キャッチ・・・したよね?
え?何?白い・・・蛇?
あたしは目をこすった。白い蛇が空を泳いでいる?いや違う。アレは蛇じゃないあれは・・・
「美優~いったよ~~~」
はっ。あたしは慌ててグローブを掲げて後退を始めた・・・でかい・・ここで取らなきゃ負けちゃう!!!・・・
もう少しで球がグローブに入ろうと言うときに,あっ・・・ 何かに躓いてそのまま後ろに倒れ込んでしまった・・・でも・・グローブには球・・・大丈夫・・・落とすもんか!!!
・・・どすっ!!ごんっ・・い・・痛い・・・固い何かに激突したような・・・そのまま何が何だか分からなくなっちゃった。
・・・・・・
「おい・・おい・・」
五月蠅いわねえ・・・もう少し寝かせておいてよ・・・
「おい・・おい・・起きろ!!!」
はっ。
「やっと起きたな。」
凄い・・・なんて言うか・・・イケメン・・・なんてもんじゃない・・・きらきらしてる・・男の人?男の子?どっちだ?黒いマント着てるわあ・・・下に何着てるのかなあ・・・灰色っぽい色は見えるけど・・・
あたしは黙ってその人を鑑賞・・・
「起きてるんだろう?おまえは今日からハクだ。」
「は?」
思わずそいつを見直してしまった。
「おや。さすがだ。口をきくこともできるのか?」
「はあぁぁあ?」
何言ってんだ。この馬鹿。
「『は』しか言えんのは残念だ。」
く~~~~~何言ってんだあ!!!
「言えるわよっ。」
「おお。ハク。」
「ハクじゃないわよ!!!あたしには立派な美優って名前があるのよ。何が『ハクだ』よ!!!」
・・・その男はあたしをじっと見てため息をついた。
「名付けは重要なんだが。すでに名はあるというのか。」
「そうよ。そう言うあんたは何者なの?・・で。ここはどこなのよ!!」
周りを見たらさっきまで試合をしていた球場じゃない。決勝戦はどうなったんだろう。絶対ボールは取った。3アウトのボールだ。試合は終了したはずだ。何であたしはこんな所にいるんだ???怒濤のよう押し寄せてくる考えがあたしの頭で渦巻いてる・・・
「俺の名はイシュ。おまえの主人だ。」
「は?何ですって?主人?はあ???いつあたしはあんたと結婚したって言うの?」
そいつはため息をついた。
「人と龍は結婚は出来ねえよ。契約者となったと言うことだぜ。」
「契約ですってぇ?」
『未成年者の契約は,親の許しを得なければ,決してしてはいけません。』
「何であたしがあんたと契約なんてしなくちゃいけないのさ!!!法律違反だよ!!!」
そいつはさらに盛大なため息をついた。
「うわ~俺。めんどくせえやつを召還しちまったんだ・・・」
「召還ですってぇ?これって誘拐じゃないの!!!」
いわゆる異世界物での召還つまり誘拐事件と言うことだ。なんてぇこったい!!!あたしはいわゆる召還されてここにいるって訳かい!!!
あれ?そこであたしは,初めて自分が何だかでかくなってるような気がしてきた。あれ?あたしの手?うそ・・・
イグアナ?いや・・なに???
「おまえ。自分がでっかい白龍だってこと分かってるよな?」
あたしは慌てて起き上がり,・・・そいつは速攻飛び退いてた・・・自分の体を見回した。う・・・そ・・・しっぽ?まさかの羽?まさかまさか・・・・手を顔に当てる・・・あたしの顔の手触りじゃな~~~~~い!!!
「さっき見かけた白いヤツだっ」
あたしはボールを取る前に見かけた白い物を思い出した。
「もしかしたら・・・」
あたしにぶつかってきた物・・・と言うかあたしがぶつかったのはあの龍だったのかも・
「・・ってことは?あたしは龍と合体しちゃってるってことぉ?」
あたしのどでかい叫び声にそいつは顔をしかめた。
「龍と合体?」
「そうよ。あたしは人間だもの。あたしにあの白い龍がぶつかってきたのよ。で・・・あたしと合体しちゃったんだわ!!!もとにもどしてよっ!!!」
・・・・・・
はあはあはあ・・・あたしは叫び疲れて座り込んだ。そいつも困って座り込んでる。
「何であんたは龍を召還なんてしたのよ。」
「・・・必要だからに決まってんだろ・・」
ずいぶん疲れた言い方をするね。
あたしをもとにもどせぇ!!!ってわめきたいのをこらえて・・・
とりあえず,話だけは聞いてやろうじゃないのさ。




