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もう一人の敵?

 遅くなりました。


 今回は短いです。

「ハハハ!なんだい今の魔法は?アハハハ!」


 爆風によって魔人は真後ろではなく少し斜め後ろに楽しそうな声をあげながら吹き飛ばされている。

 それは偶然などではなくトワが意図してそちらに飛ぶように仕向けたことだった。


「あっ!!」


「あぶない!」


 クリュエル達から心配そうな声がもれる。

 しかしそれは魔人が反撃をしてはトワが危ないと言うことではなく、魔人が吹き飛ばされた斜線上にいつの間にか現れていたドラゴンが出ると言われるこの岩山には不釣り合いなメイド服という格好をした女性に向けてだった。


 トワも飛ばされたが、それは予期していた為にすぐに体勢を立て直して飛ばされた魔人を見る。


 メイドの女は自分に向かって飛んでくる魔人の肩を支えるように掴み勢いを殺すようにその場で一回転する。


(違ってなくてよかった~!とわ言えいくら魔人が骨だけで軽いからって勢いを完全に殺すとは、やっぱりただのメイドじゃないな)


 トワは魔人を吹き飛ばす瞬間に気配察知に反応が無いのに視界の端に人影を見つけて魔人の作った人形を連想して条件反射的に敵だと判断し咄嗟に爆発の向きを代えて人影の方へと飛ばした。


「お?おお!?おおお!???」


 魔人は後ろが見えない為に自分が勢いに逆らわずに回されたことに歓喜にも似た驚きの声をあげる。


「楽しそうで結構ですが、旦那様?何をなさっているのですか?」


 メイドは肩から手を離して魔人に声をかける。


「んん?ああ、君か。今すばらしい被験体を見つけたところだ!」


 魔人は嬉しそうに目を輝かせてメイドに答える。

 もはや魔人の中には勝てないと言う思考はなくただ純粋に自分の実験に耐えられるかもしれない人間が目の前にいることで実験のことしか考えられ無くなっていた。


「全く。ならポチに捕獲して貰えばよかったじゃないですか?………そう言えばポチ達はどこに行ったのでしょう?」


 メイドは提案して辺りを見回してアースドラゴンが居ないことに気付き首を傾げる。


「全部彼に壊されてしまった」


「ポチもいるあの数のアースドラゴンの群れを全てですか……強いのですね。……死体が無いのはアイテムボックス持ちですか………」


 メイドは目を見開く。


「そうだ!何とあの巨斧のバラーを倒したのだ!………そうだった、私では勝てないかも知れなかった」


 嬉しそうに言った魔人は勝てないかもと思い出し項垂れる。


「では逃げますか?」


「いや、血や爪でも皮膚でも少しでもいいからサンプルを持ち帰りたい!見よ、髪の毛は少し獲ることは出来た!」


 魔人は右手に掴んだトワの数本の髪の毛をメイドに見せる。


「近付いて来たときに手首から先だけを空間移動させてどうにか取れたぞ!全く魔力を長いこと溜めて転移させられたのが片手の手首だけだからな、戦闘中は使い勝手が悪いわ!」


 空間魔法は特殊なマーキングをしたところならば魔力を消費するだけで簡単に移動が出来るが、マーキングをしていないところに移動するには通常の何倍もの魔力とイメージを固定するために時間がかかる。


 魔人はトワとの戦闘が始まって結界を張った時から攻撃をしながら空間魔法の用意をしていて、吹き飛ばされる直前に使い爆発の衝撃に紛れてトワの髪の毛を抜いていた。


 トワは爆発の衝撃で全く気が付いていなかった。


「とりあえず一本喰って彼のステータスを………!!バカな!?なんてステータスだ!!」


 魔人は完全解析でトワのステータスを見て驚愕の声をあげる。








 魔人が驚いている頃トワも驚いていた。



グールキング(死霊)ランクA


HP:4800/5300

MP:2000/2000

STR:2800

DEF:3200

INT:2900

DEX:2850

AGI:3000

LUC:12


スキル:

格闘術Lv4 剣術Lv1 短剣術Lv2

槍術Lv2 状態異常耐性Lv3 

火魔法Lv1 水魔法Lv1 風魔法Lv2

土魔法Lv1 HP回復Lv3 MP回復Lv3


特殊スキル:

硬化 腐敗 自己再生

消化吸収 家事 




《HP回復=通常よりもHPの回復が速くなる。回復量はスキルレベルに依存》

《MP回復=通常よりもMPの回復が速くなる。回復量はスキルレベルに依存》

《腐敗=時間の経過によって肉体が腐敗する》

《消化吸収=生き物を食べることにより肉体を修復しステータスかスキルの一部を得ることが出来る可能性がある》

《家事=料理、掃除などのスキルの最大レベル以上の力を発揮する》



(突っ込みどころ満載だなおい!)


