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チーム ワルキューレの実力?

 遅くなりました。

 

 トワは今、目の前の光景に唖然としてい。

 クリュエルが数十人の盗賊を相手に無双していた。



 時は少し戻り馬車で草原の街道を走りながら、たまに遭遇するただのゴブリンやミニウルフを弓や魔法で進むのに邪魔になりそうな魔獣を軽々と倒しながら進むこと数時間、山脈の手前に広がる広大な森の入口まで来ていた。


「みんな強いな」


 馬車を停めて昼食をとっているときにトワがクリュエル達に言う。


「フフフ、そうかい?トワ達にしたら赤子の様なものだろうがね。私の力も見てもらいたかったけど、私は純粋に接近戦専門だからこうゆう場合はやることが無くてね」


 クリュエルそう言うとチッキャ達も頷く。


「そんなことは無いさ皆強いよ。クリュエルだってそのうち機会があるさ。その時は二つ名持ちの力を見せてもらうよ。期待してる」


「そうかい?任せな」


 クリュエル達は期待してると言う言葉がとても嬉しくて満面の笑みを向ける。


「・・・っ!それにしても、盗賊なんか全然出ないな。クラインの作戦ミスじゃ無いかな?」


 トワは眩しすぎるクリュエルの笑顔から恥ずかしくなり話を反らすために馬車を見ながら言うとアイリも頷く。


「そうだな。派手すぎるから逆に警戒してるのかもな。何より王家何て良い獲物だけど護衛だって精鋭だと思って手を出さないだろな」


 クリュエルもトワに釣られて馬車を見て頬を掻く。


「逆に数を揃えて来るために時間がかかってるのかもな。それに森なら罠張れるしな」


 トワがそう言うと森から数十人の男達が出てくる。

 ボロボロの服と上下で統一感の無い装備に無精髭を生やしてニヤニヤと汚い笑いを見るといかにも盗賊達が出てくる。


「なんかようですか?」


 トワはアイリが煎れてくれたお茶を飲みながらいつもの調子で男達に聞く。

 クリュエル達は武器を取り構えようとして気の抜けたトワの声に力が抜ける。


「貴族様には何が起こってるかわからんようだな!」


 いかにも盗賊団の親分な姿の男が女性陣を値踏みするようにニタニタと笑いながら前に出てくる。


「なんか気持ち悪いです。トワ様、殺しても良いでしょうか?」


 アイリが眉をひそめて生ゴミでも見るような目で盗賊を見ながらトワの口元にスープを運びながら言う。


「あ~ん、んぐんぐ、ゴクン。まあまあ、落ち着きなさい。どう見ても盗賊だとわかるゴミでも名乗って無いのに決めつけないの。どう見てもゴミだけど」


 トワは朝の件でアイリに甘えさせる事に決めていたので、されるままに食べさせてもらいながらアイリを撫でてなだめる。


「そうですね。ゴミみたいでも決めつけはいけませんよね。ゴミだけど。流石はトワ様です。ゴミにもお優しいですね」


 アイリは笑顔でトワを向く。


「そうだぞ。あれはゴミだけど一応人なんだから」


 トワが盗賊達を指差して言うと盗賊の親分風な男が顔を真っ赤にして起こり出す。


「貴族がいい気になるなよ!いくらか護衛が凄く強かろうとこの数に敵うと思うのか!テメーの目の前で女共をボロ雑巾の様に犯し尽くして殺してやる」


 盗賊の親分風の男が怒りを露にして武器を構えて叫ぶとトワから殺気が漏れ出す。

 前のように殺気のみで相手をショック死させない程には殺気をコントロールできる様になっていた。


「へ~、もう名乗らなくていいや」


 そう言ってトワはユラリと立ち上がりニコリと笑いかける。


「っ!!」


 笑っていない笑顔を見て盗賊は挑発をされたから言ったまでだと言いたかったが、恐怖から何も言えずに冷や汗を流しながら一歩下がる。

 するとクリュエルがトワの前に立ちふさがる。


「待った。山に着くまでは任せてくれる約束だろ?」


 トワはクリュエルの目を正面から見据えた後に盗賊達を見回す。


(まー、ゴブリンに毛がはえた位だからいくら数がいてもクリュエル達なら大丈夫だろな。それに、このまま俺が殺ったら完全に逆ギレでカッコ悪いから任せるかな)


