メリッサ?
凄く凄く遅くなってしまい申し訳ありませんでした!!!!!
仕事の方はまだまだ落ち着かないのですがどうにか一話だけ短いですが書いてみました。
あと前の話の〔もう一人の敵?〕のメリッサの二つ名を〈鉄壁 〉から〈城壁〉に変更しました。
私は嘗てそこそこ名の知れたBランクの魔獣ハンターだった。
ある日、私達のパーティーはいつものように魔獣討伐の依頼を受け苦戦をしたがどうにか依頼を成功させた帰りに二体のオーガに襲われた。
万全の状態ならば勝つことが出来る相手だが魔力も無い状態のうえに回復系の薬は使いきってしまっていた。
それでも盾役だった私は先頭に立ち身長ほどもあるタワーシールドを構えて二体のオーガ気を引きながら自分が倒れればパーティーは全滅するため力を振り絞り攻撃を受け止めていた。
「………ッ!絶対に後ろには通さないから!こいつ等倒して絶対に生きて帰ろう!」
私はいつも通り、いや、いつも以上に気合いを込めて前を見たまま叫ぶ。
しかし、いつまで耐えても後ろからの援護が無くじわじわと後退をした。
「早く!私もそろそろ限界!握力が無く……………な…る…!?」
私はじりじりと一歩ずつ後ろ下がりながらに声をかけ後ろの様子を伺うとそこにパーティーメンバーは誰一人として居なかった。
「……………なん………で……?………私が戦っていることに気が付かなかった?」
何十年と組んでいたパーティーではないが、三年と短くはない時間を共にして、それなりに信頼し合っていたと思っていた者達に囮にされたことにショックを受けて力が抜けてしまった。
「………ウグッ」
振りかぶられるオーガの拳を割れに帰り何とか盾で受けたが、まともに受け止めるための力を入れられずに吹き飛ばされてしまった。
それでも盾を放さなかったことは自分がまだ生に対してまだ諦めてない事を理解する。
「…………ハァハァ………囮に………ハァハァ………された………んだな……ハァハァ………仲間だと思って……信頼していたんだけど……なっ!」
私は自然と頬を伝う涙を袖で拭い盾に体を預けながら立ち上がる。
「死んでたまるかー!生きて私を囮にしたアイツ等に後悔させてやるー!!」
私が気合いを入れて盾を構え直すと二体のオーガは突如地面から飛び出した無数の岩の針に貫かれた。
「…………なにが?」
「オーガの素材なら次の実験に使えそうだな。出来れば亜種が良かったがな。ん?何だ貴様は?」
私が目の前の光景に疑問を口にすると、後方から身形の良い一人の男が馬に乗り独り言を言いながら笑顔で近づき馬から飛び降りる。
「……あ、えっと、あの……」
「あれは貴様の獲物だったのか?」
私が言いよどんでいると男は眉をひそめて既に死んでいるオーガの死体を指差す。
獲物の横取りは国が禁止している。
その為助けたりする場合は助けはいるか獲物を貰って良いかと先に聞くことが暗黙の了解であり、それでも後々もめるパーティーもいてその場合は国が介入してくる。
「い、いえ、いきなりの襲われて危ないところでした。助けて頂いてありがとうございます」
私が礼を言い頭を下げると笑顔に戻る。
「そうか、それなら良いんだ。他のオーガを探すのは面倒臭いからな貴様を殺してしまおうかと思ったよ」
男はまるで当たり前のように私を殺すと言った目がまるで虫でも殺すかのように感じて背筋を冷たいものが通った。
それでも体力的にも一人で町まで戻るのに不安があった私は勇気を出して町までの同行を頼むとあっさりと許可してくれた。
すると男の後ろから3人の男達が荷馬車を馬なしで引っ張ってきた。
「ハァハァハァ、旦那、荷馬車の馬を外してそれに乗って先に行くとか止めてくださいよ!」
先頭で荷馬車を引っ張っていた男が汗だくでそう言うと他の二人もウンウンと頷いていた。
「すまんな。中々の材料が見えたものでな逃がす前に確保しておきたかったのでな。ハハハ、許せ」
最初にいた男は悪びれもせず謝罪する。
(先にいた方は偉い方なのかな?)
