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ちょっと!!

 家や屋敷というより城といった方が良い,そのでっかい家の中に入って・・・ほえ~~~凄い。開いた口がふさがらないよ。きらきら光るシャンデリア・・ずらっと並ぶメイドさん・・・真っ白な大理石の柱や階段・・・絨毯が敷かれていて,冷たい感じがしないね。

 壁の絵画や,灯り・・どれをとっても見たことのないほど綺麗だわ・・・


「こちらでございます。」

って。あたしは一人,階段を上がって,お部屋に案内された。え?イシュは?後ろを向いたら別の人に先導されて,同じ階の別の部屋に入っていくね。

 あっという間に何人かのメイドさんが来てあたしをお風呂にたたき込んだよ。わわわ・・・やめろ!!!あたしは素早く姿を消した。やめて欲しい。慌てて部屋を出て,・・・まずい・・・変わっちゃう・・玄関ホールにようやくたどり着いたところで,ぽん・・・って・・・ああああ・・壊れる?    


 玄関ホールが半端なく広くて天井が高くて良かった・・・ううんと伸びる。

空になってるから,誰にも気付かれない。もしかしたらこのまま出ても誰にも気付かれないよね。とはいえ,ここがどこかも分からないから出られやしない。


 慌ててメイドさんやら執事さんやら召使いの人やらが右往左往してるね。おや。イシュが,階段を駆け下りてきたね・・・あたしを探してるのかな?

 あたしはイシュに,ここだよ・・・ってささやいてみた。

「どこだ?」

「ここ。あんたの脇。」

「なんで姿を消すんだよ!!!」

「仕方ないわ。変わっちゃいそうだったんだもん。」

「まさか?」

「うん。変わってる・・」

「・・・・・」



「なるべく早く元に戻れ。」

「なんで?」

イシュは階段を上がりながら,

「これから王宮に行くんだ。仕度に時間がかかるからに決まってるだろう。」

って言った。

「は?」

「はじゃねえ。早くだ。」


・・・

あたしはイシュをにらみつけた。龍のままだから,見えたらかなり怖い顔なのでは・・・

・・・

「もう!急に言うのはやめてよ。」


「俺もさっき聞いたとこだ!」

さよですか・・・とりあえず・・・元に・・・

『まあまあ・・』

『白龍。何なのよ。』

『わしの名前は白龍じゃないぞ。』

そうだった。名前知らないんだった。

『何て呼べば良いのよ?』

『ドラヘじゃよ。』

『ドラヘ?』

『正確に言えば,ヴァイスドラヘじゃ。ドラヘで良いぞ。』

『これでようやくあんたの名前を知ったわよ。』

『そう言えばそうじゃな。』

・・・で?

『今は何のようなの?』

『王宮に行くとか聞いたのでな』

『そうらしいわね。』

『もう一つ魔法を教えとこうと思ってな。』

魔法?

『どんなの?』

『魅了じゃよ。』

は?

『誘惑の魔法じゃ』

・・・いらんわ!!!

『いやいや・・・敵意を持つ者が少ない方が良いじゃろう?』

『それより役に立ちそうな魔法が良いわ!!!』

『よしよし・・・呪文はな・・・』

・・・いらんって言ってるのに・・・

『ちょっと!!!』

・・・・・また勝手に会話をやめるし・・・


『おおそうじゃ。』

『何よ。』

『この魔法は,すでに敵意を持ってしまった者にはきかんからな。』

・・・

『役に立たないじゃないのさ!!!』

・・・・

つまり,予防に使えという訳か・・・全く・・・


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