便利?多分。
がたん・・・何? 止まったのかな?
あたしは顔を上げた・・・お昼頃かな??お昼の時間? わ~い・・・
起き上がろうとしたら,紫電先生に
「伏せたままでいなさい。」
って言われた・・・襲撃とか?のほほ~~んと考えてたら,イシュが飛び出した。あれ?ずが~~んと言うような音がする。紫電先生,じっと座って何してんの?顔を前方に向けたまま,口の中で何か唱えてるみたい。
向こうに白い塊が落ちていくのが見える。ほうほう・・・氷の爆弾?を作ってんのかな?ということは・・・イシュが行った方向に意識を向けたら,イシュが炎みたいなのを出して闘ってた。炎と氷か・・・なるほどねえ・・・
程なく戻ってきたイシュは,特に怪我もしてなかったみたいだったね。
「何があったの?」
「まだ国境からほど遠いというのに。」
「襲撃されたんだ。」
やっぱりそうだったのね・・・のんびりあたしは考える・・・・
「えええ~~~襲撃ぃ?」
二人から冷たい目をいただきました。
「昨日のうちに,我々の出立は向こうに伝わっていたと見ていいな。」
「確かに。」
そうだね。夕べ,いわゆる仇なす者の出入りが出来なくなってるんだから,その前に城を出た奴が伝えたんだね。
後でイシュに聞いたら,紫電先生は,鎧袖一族の誉れなんだそうだ。なんだそれ・・・
「俺も,夕べ,おじ・・王やじいさん達から聞いたばっかりなんだけどよ。武の一族に魔力も兼ね備えた者が現れた,それも半端ねえ魔力の上,武の力も鎧袖一族の中でも1~2を争うほどの者。それが紫電先生なんだと。普段は学園に身を潜め,指導に当たっているけど,いざとなったら・・・らしいぜ。」
昼の後,ちょいとお花摘みに・・と,紫電先生に断って藪に行き,ついでに白龍になってううんっと伸びる・・・姿?消してるよ。気配もね。でも,出がけにおばあさんから渡された通信機があるから,これで皆と遠くでも話ができるんだ。おばあさん凄いな。携帯電話だのスマホだのなんて目じゃないよね。ちゃんと会話の相手も選べるしさ・・・
『ちょいと空中に偵察に行くよ。』
ってイシュに伝える。
『俺も連れて行け』
『まだ人を乗せるとこまでいってない。3回目だからね。』
あたしはふわっと空中に・・ゆっくり・・・そしてだんだんスピードを上げる。ぐるっと車の周りを回って・・・向こうの方に見える山を見た・・・わ・・何というか・・・黒い?
山の近くに砦?城?みたいなのが見える。イシュに聞いたら,
『それは国境の砦ですよ。』
って紫電先生からの通信が入った。
『山が黒いって?』
『雰囲気だよ。雰囲気』
『ほう・・・一度見て見たいですね。美優さん。白龍に乗せてくれるよう頼めませんか。』
そりゃいやですから。乙女の背中に,そんなん乗せるのは・・・
『いや・・・そうだ・・見ている映像を車に映してみます。』
『え・・・・そんなことが出来るんですか?』
『分かんないけど,やってみま~す。』
「atasinomiterukesikikurumanisubeteuturuze」
『おおおおすごい。』
うまくいったみたいだね・・・
あたしは山とか砦の方向に目を向ける。やっぱり嫌な感じの山だなあ・・・
しばらくして疲れたから,
「kyounotyuukeihaowaridaze」
『あああ~~~~』
声がしたけど,まだ3回目。無理できません。うまく着地をして,姿を変えながら姿を現した・・・
「先生。どうでしたか?」
「ううん。砦に慌ただしい動きがありましたね。」
え?そうなの?気付かなかったなあ・・・
「急いで行った方が良いかな。先生?」
「ええ。」
ってことで,慌ただしく後片付けをして,車中の人になった。
さっぱり分からんあたしって・・・うっかりものなのかな?




