表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/69

変異種?

 大変遅れまして申し訳ありませんでした!!


 色々と忙しくて・・・・

 本当すいません。




 

「バァラララ!!」

 アースドラゴン達が咆哮を上げながら既にクリュエル達と合流したトワ達を囲む。

 総数は15。

 

「アイリとりリーネは後ろの奴を任せる!クリュエル達無理をするな!さっさと終わらせて街で飯にしよう!」


 そんなことを振り返りながら笑顔で言う。

 普通の人ならばそれだけに囲まれればもう死を覚悟するレベルだが、トワにしてみればアイリとリーネは問題無いうえ、見たアースドラゴンのステータスからクリュエル達を気にしながらでも抑制トワには余裕があった。


「はい!」

「は~い」

「「「「「「わかった!」」」」」」


 全員の返事を満足そうに頷いて前を向き直る。


 トワはアイテムボックスから銀色に耀くミスリルの

剣を取り出す。

 この剣はトワが用意した物ではなく、魔人との戦いで剣が折れて無いことを聞いていたルーレンス公爵が気を利かせて数本馬車に積んでいた一つだ。


「あのおっさん中々気が利く」


 そう言うと剣に魔力を纏わせて構える。


「バァララ!」


 まるでトワ達の準備が整うまで待っていたかのようにトワが剣を構えると動き出した。


「これぞ、ご都合主義!」


 トワは口元が緩む。


「いくぞ!」


 トワのその掛け声で目の前のアースドラゴンへとアイリとリーネが走り出す。


 アイリが両手に持つ短剣に魔力を籠めてアースドラゴンを斬りつける。


       ガキィーン


 アイリの攻撃の瞬間に頭を伏せ外装の岩のような部分に当たり、金属同士が打ち合う様な音と共にアイリの攻撃が弾かれる。


「硬い!」


 アイリの攻撃は外装の岩を少し削る程度だった。


 アイリの横で走り出したリーネはアイリが攻撃をするのと同時に違うアースドラゴンに拳を叩き込んでいた。


「っ!!」


 リーネは反撃をされる前にアースドラゴンの頭を足場にして後ろに飛び退き距離をとる。


「イタイ~!」


 飛び退き着地したリーネが殴った手を振りながら涙目で声をあげた。


「あの二人でも無理なの!やっぱりドラゴンは倒せないの!?」


 辺りをキョロキョロと警戒しているチッキャが驚愕の声をあげた。


 

 チッキャが絶望の様な声をあげたその時にトワは地面が爆発する様な勢いで走り出して、一瞬でアースドラゴンの頭の下に潜り込むと首に目掛けてと剣を振る。

 アースドラゴンの頭は地面に近いが、それでも体が大きい為に地面から2メートル半ほど離れており潜り込む事は容易にできた。

 勿論、普通の人ならば爪や牙などの攻撃で近付くことさえ出来ない。


「えっ?!」


 殺さず瀕死にするつもりで振るった剣が多少の抵抗を感じると、もしかすると斬れないかも知れないと思っていたトワは驚く。

 トワの手には豆腐を切るように何の抵抗も感じることは無くアースドラゴンの首を斬り落とす。


「・・・・・弱すぎる・・・・気をつけないとステータスを奪う暇がない。それに、いくらミスリルでも全力だと数回振るしか持たなそうだ。気をつけないと」


 トワは刃零れとうっすらとヒビのような筋が入った剣と地面に転がるアースドラゴンの頭を交互に見て苦笑いを浮かべる。


「・・・チッキャ、倒せるみたい、しかも簡単に」


 クリュエルがトワを指して驚いて抑揚の無い声で平坦に言う。


「「「「「・・・・・」」」」」


 チッキャ達は驚きのあまり開いた口が塞がらなかった。


「流石はトワ様です」


「ご主人様すご~い」


 アイリはウンウンと誇らしそうに嬉しそうに頷き、リーネは両手をあげてはしゃいでいた。


「リーネちゃん!トワ様の足手纏いにならないように頑張ろう!」


 アイリが再び両手の短剣に魔力を籠めて構えながらリーネに声をかける。


「うん!頑張ってご主人様に褒めてもらう~! 」


 リーネはアイリの言葉に頷くとアースドラゴンに向かって走り出していく。


 走り出したリーネが不意に止まる。

 するとリーネの数センチ先をアースドラゴンの爪が空気を切り裂きながら通り抜ける。


「当たんないよ~」


 リーネはそう言いながら右の前足を振り切った状態で少しバランスを崩しているアースドラゴンの顎の下に潜り込む。


 リーネは牙を向けて噛み付こうとするアースドラゴンの顎に力を溜めて打ち上げるように掌底を打つ。

 アースドラゴンはガチンと言う音をたてて口を閉じさせられて、内部で爆発でもしたように打たれた場所とは反対側の頭が内側から吹き飛び脳みそをぶちまける。


「花火~」


 リーネが落ちてくる破片を躱わしながら元の位置まで戻る。


「ぶい~!」


 リーネは振り返りトワに向かって笑顔でVサインをする。

 トワはそんなリーネに笑顔で頷いて手を振る。


「わ、私も!」


 そんなリーネを羨ましく思ったアイリは剣を構えてトワやリーネとは違いまるで消えるように走り出す。


 アイリの速さはトワよりは遅いが隠密などのスキルを併用している為に、見ている者にはまるで目の前から消えて一瞬で敵の側に現れるように感じる。


 それはアースドラゴンも例外ではなく急に現れたアイリに咄嗟に攻撃をしようと前足を振り上げる。

 

