ちょっと!!王様!!!
王様があたし達にくれたのは,ペンダントだったよ。金の鎖に金の鍵。白銀の鎖に白銀の鍵。金の方はあたしに。白銀の方はイシュにそれぞれ渡してくれながら,
「末永く頼むぞ。」
って。王様,あたしのこと分かってて言ってるんだよね?あたしはすることを果たしたら帰るんだよ。
ダムはもう真っ白な顔してるんだけど,皆・・無視だね。
「では,晩餐にしようか。」
王が言うんだけど・・・晩餐?・・・焼き肉?・・ごほん・・・
扉が開き,また先ほどの騎士と,何人かの騎士が扉の前に立ってるのが見える・・
王が立ち上がると,素早く騎士達は周りを囲むようにする。それからあたし達もその後ろに・・・おじいさんとおばあさんは並んで。その後ろにあたしとイシュ。その後ろに先ほどの騎士。さらに後ろからダムが来る・・・くんなって言いたいわ。
晩餐の用意してある部屋は,きらきらしい部屋だったけど,想像してた中世の城みたいな感じじゃなかった。当たり前か。
豪華なホテルのレストランみたいな気がするね。
ここのテーブルは長四角だったわ。上座だろうな。短い辺の所に王が座る。その両脇の長い辺の左右におじいさんとおばあさん。あたし達はさらにその隣。おじいさんの隣はあたし。おばあさんの隣はイシュだわ。どういう意味があるんだろう?
ダムの席は・・・無かった・・・ダムは
「あの・・私は?」
「おお。おまえは,確か・・今日は早く帰らねばならんと言っていたではないか。まだいたのか?家で娘や奥方が心配しておろう。」
おいおい。
ダムはまだなんか言いたそうにしてたけど,騎士に連れられて出て行った・・・
晩餐は・・・美味しかったあ。あたしの前には,次々に特大サイズの料理が運ばれてきてさ。もううれしいのなんのって。
「そんなに食べて大丈夫か?」
「はい。まだまだいけます。」
思わず元気に答えたら,王様,爆笑してたんだけど。
「こんなにうれしそうなのは初めてだな・・・」
お爺さんがつぶやいたら,聞こえたみたい。
「こんなに愉快なことはない。美優さん。しっかり婚約者として頑張るようにな。
イシュも。これで100人力だ。美優さんのチカラが安定したら,早速あの二人を探しいきなさい。」
?二人ってイシュの両親のことだよね・・・・?
「あれ?どこにいるか,分かっているんじゃないんですか?」
あたしは思わず口を挟んじゃった
「いや・・・分からんのだ。神殿に連れて行かれたはずなのに・・・神殿には到着していなかったのだ。」
「え?」
イシュがびっくりしている。
「初めて聞いたんですけれど。」
「うむ。ここでは何だから,場所を変えて話そう。」
大きなデザートと格闘していたあたしは大急ぎで平らげた。まだ食べたいけれど・・・仕方ない。
また先ほどの部屋に行くのかと思ったら,なんと王の私室に案内されたよ。凄く豪華なテーブルやチェスト・・・物入れ・・・花・・・宝石・・・彫刻・・・すげえ・・・
騎士の一人が扉を開け,あたし達が入ると扉が閉まる・・・開け閉めしてるのは騎士の人なんだろうけど,まあ・・自動ドアだよね。
すてきなソファに腰を下ろし,お茶を手ずから入れてくれる・・・凄いな。王様にお茶を入れて貰っちゃうなんてさ。
「先ほど渡した2つの鍵。それがおまえ達を案内してくれるだろう。」
おばあさんが頷いて,
「鍵にはあの子達の髪が入っていますから。」
って言ったんだよ。
「え?髪って髪の毛ですか?」
あたし,思わず聞いちゃった。
「そうよ。あの子達の髪。」
聞けば,お母さんの髪は金色。お父さんの髪はプラチナブロンドだったらしい・・・へえ・・・
あれ?王様もプラチナブロンドじゃん・・・
「まさか?」
王様とイシュのお父さんって?
「イシュの父親はわしの弟なんだ。」
は?お爺さんは王様のいとこなんだよね?
で・・・お父さんは王様の弟?はあ?
・・・・つまり,お父さんは,いとこの子どもと結婚したと・・・・あ・・・いいのか。いとこ同士は結婚できるし・・・その子ども・・・何かこんがらがってきたぞ・・・でも・・
「なんだよ。」
「いや・・・気品が・・・・・・」
「気品?あるだろうが!!」
「ええ~」
わいわい・・・・
「仲が良いな。」
「「は?」」
「龍でも人でも,イシュがこんなに女性に心を開くとは。素晴らしい。人として是非,イシュと添い遂げて欲しいものだ。」
「「冗談でもやめて!!!」」
「うむうむ。息もぴったりじゃのう。」
「はい。ありがとうございます。」
おじいさ~~~~んやめようよ。
とりあえず,イシュとの婚約はこれで確定らしい。龍でも人でも良いとか言ってるけど・・・
「あたしは人です!!!」
「なら,ますます何の障害もあるまい。」
「イヤイヤ・・・違う世界の人ですから!!」
「なんのなんの。そんなことは,何の障害でもあるまいて・・・」
・・・・・・・・
駄目だ・・・この王様・・・