 爆風でアイリ達の近くまで飛ばされていたトワは

顔を向けずに問いかける。


「〔死霊〕って気配がないの?」


「もう訳ありません。魔獣にそこまで詳しく無いもので、確かに目の前に居るのに気配が感じられませんね」


 軽く問いかけるトワに対してアイリは首を捻る。

 

「ん~、少しくさい?」


 リーネはクンクンとにおいを嗅ぎながら首を捻る。


(リーネの鼻でも違いは少しだけか)


 そこで反応がないクリュエル達が気になり魔人を警戒しながら後ろを見るとそこには口を開けたまま固まるクリュエルとチッキャの姿を見る。


「どうしました?」


 トワが訪ねるとクリュエルは頭を振って気をとりなおしトワに詰め寄る。


「本当にあれは〔死霊〕なのか!?」


「あ、ああ鑑定したから間違いない」


 クリュエルの勢いに少し引きぎみにトワは答える。

 トワが鑑定を出来ることは知られているためクリュエル達はその事に誰も突っ込まない。


「〔死霊〕って言えばアンデット系の上位種Aランクだぞ!トワは魔人で手一杯だろ!私等だけで相手にするのは無理だ!」


「大丈夫だろ?アイリとリーネがいるから。それより、〔死霊〕って気配ないの?」


「あ、ああ、確かに〔死霊〕クラスのアンデットは気配が無いと聞いたことがある。…………二人がいても………」


 クリュエルは昔にクラインから聞いたことを思い出しながら頷くが心配そうな顔をする。


「やっぱり気配が無いんだ。なぁアイリとリーネがいても心配なのか?アースドラゴンの時に強さはみたろ?」


 トワはクリュエル呟きが聞こえて聞く。


「……あ、………ああ、そうだな………」


 歯切れの悪い答えにトワは眉をひそめる。


「クリュエルが気にしているのはあれがAランクだからってだけじゃないんだ。アンデットになる前の強さが強化されるんだ。あの魔人が勇者と戦った有名な貴族ならあのメイドは勇者の仲間を二対一で足止めしたって話が残っている〈城壁〉の二つ名を持つメリッサだよ!メリッサと言えばドラゴンを単独撃破したって有名なんだ!人間の頃にドラゴンを倒せる程の奴が〔死霊〕になって強化されているんだ心配するさ!ハァハァ」


 言い辛そうにするクリュエルの代わりにチッキャが早口で捲し立てる。


「へ、へぇ、でも、アイリとリーネが入れば大丈夫だろ。勿論二人は油断はするなよ」


 トワは一度メイドを振り返って見て笑顔で答える。


「はい!」


「は~い」


 二人は頷く。

 クリュエルとチッキャはまだ納得出来ない顔をする。

 普通の鑑定で見えるのは名前とランク位しか見えない為にクリュエル達はトワの鑑定も同じ精度だと思っているためになぜトワが大丈夫だと言いきれるのかわこらなかった。


「にぁにぁ!だから気配察知に反応がない無いのにぁん!」


 後ろて腕を組んでウンウン唸っていたメルーシトがはっとした顔で声をあげる。 

 急に声をあげたメルーシト注目が集まる。


「にぁ、にぁにぁにぁ……」


 皆に見られていることに気が付いたメルーシトはキョロキョロと辺りを見回して恥ずかしそうにうつむいてしまう。


「ではトワ様、私達があのメイドを倒します!」


 メルーシトによって緊張が緩みかけた空気をアイリが気合いを入れ直すように強く言う。


「がんばりま~す」


 アイリとリーネが前にでる。


「いや、俺が抜かれたらでいいから」


 トワがそう言うと二人は不満そうな顔を向ける。


「……………わかった。無理だけはするなよ」


 二人の目を見ていてトワはやらせてみることにした。


「「はい!」」


 二人は嬉しそうに返事をする。


「それじゃあ、行ってくるのでクリュエル達は待ってて」


 トワは振り返って笑顔を向けて歩きだす。


「あぁ………」


 クリュエルは何かを言おうとして口をつぐむ。



「さて、そろそろお互いにいいか!?」


 トワが魔人に声をかける。


「…………お前予想以上だよ」


 魔人が今までと違い真面目に言う。

 魔人はバラーを倒したと言っても不意をついたとかバラーが油断していたとかそう言う理由があったと思っていたがトワのステータスを見て考えを改めていた。


「ん?……ああ完全解析か?」


「その通りだ。この君の髪を使って」


 そう言って見せる髪にいつの間に抜かれたのかわからずトワは頭を触る。


「イタ!」


「痛い~!」


 アイリとリーネが急に声をあげながら頭を掻く。


「どうした?」


「急に後ろから髪を抜かれました」


 トワが聞くとアイリが答える。

 それを聞いたトワが魔人を見るとトワに見せるように上げている右手とは反対に下げている左手にアイリとリーネの髪が数本握られていた。

 魔人は機会を伺って飛ばされてから魔力を溜めていた。


「それでは旦那様私が二人をすぐに片付けますので結界を張って耐えていて下さい」


 メイドが籠手を付けると魔人が声をかける。


「気を付けろ!あの二人も普通とは違うぞ!気を抜けばお前も危ないぞ!」


「わかりました」


 メイドが構えるとアイリとリーネも構える。


「さあ、そろそろ始めよう!!」


 魔人が結界を張り地面に杖で魔方陣を書きトワに杖を向ける。


 トワも剣を取り出して構える。


「ああ、始めよう!!」

 




 読んでいただいてありがとうございます。


 ステータスを後書きに書いていたけどやっぱり流れ的に話しの途中に入れた方がしっくりきたので今回は間に挟んでみました。


 まだまだ忙しく次の更新も遅くなると思います。


 メリッサの二つ名を〈鉄壁〉から〈城壁〉に変更しました。

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