きみのなは・・・???
翌日もその翌日も・・・城から学校に通ったよ。
「もう,お城の車にも皆が慣れてきたみたいねえ。」
「美優に嫌がらせするお嬢様方もいなくなってきたしね。」
「なによりイシュ様にまとわりつくお嬢様方の姿が少なくなってきたわね、」
朝,いつものように入り口のところで待っていてくれた5人が口々に言っている。確かに。最近は嫌な動きもほとんど無いな。あたしの方も,白龍の力を少しずつ吸収しているのか,利用するのがうまくなってるのか分からないけど,いろんな気配に敏感になってきている気もするし・・・いやいや・・・白龍と同化しているなんて思いたくもない・・・・・・
この5人の気配も少しずつ読み取れるようになってきたけど・・・純粋に好意しか感じ取れないミカ,フロー,タリー。この3人に関しては,一緒にいて居心地が悪くなることはない。 ロリとユキは何となく純粋な好意だけじゃないような気がする・・・何だろう。少し気になるんだけど・・・でも,居心地が悪いと言うほどでもないし・・嫌な雰囲気というわけでもない・・・心にはとめておくけれど・・・
今日は,先週出された氷魔法一般概論の氷大王先生の名前を当てる日だったね。
「考えてきた?」
タリーに聞いたら,
「先輩に聞いたんだけど,私が考えてきたほとんどの名前は,今までの学生が言ってしまってるみたいなの。で・・・当たってなかったのね。だから・・何か他の名前を考えなくちゃ。」
へえ・・・この国の名前は何となく日本のと違うから・・考えるのが難しいなあ・・・ま・・・顔を見て・・思いついたので良いか・・・
「まず宿題の答えをそれぞれ言っていただきましょうか。」
端からどうぞ・・・って感じで
・・・・・・
みんなそれぞれ理由も述べてるね。2つまで言って良いって言ってるから,2つ言う人もいるし,1つだけの人もいるね・・・・
あたしは明鏡止水って言葉と,紫電一閃って言葉がこの先生を見ると浮かぶんだけどな・・あんまり止水って感じじゃ無いけど。・・氷って言葉のせいかなあ・・月下氷人もね。でもこれって仲人さんのことじゃなかったけ?・・ちょっと違うなあ・・・何か浮かんでくるのは全部四字熟語だけど良いか・・・
「どうぞ。」
もうどうでもいいや。
「明鏡止水。・・・紫電一閃。」
・・・・・・・
・・・・・・・
先生はあたしの顔をじ~~~~っと見た。あたしもじ~~~~~っと・・・。
「ふうん。」
それから次の人の言葉を聞いていく・・・・
最後の一人が言い終わった後,
・・・・
「この学校に勤めて25年。」
長っ。日本の学校は3~8年で変わっちゃうのにな。あ・・・私立は違うか。友だちの高校には30年勤めてる生徒指導主任がいるって聞いたことがあるな・・・ものすごく怖いんだって言ってた・・
「初めてわしの名前にかすってきた生徒が出たな。」
あら。話が続いてたわ。
「美優さん。」
あたしは友だちの言ったことを思い出していた・・・その先生は猫なで声で最初に生徒の名前を呼ぶ。反応があればそのまま優しく・・・反応がないと・・・
ぐゎしっ・・・わっ・・・
「そうなんだよ。そんな感じで捕まえてくるんだって。」
「「「「「は?」」」」」
え?首根っこを捕まれてた・・・誰?・・・先生?
「美優さん。さっき言った言葉をもう一度言ってみなさい。」
「は?友だちの学校に怖い先生がいて・・・」
「美優,名前のことよ。名前。」
タリーが脇から助け船を出してくれた。
「ああ・・」
先生が首から手をはなし,立つように促してきたよ。そりゃあ聞かなくて悪かったけどさ・・・
「明鏡止水。・・・紫電一閃。と言ったと思いますが。」
「意味を言いたまえ。」
え・・・意味?
「たしか・・・「明鏡」は一点の曇りもない鏡のことで「止水」は静かにたたえている水の様子のことだと思います。「紫電」は研ぎ澄まされた剣をひと振りするときにひらめく鋭い光のことで,「一閃」は一瞬のひらめきのことだったかな・・・ひと振りのことだったかな・・・だと思います。」
「うむ。わしの名前はそのうちのどれに当たると思うか?」
「名前ですよね。家名ではなくて・・・そうですね。」
あたしはもう一度先生をじっと見たよ。う~~~~ん。分からん。出も,この2つのうちのどれかが名前なんだよね・・・ 目つき結構鋭いし・・・氷・・・ううん・・・
「紫電でしょうか?」
・・・・・っ
「そうじゃ。25年間いて初めて名前を当てる奴が出るとはのう。ふぉふぉふぉ・・・」
先生はあたしに座るよう合図を出し,自分は教壇にゆっくり戻っていく・・・え。当たったの?思わずきょとんってしちゃうよ。外国風の名前ばっかりのこの世界で,まさか四字熟語から取ってるのが名前だとは・・・待てよ・・・家名は?まさか?
「先生。すみません。家名はまさか・・・鎧袖一触? 」
先生は今度こそ目を細めて・・・あたしをじっと見た。
ざわざわざわ・・・・・
「美優,みゆう・・・」
わきからタリーがあたしをつつく・・・
「鎧袖一触って言ったら,この国の高官の家名だよ。」
「まさかダムの?」
「違う違う。国境の辺り一帯を警備している鎧袖隊の隊長の家柄だよ。」
なるほど・・・
「魔法使いがいるなんて初めて聞いたわ。あそこの家は,代々剣で身を立てる家柄なのよね。」
「美優さん。後でわしの研究室に来なさい。」
うえ・・・
本日からもう一つ連載を始めました。よろしくお願いします。