「確かに硬いです。私はまだ未熟者だからトワ様のようには出来ないし、リーネちゃんみたいなすごい技も無いから、狙いは正確にここです」


 そう言ってジャンプしてアイリは振り上げられた右の前足の付け根に短剣を突き刺した。

 突き刺した短剣を放して地面に着地する。


「いくら全身が硬くても動いているいじょう関節まで硬いわけない!」


 アイリの短剣が刺さると短剣から蒼い魔力が流れだし内部から氷が右の前足の付け根を一周するように突き出す。


「バァラ~!」


 アースドラゴンが悲鳴を上げるかのように吠えると、付け根を覆っていた氷が砕けて右の前足が体から離れる。

 アースドラゴンは右の前足を失いバランスを崩して顔から地面に倒れると、自分の高さにアースドラゴンの頭が来るのを待っていたアイリが、逆手に持った右の短剣をバックブローを打つように回りながらアースドラゴンの右目に突き刺した。


 右の短剣からは紅い魔力が流れアースドラゴンが暴れることもなく口や目から炎を吹き出して、脳を焼かれたアースドラゴンは顔半分を溶かしながら命を奪われる。


「トワ!殺りました!」


 他のアースドラゴンから距離をとりトワを見たアイリが満面の笑顔で手を振る。

 トワも笑顔で手を振り返す。


(やりましたのイントネーションが何か怖かった気がする。・・・・いやいや、そんなことよりも急がないと本気でステータスを奪う前に全滅しちゃう!!)


 トワが手を振り返したことで嬉しそうにしているアイリを笑顔で見ながら内心焦っていた。


「よし、急ぐか」


 一言そう言うとトワは凄いスピードで1体のアースドラゴンの元に行き剣を振るい両前足を斬り落とす。

 

「バァギャァ!」


 アースドラゴンは悲鳴と共に体の支えを失い頭から地面に倒れこむ。

 トワは鼻先に触れ押し潰すように力を入れていく。

 トワの力に口を開けて噛みつくことはおろか身動ぎ一つ出来ないことにアースドラゴンは自分の死を悟り恐怖に染まった目を静かに閉じる。

 アースドラゴンが動かないことを確認したトワはステータスを奪う。


(よし、動かないな。急に動き出して手を離したら災厄だからな)


 触れて押し潰していた手を触るのではなく暴れ出しても良いように握るように力を籠める。

 

(ふぅ、ようやく1体か、)


 ステータスを奪うことに馴れてきたトワは、落ち着いていれば3分前後で完了することが出来るようになった為に魔獣に触れて動きが止まることがあっても、周りからそれほど不自然に見えなくなった為に他人の前でも気にしないで奪うことが出来る。


 トワが1体からステータスを奪い振り返るとアイリとリーネが自分達の技が効くことが分かり更に1体ずつ倒すところだった。


(残り9体か、アイリもリーネも張り切り過ぎだ!こんど俺のスキルの説明してなるべく敵を殺さないように話をしようかな?)


 トワは満面の笑みで手を振るアイリとリーネに手を振りながら考える。

 

(あとう後ろって言うか左右に1体ずつに前に7かどうするかな・・・・威圧の波動使えば良かったんじゃね?)


 トワはスキルの事をアイリとリーネに話そうかと考えていて自分のスキルの事を思い出した。


「…………あれ?」


 トワが威圧の波動を発動してもアースドラゴン達に変化が無かった。


(この感じは、やっぱ統率するリーダーがどこかにいるな。しかも、威圧の波動が効きさえしないところを見ると魔人よりも統率のレベルが高いのか?)


 以前に魔人が持っていたスキルの効果と同じ感じがして少し警戒レベルを上げる。

 それ以前にアースドラゴン達が我先にと襲ってくるのではなく統率の取れた動きをしたことでトワは群れのリーダーがいると感じていた。


(それにこいつらおかしい。襲ってくる気配ではなく俺達を足止めしてこの先に行かせないようにしているように見える)


 そう考えながらゆっくりと歩いて近付き、アースドラゴンの間合いに入った瞬間に凪ぎ払うように振るわれた右の前足をジャンプして躱わす。

 ジャンプして躱わすことは普通空中で身動き出来ない為に少し戦いの経験がある者達からすれば愚策とされていた。

 その為トワがジャンプした瞬間からクリュエル達から あっ!と言う声が漏れて、更にアースドラゴンが噛み付こうと口を開けてトワに襲いかかる時には小さな悲鳴と共にクリュエル達は目を背ける。


 しかし、いつまでたってもトワの悲鳴やあアースドラゴンの咀嚼音が聞こえないことが気になり、目を開けたクリュエル達はアースドラゴンの背中に剣を突き刺してその剣を杖のように持って仁王立ちするトワを見て声が漏れる。


「うそ!?」

「何で!?」


 普通の冒険者ならば喰われていたが、トワは飛行のスキルで空を飛べる為に軽々と躱わして、アースドラゴンの背中に着地して剣を刺し動かないなようにしてから、触れている足でスキルを発動してステータス奪っている。


(よし2体目っと!・・・・・・・!!)


