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この劇はなかなかの捕り物劇?

ぐう・・・

ドサッ

「わっ」

「きゃあ」

え?


 ぱっと灯りが付く。ここはイシュの部屋・・・王宮にちゃんとお部屋があるって言うのは城につとめてる人なら誰でも知っている・・・さすが王の甥・・・・

 あたしの上にいるのは,縦ロールのお嬢様・・・あのう・風邪引きませんか?

・・・

薄い寝間着であたしの上にまたがってるけど・・・その目は・・・落っこちますよ・・・ってくらい大きく見開かれてる・・・


隣でもドタンバタンしてるみたい・・・隣からは,怒号がしてるんだけど・・・こちらは水を打ったみたいに静かだよ・・・4~5人の騎士が,影からわらわらと出てきてたんだけど,お嬢様の格好に皆さん引いてるみたい。


「おまえ行け」

「いやですよ・・・」

ぼそぼそ言ってる。あたしはお嬢様をどっこいしょとどかした。それからベッドの周りを見たら,ガウンみたいなものが落ちてる。それを拾ってお嬢様にかけてやる・・・

 はっと気付いたんだろうね。なにやら呪文を唱えだしたから,口にシーツの端を押し込んでやった。逃げるために,何か呪文を唱えようって考えだろうけど,そうはいかせません!!!

・・うぐうぐ・・・・


「この人、魔法学校の先輩です。魔法を使うから気をつけてください。」

あたしの一言で,騎士の一人が手錠みたいなものを出してかけてた。

「それは?」

興味津々で聞いたら,

「魔力封じですよ。」

って教えてくれた。

「なるほど・・・どのくらいの力を封ずることが出来るんですか?」

「ローティ様とブライト様が作られたので・・多分・・その辺の魔法使いなら大体封ずることが出来ます。」

・・・おばあさん結構な魔力の持ち主だったんだ・・・校長先生も凄いな・・・


騎士さん達が出て行った後,隣の部屋をのぞこうか・・・って思ったら,壁がいきなり開いたよ。

「え?扉?」

そう。部屋の真ん中に扉があったんだ。気が付かなかったなあ・・・

「向こうは片付いたぞ。こっちは変わったことなかったか?」

「ああ。あの縦ロールのお嬢様が,薄い寝間着1枚であたしの上に乗ってきたこと以外は,特に何も無かったよ。」


・・・・・


「あったじゃねえか!!!」

でもねえ・・・別に実害があったわけじゃないしさ。あ?

「もしかしたら,お嬢様が来るのを待ってたの?」

「馬鹿野郎!!!!」

・・・・そんなに怒鳴らなくても・・惜しいと思ってんのかな?

「さっさと部屋に帰れ!!こっちに来るなよ!!!」

はあ?

「来るわけないじゃん。もう寝たいだけさ。」


・・・・・


 何かまた伸びたくなってきたよ。なんなんだ・・・

 あたしは窓からぽーんって飛び出すのと一緒に姿を変え,ついでに姿を消したよ。おお・・・我ながら凄い技術だね。

「おいおい」

イシュが何か言ってるけどし~らない。あたしは庭でのびのびと・・・あれ?まだ人影だ・・・だれだ?

 そっと側に行ったら・・・あれえ?ダムじゃん。黙って様子を見てると,

「くそくそくそ・・・・」

汚いねえ・・・

「なんでうまくいかないんだ!!!あの小娘を殺して,ついでにイシュを手に入れるだけなのに!!!」

そうはうまくいきませんよ!!!なんかむかつくわあ・・・

「かくなる上は・・・王を(しい)するしかあるまい・・・おい・・」

「は・・・」

だれだ?騎士服着てる・・・あれ?あの人・・・案内してくれた人だよ。

「王を(しい)する・・・できるか?」

「ダム様のご命令とあれば。」

「よし。行け。」

しゅって消えたんだけどヤバイかも・・・あの騎士,魔法使いなんだ?騎士でもあって魔法使いなの?そんな人もいるんだね。でも・・どうしたら良いの?

『こまっとるようだのう?』

『ちょっと,どうにかならないの?』

『じゃあまた一つ呪文を教えとこうかのう。』

出し惜しみすんな!!!


あたしは,人型に変身して,

「ounoheyaniikuze」

ってわめいた。

イシュに聞こえたらしくて,

「なんだ?」

って出てきたときには,あたしは王の部屋にいた。

ドタンバタンって音がする。

 あたしは,寝室だろう部屋に飛び込み,王を今にも斬り殺そうとしている騎士の襟首をつかんで後ろにぶん投げた。どしゃん・・・なんか嫌な音がしたわ・・・


「おお・・美優さん。助かった。」

王が言ってるけど・・・

 騎士がまた起きてきてるよ。うわ・・・・スプラッタ?ちょうど顔が壁に思い切り当たったみたい。うわ~~~~引くわ~~~

無言で斬りかかってくるから,側にあった何だか分かんないものをぶっつけてやった。

 がきって音がした・・・

「おお。容赦ないのう。」

 騎士は今度こそぶっ倒れてた・・・何をぶっつけたんだろう?

「あの重い書類の重しをよくまあ投げたのう?」

そう言ってる間にイシュが飛び込んできた。

「おじさん!!!・・・王様・・」

「おお。イシュも来てくれたのか。」

イシュは,部屋の惨状を見て絶句してた。


それから,また別の騎士達が来て,倒れてる騎士を回収していった。本物の騎士らしいんだけど,王を殺害しようとしたってことで,皆驚いてたね。

「あ・・ダムが命令してたんだ。」

 あたしが言ったら,さらに皆,色めき立って庭に走ってった。程なく捕まえたって言う報告も来て,とりあえず,この夜の捕り物劇は,終わったみたい。おじいさんとおばあさんも駆けつけてきて,王に付いた傷をチェックして治療してたわ。


「美優さんには感謝しても感謝し足りないのう。」

「じゃあ。元も世界に帰る手はずを整えてください。」

って頼んだら,

「出来ぬ。」

一言かい!!!!!

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