照れてません!!!!
翌朝,またまた庭で一伸び・・・ううん。綺麗な庭。広いしさ。羽を少し羽ばたかせてみる・・・ばさっばさっ・・・ふわっと・・・・あああ・・・浮いた!!! 少し焦って着地しようとするけど・・・どうやって降りたら良いのぉ~~~~~泣きたい。どんどん羽は動くし,どんどん地面が遠くなるんだけど・・・・わわわわわわ・・・・
『ドラヘ~~~~助けて~~~~~』
・・・・・
『どうした?』
『どうにもこうにも降りたいのよ。』
『なんだ・・・』
また黙る気配がするから,慌てて叫んだ。
『こらっどうにかしろ!!!』
・・・・・・
『羽ばたきを小さくしていけ。』
・・・たしかにそうだ・・・あたし羽ばたきを少しずつ小さくしていった。
もうすぐ地面。
『このあとはっ?』
おっこちちゃうよっ
『逆に羽ばたけ』
『はあ?』
・・・・
意味分からんわっ!!!
どしん・・・・いたたたたた・・・・・
「どうした?」
イシュが顔を出した。おじいさんとおばあさんも。騎士達まで・・・まずい・・・
あたしはおしりをさすりながら人型になって部屋に飛び込んだ・・・同時に姿を現す・・
「痛い・・・」
『毎日飛ぶ練習をすると良いぞ。』
・・・・・
そこに壁の中央の扉からイシュが飛び込んできた。
「何があったんだ?また侵入者か?」
おしりを押さえてるあたしを見て,叫んできた・・・
「いや・・・」
違うと続けようとしたところに,わらわらと騎士達が入ってきたし・・・あたしまだ寝間着だし・・・
「ぎ・・ぎゃ~~~~~」
あたしは慌ててベッドに飛び込んだ。
「乙女の部屋に入ってくるな~~~~~!!!!」
「いや。どうしたかくらいは・・・・」
ってイシュが聞くけどさ・・・
「何ともないから。・・・着替えるから。早く出てって。」
やれやれ。皆出て行ったかな?布団からそっと顔を出す。
あれ?メイドさん?いや・・・侍女さん?
2人の女の人があたしの脇に立ってた。
「何ですか?」
「お召し替えをお持ちいたしました。」
「ああ。着替え・・・。そこに置いといて。」
「いえいえ。お手伝いさせていただきます。」
あたしは布団から首だけ出して,
「ほっといてください。」
って言ったんだけど,しつこい。
「いいえ。お食事のお時間ですから,お召し替えはお急ぎください。」
ほっとけ。・・・そうだ。
「minnnaatasinotorikodaaze」
侍女さん達の様子を伺う・・・
「いいでしょ?」
「はい。おっしゃるとおりですね。」
言うがまま?恐るべし魅了。
「髪だけはいじらせてください。」
あら。短いからどうにもなんないと思うんだけどな。
ってわけで,着替えだけど・・・いつもの服とちょっと違うね。なんか・・・ひらひらだよ。おまけにピンクだし・・・ちょっとイヤかも・・・あたし日焼けして黒いからさ・・ピンクはないよな~~~~。これから学校に行くんだ
けど・・・さらに,頭になにやら付けられちゃった。取りたい・・・
「そのままで。王からの贈り物でございますから。」
はあ・・・いらん。
服はいつもより豪華な感じだよ。おまけにスカートだし。まあ・・・いいか。朝だけだ。後は自分の服に・・・服はどこ?・・・あ。夕べは着飾って来たんだった。いつもの服にはそもそも着替えられないや。
侍女さん達に案内して貰って食堂に行ったらもうみんな座ってた。
「おお。よく似合う。」
王様。似合ってないって分かってて言ってるよね。
髪にカチューシャみたいに止められてる飾り。黒に近い臙脂の台に小さな花飾りが少し付いてる。花の真ん中でキラって色とりどりに光ってるのは何だかよく分かんなかったけど。あんまりごてごてした感じがないから良かったわ。
おじいさんとおばあさんも髪飾りを見て,
「似合いますよ。」
って。イシュは・・・何も言わなかったけどね。少し嫌そうな顔してるな・・・
「朝食の後は,学校だよね。着替えたいんだけど,一端戻ってから行くんでしょ?」
「いや。そのまま。いくよ。」
お爺さんがにこにこしながら言うんだけど。
「は?」
「その臙脂の髪飾りを学校の皆に見て貰わねばな。」
「「は?」」
なんだか・・・よく分からん。なんで髪飾りを皆に見てもらわにゃならんのさ?
「まさか・・・」
「なによ?」
「おじさ・・・いえ,王,俺の色を付けてるところを見せつけようってことなんですか?」「当たり前だ。」
「俺の色って?」
王族にはそれぞれ色があるんだそうだ。黒を基調とした色。
王は漆黒。お爺さんは黒に近い青。そういわれれば青っぽいか・・・で,イシュは黒に近い臙脂なんだってさ・・・普段は好き勝手な色を着てるけど,いざというときの装いは自分の色なんだそうだ。面白いね。おばあさんが青い服なのは,おじいさんの黒に近い青・・・・早い話が群青色ってヤツか?藍色ってヤツか?の青の部分を取ってるらしいね。え・・・じゃああたし・・・
「臙脂の服なんてイヤだ。」
「俺もおまえに着て欲しくねえ。」
「おおおお・・・照れてるな。ははははは・・」
いや。王様、照れてるわけじゃないんですけど。