 トワはあいだにクリュエルが入ったことで少し冷静になり、自分で挑発しといてやり返されたらキレた自分が逆ギレ以外の何者でもなくて恥ずかしくなる。


「うん、任せる」


 そう言ってトワが何事も無かったように座り直すと、いつの間にかトワの後ろで臨戦態勢をしていたアイリとリーネがトワの横に腰をおろす。


「ああ、任せろ!」


 クリュエルは嬉しそうに1度頷いて盗賊達の方を振り向き武器を構える。


「でっ、どうする?」


 チッキャがクリュエルの隣まで来て声をかける。


「………私に行かせてくれないか?」


 クリュエルが集まってきた仲間に申し訳なさそうに言う。


「まあ、良いとこ見せないとね?ライバルはやりてみたいだしね」


 チッキャが肩越しにアイリとイチャイチャするトワを見て言うと他のメンバーも苦笑いで頷く。。


「………あ、ありがとう」


「まったく、いつもは格好いいのにこうなると可愛い乙女なんだから。そういうところを見せた方がギャップでなびくかもよ?」


 顔を赤くするクリュエルをからかうようにチッキャが言う。


「むうっ!こんな姿恥ずかしいだろ!それよりもあちらさんがソロソロ我慢立て直しそうだから行ってくる」


 クリュエルは頬を膨らまして反論して、トワの殺気を受けて恐怖で動けなくなっていたところから回復して、武器を取り構えてジリジリと近付いてきていた。


「後ろから援護はするからねー!あと、クリュエルの事だから無いと思うけど、もしヤバそうだとこっちで思ったら私等も行くからねー!?」


 武器を構えて盗賊達を睨み付けるクリュエルに後ろからチッキャが声をかけると片手を上げてクリュエルが答える。


「メルーシトは弓を構えて魔法とか弓とか射とうとしている奴等を黙らせて」


 チッキャはグレーの髪の猫獣人のメルーシトに指示を飛ばす。


「あいあ~い!おまかせなゃん!」


 メルーシトは馬車の屋根に飛び乗り弓を構える。


「他の奴もすぐに行けるようにしときな!」


「「「はい!」」」


 トワはチームワークがしっかりしているなと感心してクリュエルがどう戦うか見ようと思いアイリを撫でながら今まさに始まろうとする戦いの場を見る


「一人も逃がす気は無いから覚悟を決めな!」


 クリュエルはそう言うと地面を蹴って一気に間合いを詰める。


「女が一人で!なめるな!テメー等、殺っちまえ!」


 クリュエルが動き出すと同時に槍を持った三人の男と、そのすぐ後ろから両手に剣を持つ男が前に出る。


 三人は槍を前に突き出して突進するクリュエルをそのまま串刺しにしようとしっかりと握って待ってる。


(へー、盗賊が少しは戦術を使うんだ)


 トワは盗賊とわ知能の低い奴等と決めつけていたので少し頭を使い戦うのを見て驚く。


 クリュエルは左足を前に出して半身になり地面を滑りながら、左の片手で真ん中の男に上から斜めに大鎌を振り下ろして槍を持つ片方の腕を斬り落とすと男は槍を落とす。


 盗賊の槍とクリュエルの大鎌の長さはほぼ同じだが、両手で持つ盗賊よりも片手で束の端を持つクリュエルの方が間合いが長かった。


「セイッ!!」


 止まったクリュエルは大鎌が地面に当たる前に左足で束を蹴り上げてクリュエルから見て左の男の槍に当てる。

 大鎌を片腕でも振れるクリュエルの力は盗賊よりも強くしかも、腕よりも強いと言われている足の力が加わったクリュエルの大鎌を受け止められるわけもなく男の槍は空へと弾かれる。


