分かれよ!!!はあ?
城で,いろんな話をしたよ。特に別の世界の温泉猫一行の話には王も,おじいさんおばあさん,ライゼさんやルストさんも驚いていたね。
そうそう。ライゼさんとルストさんの記憶は相変わらず戻らないみたいなんだけど,表向きは正常のように見せているんだって。王族は大変だよねえ。
楽しく夕飯を食べているとき,急に騒がしくなったと思ったら,食堂のドアが開いて裸ん坊の黒い3才くらいの男のコが入って来たじゃないの。
「え?シュバルツ?」
「クロちゃんだよ。ほら。クロ。おまえを拾ってくれた子達だよ。」
って言う間にその子はあたしの腕にぴょ~んってとんで来た。なんて可愛いの。そのままあたしにすりすりしていたかと思ったら・・・・じんわり・・
「きゃっ」
「お漏らししたぜ。そいつ。」
・・・・・
あたしの服はびしょびしょ・・・せっかく久しぶりの可愛いスカートなのに。あたしはクロちゃんと二人でお風呂に浸かることになっちゃった。
「まだその子はしゃべれぬぞ。」
って言う王様の声を後ろに,侍女さん達に先導されて,ちょうどクロちゃんが入浴中だったって言う,近くの来客用の湯殿に向かったさ。
お風呂は・・・大変だったと言っておこう。やれやれ・・・
二人して新しい服に着替え,髪を魔法で乾かしてから食堂に戻る。もう皆とっくに食べ終わっていてお茶を飲んで待っていてくれた。私もクロちゃんもおぱくぱくぱくぱく・・ドラヘが離れても食欲は収まらなかったんだよねえ。何でかなあ?そう言ったら,
「指輪を通して,栄養が龍にも回っているに違いないんじゃないかしらね。」
っておばあさんが言うんだよね。ふうん。って事は,イシュも凄く沢山食べて,驚かれたに違いないよね。
いろいろ打ち合わせをした後、部屋に戻ろうとしたら,クロちゃんがあたしにべったりくっついて離れないんだ。困っちゃった。仕方なしに一緒に寝ることになったんだけど。寝相が悪いのこのこ!!!いたたたた・・・
あたしは寝るのを諦めてバルコニーに出たわ。
ううん・・・って伸びてたら,
「おい。」
「あら。イシュも眠れないの?」
「ああ。なんか変な感じがしてな。」
それっきり黙っちゃった。食え炉ちゃんが起きてなくと行けないからあたしの部屋に入って二人して壁にもたれていろいろ話をしたよ。これからの行動。その後は,あたしの性愛の話。
「おれ。」
「なに?」
・・・・なあ?
・・・だから何?
何が言いたいのかな?よく分からないうちに寝ちゃったよ。珍しいな。目が覚めたらあたしのベッドの上で3人仲良く寝てた。
起こしに来た侍女さんが大騒ぎしたので目が覚めたんだけどさ。何なんだ?クロちゃんはあたしのお腹に顔くっつけて寝てたし,あたしはちょうど,腕枕して貰ってるみたいにイシュにくっついて寝てたからかな? 人生初の腕枕体験をしてしまったよ。
こっちの世界では,あっちで体験できないことをいろいろ体験してるけど。あっちに帰ったらどうなっちゃうのかな?それより・・・帰れるのかな?あたしは小さな袋に入った者を握りしめた。ミャアコちゃんが帰りがけにそっとくれた物。これで帰れるよ。って言って。でも・・ほんとに・・帰れるのかな?いや。あのこの力は本物だったから。帰れるんだと思うけど・・・こっちを捨てて帰れるのかな?少し・・・
隣国へ向かいながらとりとめもないことを考えてたよ。いったん鎧袖一族の砦に寄ってから,紫電先生へ持っていくモノを預かってまた飛ぶって事で,着くのは夕方かな。
砦に降りたら皆凄い歓迎ぶりだったわ。龍2頭の姿もそうだったみたいだけど,王子が無事だったって事で,皆泣かんばかりだったもんねえ。
「何言ってる。おまえが無事のことも喜んでるんだぞ?」
「なんで?」
「おまえ、自分が次期王太子妃のなるんだって事忘れてないか?」
・・・
・・・
「それは・・」
「なんだ?いやなのか?」
「・・・反対に,イシュはそれで良いの?」
「ああ。それで良いと言うよりそれが良いんだ。」
「は?」
「・・・分かれよ!!!」
はあ?
「今こんなこと言うつもりはなかったんだけどよ。」
ずぃるばーのやつ・・・・って聞こえたような気がしたけど気のせいか?
「ああ。考えとけよな。」
あくまで上から目線なんだなあ・・・考えますよ。多分ね。
次回は,11日です。




