夕食の時間には・・・
「夕飯はどうなるんだあ?」
あたしは城の庭で白龍になって伸びをしている。
「お腹減ったよ~~~~」
叫んだら,イシュに聞こえたみたいで部屋の窓から顔をのぞかせた。
「もうすぐ飯だ。着替えろ。」
えっらそ~~~~に。でもま。食事を知らせてくれたんだから良いか。
「サンキュー」
「さんきゅうとは,何の呪文だ?」
あたしは顔を近づけた。
「ありがとうってことさ。」
「それならそう言え。また何かの呪文かと思ったじゃねえか。」
あたしは,姿を人に変えながらぽんとイシュの隣に行って姿を現した。
「うわっ。びくっりするじゃねえか。」
いちいち五月蠅い男だ。
「あんた,王様にいつもからかわれてるの?」
って聞いたら,プリプリしてた。
「うるせえ。いいから飯だ。さっさと着替えろ。」
「ええ~~~着替えなんてないよ~~~」
「部屋に戻れば,誰かいて服を出してくれるだろうよ。急げよ。」
へえへえ・・・あたしが窓の外に行こうとしたら
「待て。こっちから行け。」
って真ん中の扉を開けてくれた。どうやって開けてるのかなあ?普通にしてると扉に見えないんだけど。
部屋に行ったら,侍女さんが二人待っていた。昨日の人達だね。
「お風呂はどうなさいますか。」
って聞くから,
「時間が無いみたいだから,ご飯の後ではいるわ。」
って答えたよ。そしたら,あっという間に服を出してきて,着付けしようとしてくれる。わわわ・・自分でしますよ!!!
やっと着替えたところに,乱暴なノックの音が聞こえる。
「はい。」
って侍女さん。ドアを開けたら,ものすっごく,不機嫌そうな顔したイシュが立ってた。後ろに騎士さんが二人ついてきているね。守られてるなあ・・・
「行くぞ。」
へえへえ・・・
イシュの隣をあたしは歩く。騎士さんと侍女さんが,ぎょっとした顔してたけど,何故かなあ?騎士さんと侍女さんは,4人だけど誰も並んで歩いてない。あたし達の先に一人の騎士さん。その後ろを一人の侍女さん。あたし達の後ろを一人の侍女さん。その後ろを残った騎士さん。なんか変なの。
食堂に行ったらもう皆さん座ってた。何だろ・・・この感じ・・安心できる感じだね。
「遅くなりました。」
騎士さんと侍女さんはって言うと,半数は部屋の中の扉の脇に立ってる。後の人達は扉の前に立ってるみたい。多分それぞれについてきてるんだろうな。扉の中も外も騎士さんだらけなんだけど・・・この人達,人の食事を最後まで見てるのかなあ?もう食べたのかな?それなら良いけど,食べていなかったら悲しすぎるよね。あれ・・・でもこの前はいなかったよねえ・・・
「今日は何で周りに騎士さん達がいるの?」
「そりゃ警備のためだろう。」
「いらないんじゃない?」
「なんで?」
「だって。この部屋,安心できる・・多分魔力で満ちてるみたいに感じるんだけど・・・騎士さんはご飯食べに行ってもいいんじゃないのかなあ。」
入り口のところでぼそぼそ話していたら,騎士さん達やテーブルに着いてる人達にも聞こえたみたい。
「まず座りなさい。」
って王様自ら注意してきたわ・・・おやおや。
「失礼します。」
あたしはお爺さんの隣に座った。お婆さんの隣にはイシュ。その隣には校長先生が座ってる。男女になるように座らせてるのかあ・・あれ。上席の考えから言うと,校長先生の方が上?いやいや・・・・・彼は枯れても王族だった・・・ あれ?じゃあ,おばあさんは?そんなことを考えてるうちに夕食が運ばれてきたよ。私の前には特大・・・ちょっと騎士さん達に見られていて恥ずかしいかも・・・騎士さん達ほんとにかっこいいよね。つい,観賞しちゃうよ。
『この国の騎士は魔法力があまりないようじゃの・・・』
しまった。
慌ててあたしは下を向く。
「今のは?もしや,白龍殿か?」
『そうじゃ。ちょいと美優の口を借りてるがな。』
「こうやって話ができるとは素晴らしい。」
いやいや・・・あたしはいやですから。