私はそんなことを思ったが口は出さずに静に二人の会話を聞いている。
「まあ良いですけど、それよりその女は?それも材料ですかい?」
荷馬車を先頭で轢いていた男が目線だけを私に向けて最初の男に訊ねる。
その男の目が怖く私はビクリと震えて背筋を伸ばす。
「ん?ああ、オーガに殺されかけていたらしい女だ」
「らしいって、はぁ、また周りを確認せずに走りながら馬上から魔法を射ちましたね」
「まあ、それは、あれだ、気にするな。それより、これも町までしばらく一緒に移動するから任せる」
そう言うと来た方に歩きだす。
「はぁ、わかりましたよ。おい!女!町まで荷馬車に乗れ!怪我した体で歩かれてペースを落とされるのは迷惑だ!」
先頭で轢いていた男は後から来た男達の残りの二人がいつの間にか荷馬車をUターンさせて、馬を繋ぎ直しオーガの血抜きをして解体して樽に詰め荷馬車に積んで何時でも出発出来るようになっている荷馬車を顎で指す。
「あ、はい!あ、ありがとうございます。私はメリッサと言います。よろしくお願いします」
私はまだしてなかった自己紹介をして荷馬車に乗る。
「ああ、俺はガイアだ」
先頭で轢いていた男は私を見ずに返事をする。
「えっ!?ガ、ガイア!?王国騎士団長の〈血染め〉のガイア様ですか?」
今は統一され一つの国だが、嘗てはこの大陸には大小様々な無数の国があった。
その頃は魔獣の侵攻が無かった為に人同士、国同士で戦争をしていた。
その戦争も私が生まれるより少し前に終わっていたが何人かの活躍した者の名前は有名なので知っていた。
その中でも私が話を聞いて憧れていた名前、白銀に輝く騎士の鎧を戦いの後は何時も返り血で真っ赤に染めていたことから〈血染め〉の二つ名がついたガイア様の名前を聞いて少し声が大きくなってしまった。
「その名で呼ばれるのは久しぶりだな。王国騎士団長は嘗てのことだ。色々あってな今はローゼン=マグマナス男爵の私兵だよ」
ガイアは苦笑いしながら頭を掻いていた。
「えっ・・・・男爵?・・・・貴族様!!!」
私の声が走り出した荷馬車の中に響いていた。
それから町まで送ってもらい、さらに騎士団詰所に報告するのに証言をしてもらったが、魔獣狩りを生業にしている以上どこで死ぬか誰と組むかは自己責任だと言われた。
ちなみにガイア様は荷馬車の中から降りなかった。
(古巣は知り合いがいて恥ずかしいのかな?)
私はそんなことを思いながらこれからの事を考えていた。
騎士団詰所から出ると当たり前のように私は荷馬車に乗る。
(今の私がアイツ等をどうこうしようとしても力が足りない。・・・)
そこで隣にいるガイア様を見る。
「あの、ガイア様、助けて頂いて勝手なお願いなのですが私に稽古をつけて頂けませんか!」
私はガイア様に勢いよく頭を下げる。
「助けたのは俺ではないし、それに、俺は弟子とかとってな 」
ガイア様が言い終わる前に男爵様が割ってはいる。
「ハハハ、良いではないかガイアよ。お前の命とて長くはないのだ。それで、女」
男爵様が私を見る。
「はい!」
「メリッサと言ったな。ガイアに教えを請おむのならば私に仕えると言うことだか、良いんだな?」
それを聞いて私は先に挨拶するべき順番を間違えたことに気が付き急いで男爵様に頭を下げる。
「は、はい!男爵様が御許しになられるのでしたらお仕えさせて頂きたいです」
「ハハハ、決まりだなガイアはメリッサを鍛えろ。メリッサは家でメイドをしながらガイアに教わるがよい」
「はあ、仕方ない、死んでも文句言うなよ!」
「はい!よろしくお願いいたします!」
それから私は止まり守るための盾を棄てた。
それからしばらくして彼女は盾がなくても攻撃どころか敵を全く後ろを抜かれず全てを葬ることから、堅硬さと迎撃を兼ね備えた城の守りをもじり〈城壁〉の二つ名で呼ばれた。
そして、復讐はなされた。
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「ふう、戦いの前に昔の事を思い出すなんて始めてです」
メリッサは目の前の二人を見据える。
(それにしてもなぜ私にそこまで協力してくれるのかを聞いた時の旦那様には笑いました。『そろそろ材料として人間が欲しかったところだ。お前が殺った後にそれを材料として貰うぞ。戦争が終わったからな材料の人間が終わってしまうんだ』ですもの。あちらも準備が出来たようですね)
メリッサは口元に笑みを浮かべてノーモーションから何処から取り出したかわからないナイフを二人に投げる。
これからはもう少し間が空かないようにどうにかがんばって逝きます。
もしよろしければこれからもよろしくお願いいたします。
本当に遅くなってごめんなさい。