあるんですか?」
いきなり聞いたから,一閃さんはびっくりしたみたい。
「あるに決まっている。」
紫電先生が答えたね。ヘエヘエ分かりましたよ。今回は悪い考えを持っている者,全てを牢に入れるようにっと・・・
わっ。声とともに2~3人がいなくなった。へえ。
「今消えた奴等こそ,敵の仲間だ。牢を調べよ。」
ってイシュ。かっこつけちゃってさ。
偉そうな人が,残っていた何人かを連れて,慌てて牢に向かってくね。
「改心しない限り牢からは,絶対でられないオプション付きだよ。無理に出そうとしないでね。」
ってあたしが言ったのを聞いていた,残った騎士さん達のうち,1人が慌てて後を追いかけてった。
あたしは最後の仕上げを忘れないよ。お城と同じように,仇なす考えを持ったり,ものを持っていたりすると,人は牢に,こちらでは,物は燃えてしまうように・・・残っていて誰か食べちゃうこともあるかもしれないからねえ・・・
・・・・・はあ・・・
「お腹空いた。」
夕べから何も食べてないんだ。龍体になったり魔法を使ったりすると,ものすごくお腹も減る。
「おお。これはすまなかった。厨房から何か取り寄せよう。」
「それより,ここの食堂に案内してください。」
「いや・・・」
「一閃さん。渋っているうちに,早く食堂に案内してやってくれ。こいつの腹が減るとまずいことになりそうだ。」
イシュの一言で皆ぞろぞろ食堂に行ったんだけど・・・給仕の人も1人牢に行ったそうで,大変そうだったね。作ってる人達は,全員白だったみたいで,よかった。ただし,食材がいくつか消えちゃったんだってさ・・・めでたしめでたし・・・はあ
あたしが,いつもみたいに遠慮しないでぱくぱく食べるものだから,皆あたしを見物してるよ・・・失礼だね。
食べ始める頃,牢からの使者がやってきて,慌ただしく一閃さんは出て行ったよ。
食べ終わる頃,牢に来てくれという伝言を受けて,あたし達は地下に行ったよ。やっぱり地下に作るんだねえ・・・変な関心をしながら廊下を進む。薄暗いねえ。灯り灯りっと急に廊下が明るくなって皆驚いてるね。イシュと紫電先生がこちらをちらっと見る。慣れたのかな。何も言わないよね。
牢の前が騒がしいよね。
「どうしたんだ?」
イシュが聞いた。
「この者達は皆,無罪だと言っているんです。何の罪もないのにこんな所に入れるのはおかしいと言って・・・我々も,何でここに入れられることになったのかさっぱり分からない上に,出そうと思っても出せないものですから・・・」
あたしはむっとして牢の前に進もうとした。騎士さん達に阻まれたから,丁寧にどかしてあげる・・・皆。色めき立ったけど,
「イシュ様の婚約者様だ。」
の一言でおとなしくなって,あたしを通してくれた。
・・・
牢の前に立ったあたしに,口々に無罪を訴えてくるね。
「黙りな。あたしの魔法にけち付ける気なの?」
あたしは,
「usowoiuna honntonokotodake hanase kuso」
いらない言葉まで付けちゃった・・・
そしたら,口々に
「すみませんでしたあ。本当のことを言います。」
って。
・・・・・
「ほらね。これで連中,本当のことしか言わないから,ちゃんと聞き取ってやって。」
驚いてる騎士さん達を残して,あたしは廊下を戻るよ。イシュが呼び止めたから,通信機使って,むずむずし始めたからって伝えたわ。まずい・・・早く庭にって思ったとたんに,さっき白龍になった庭にいた。あれ?
『この前白い花を食べただろう?あれが効いてきたんだなあ・・』
しみじみ白龍が言うんだけど。
『食べて2~3日経つんだけど・・・効きが遅くない?』
『美優は人だからな・・・』
とりあえず,姿を変えながら空になる。
『美優。同じ花がここには沢山咲いておる。食べておくと良いぞ。』
『ええ~~~やだなあ・・・』
ここのは綺麗な花だけど,あんまり綺麗じゃなさそうだ。雑菌だらけかも・・・
『浄化してから食うと良いぞ。』
さよですか・・・やれやれ・・・