 さらに、クリュエルは右側の男が突こうとした槍を体をひねり回りながら躱わして、その勢いのまま横一列に並ぶ男の首を斬り落とした。

 そこでクリュエルの勢いは止まらずにもう一度横に回転して真ん中の男を勢いよく後ろに蹴り飛ばす。


 男達の後ろから来ていた両手に剣を持つ男は反応できず衝突する。

 クリュエルは蹴り飛ばした男の後ろに隠れて近付き衝突して苦悶の表情を見せる男の首を大鎌が一閃する。

 男は両手の剣を地面に落として膝が崩れると頭が背中を伝い後ろに転げ落ちて体が前のめりに倒れる。


「「「「・・・・・・」」」」


 時間にして数秒の事だった。

 トワ達3人とチッキャは目で追うことはできるが他の者達には何が起こったのかわからなかった。


「さぁー!次に死にたいのは誰だ!前に出ろ!」


 クリュエルは大鎌に付いた血を大鎌を振る動きで地面に飛ばして大鎌を盗賊達に向ける。


(へ、へー、つ、強いな)


 トワは引き釣った顔になる。

 トワは自分がそれ以上の動きをしていることを殆んど自覚が無いが、アイリとリーネはトワの方が凄いことをわかっているために、それほど驚きは無かった。


 しかし、盗賊の下っ端達はその光景を目にして驚きと恐怖を抱いて後ずさる。

 盗賊の親分は苦々しい顔でクリュエルを睨み付けながら小さく手を上げて振り下ろす。


 すると森から矢が三本クリュエルに向けて飛んで来る。

 しかし、その矢はクリュエルの間合いにすら入らない内に別方向から飛んで来た矢に射ち落とされる。


「ニァッニァッニァー!そんなのろまな矢じゃいくら射っても無駄だにぁー!」


 メルーシトは馬車の上で笑いながら胸を張る。

 すると森からメルーシトに向かって矢が飛んで来る。

 メルーシトは動じることなく首を傾けるだけで一本躱わして、残り2本を横に倒れるように躱わして、姿は見えないがメルーシトは矢が飛んで来た場所に寸分たがわず3本の矢を同時に射つ。


「ドライアロー!にぁー」


 すると、苦悶の声と共に森の入口の木から男達が落ちる。

 メルーシトは落ちた男達の頭に矢を射ちとどめをさす。


「なっ!!」


 後ろに下がった盗賊の親分が声を上げる。

 メルーシトが盗賊の弓使いの伏兵をドンドン射ち落としている間にもクリュエルは恐怖からまだ回復していない下っ端を斬り倒していく。


「クソッ!     ギャー!」


 盗賊の親分は分が悪くなったことを理解して逃げようと後ろ向きに下がろうとした時に、両足の甲から地面に縫い付ける様に矢が貫く。


「一人だけ逃げようなんていけないにゃん!」


 その瞬間に盗賊の親分の前にいた者達の頭が落ちて倒れるとそこには真っ赤な鎧に燃えるような赤い髪と目をしたクリュエルが立っていた。


「ま、待ってくれ!助けてくれ!」


 盗賊の親分は膝をついて命乞いをする。


「貴様は今までそう言った奴等を助けたのか!?」


 クリュエルは静かだが怒りのこもった声で言いながら首筋に刃をつける。


「ヒィッ!そ、それは………俺が殺したわけじゃない!だから助けてくれ!」


 男は震えながら懇願する。


「反省すら無い・・か…………」


 そう言うとクリュエルは刃を振り抜き首を飛ばした。


 戦っている時の技の美しさと地面を真っ赤な花畑の様に染めた中に立に妖艶に笑うクリュエルの姿に唖然としているトワにチッキャが近づく。


「どうだい?私等のリーダーは?凄いだろ!あれが〈首狩りローズ〉さ」


 チッキャが胸を張る。








 この世界に赤い花は薔薇ローズしかない。

 この世界に薔薇ローズは赤しかない。

 この世界の薔薇ローズは誰もが見逃すことはない。

 この世界の薔薇ローズは何よりも美しく誰もが囚われる。

 

 誰もが振り向く真っ赤な出で立と、戦いの美しさに誰もが見惚れ、戦いの後の姿に誰もが心奪われる。

 故に彼女の二つ名は薔薇ローズ

〈首狩りローズ〉!!






 誤字脱字の報告いつもありがとうございます。

 感謝しか無いです。

 これからもよろしくお願いいたします。

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