 トワがスキルを奪い止めを刺そうとした時に上空から丸まり擬態で岩になったアースドラゴンが降ってくる。


 トワはそれを咄嗟に躱わす。

 落ちてきた岩になったアースドラゴンは地面に大きなクレーターを作り砂埃をあげて、先程までトワがスキルを奪っていたアースドラゴンを潰していた。


「仲間ごとかよ!」


 トワが岩になったアースドラゴンが転がって来る事を警戒して見ているがいっこうに動く気配が無かった。


(なんだ?)


 クレーターの真ん中にある岩になったアースドラゴンに近付くがアースドラゴンが動くことは無かった。

 落ちてきたアースドラゴンは協力しあい相当な高さまで飛び上がり落ちた衝撃で外皮の岩がほとんど砕けていた。


(なんだ?罠か?)


 気配察知ではわからないので鑑定眼で見てみると擬態のスキルを使っていてもステータスはアースドラゴンと見えた。


(あ、鑑定は出来るんだ。・・・・えっ?!・・・・死にかけてる?)


 アースドラゴンのHPはほぼ無く瀕死だった。


(取り合えず鑑定出来るならステータスドレインも効果があるってことだよな)


 そう言いながらアースドラゴンのステータスを奪う。


 ステータスを奪い砂埃が晴れてきて辺りを見ると既に他のアースドラゴンの姿は無かった。


(うん!知ってた。不意をつかれない為にずっと気配を探ってたから)


 トワはアースドラゴンが落ちてきた時に気配を集中して探っていたら、砂埃が上がったころからアースドラゴンの気配が消えていたことを知っていたので、砂埃が晴れてアースドラゴンが消えていることにまったく驚かなかった。


(左右のアースドラゴンは砂埃が上がる前にアイリとリーネが倒していたから後5体だな。・・・・目の前にちょうど5つの岩があるんだけど・・・)


 トワはその岩に近付き鑑定をしてアースドラゴンであることを確認して手を触れてステータスを奪う。

 5体全てからステータスを奪うと地面に埋り擬態しているアースドラゴンを引きずり出していく。


(アイリとリーネのレベル上げに使おう。ステータスを奪っても経験値はそのままみたいだから)


 アイリとリーネと三人で何度か戦いを経験して経験値は魔獣を倒した者とダメージを与えた者で割合はわからないが分配して入る事と、ステータスドレインでステータスを奪った後の搾りカスの魔獣でも経験値は大体元のままだとスチールクラブの時に試して気が付いた。


「アイリ!リーネ!ちょっと来て!」


 トワが二人を手招きすると嬉しそうに走ってくる。


「トワ様!なんですか?」


「ご主人様~?なに~?」


「これの止めを頼む」


 トワが力も奪われて自分の体を支えて歩くことさえ出来ずに倒れているアースドラゴンを指す。


「わかりました」

「は~い」


 二人はトワの言葉に なぜ?と言う疑問も表さずに素直に返事をして頷く。

 二人が処理し終わるとトワはアイテムボックスにアースドラゴンの死体を仕舞い移動する準備をする。


「・・・か、帰るか?」


 クリュエルが移動の準備をするトワに声をかける。

 クリュエル達はトワ達の冗談のような強さを見てアースドラゴンに対する恐怖が無くなっていた。


「いえ、まだリーダー格の奴がいるはずです」


「そ、そうなのか?リーダーってことは上位種!!?」


 トワの言葉にクリュエル達が後退りする。


「それはわからないけど先にある崖の麓に見える洞窟まで見てこようと思う。クリュエル達は馬車の所に戻った方が良いかも」


 トワがクリュエル達を心配して言う。


「そ、そうだな。一緒にいても足手まといになるから先に馬車で待ってるよ」


 クリュエル達が頷いて帰ろうとすると数百メートル先にある洞窟から、トワ達の数十メートル先まで転がるのではなく猛スピード走ってきた。


「なにあれ?亜種?上位種?」


 トワが側まで来た魔獣に首を傾げる。

 その姿はアースドラゴンと大きさも形も似ているが、体は黒光りしていて、何より頭と尻尾が二つずつあった。


「!!!!亜種でも上位種でもない!あれは        変異種だ!!!!」


 クリュエルが指を指しながら震える声で叫んだ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