勘違い?知らなかったこと?
年末はいつも以上に忙しく遅くなってしまいすいません。
年末年始さえも休みが無い・・・・
今回は短いです・・・ごめんなさい
「・・・・・レットだと・・・」
クラインは眉間にシワを寄せて険しい顔になる。
「・・・そうですが、何か問題でもあるんですか?」
トワはそれが保護対象のドラゴンか何かで倒すのはマズイことなのかと思い周りを見るが、アイリとリーネはおろかクリュエル達も意味がわからずに首を捻る。
「いや、倒しても構わないむしろ倒してもらうと助かるが・・・ちょっと待ってろ」
クラインはそう言うと立ち上がり奥の扉を開けて行ってしまった。
「・・・なに?」
「・・・わかりません」
トワの呟きに放心状態から既に復活していたアイリが応える。
「私にもさっはりだ。なあ?」
クリュエルが手をヒラヒラと振りながら自分のパーティーメンバーの方を見ると他のメンバーは頷いている。
一同がクラインが入っていった扉をみていると、しばらくしてクラインがサッカーボールくらいの大きさの水晶玉を持って戻ってローブを着た細身の男と一緒に戻ってきた。
トワはローブの男に見覚えがなかったうえその男は喋らずに目を閉じているので声をかけづらいのでクラインが持っている物を見る。
その水晶に見覚えがあった。
この世界に来て最初に身分証もないためペイルトに入る時に門の警備をしている兵士が使っていた物と同じに見えた。
「え~と、それって、身分証が無い人が街に入る時に使う簡易鑑定できる水晶ですよね?」
トワの質問にローブの男が答える。
「似ていますが少し違います。これはギルドのカウンターで討伐記録を調べるために使われている専用の鑑定の魔玉石の予備です。調べられるのは討伐記録だけですが。トワ殿ギルドカードを入れて頂けますか?」
「えっと・・・あなたは?」
「あ、そう言えばお会いするのは初めてでしたね。トワ殿のお話は良く聞くもので初対面だと言うことを忘れていました。すみません。私はこの王都の冒険者ギルドでギルドマスターの補佐官をしていますギャブールと言います。以後頭の片隅にでも覚えていて頂ければ幸いです」
「あ、こちらこそ」
トワは元の世界の癖でつられて頭を下げる。
「カードをお願いします」
トワはギャブールに勧められるままカードを魔玉石のカードが入るくらいの切れ込みに差し入れると、トワが今まで倒した魔獣の名前と討伐数が横書きで新しいのから上から順に魔玉石の上に一覧となって立体映像となって現れる。
「あっ、申し訳ありません。オープンモードになってました!すぐに消しますので」
ギャブールは慌てて魔玉石に触れて何かを操作しようとする。
この魔玉石は討伐記録を立体映像として周りに見えるようにする機能(後ろからでも文字が逆さまにならずに読める)と、カードの持ち主の正面の魔玉石に映るようにする機能がある。
普通は本人が確認してから開示するのが普通だが、それが現在全員が見えるようになってしまっていた。
「いえ、構いませんよ。見られて恥ずかしいものは無いので、それにこれの方が見やすいので」
トワが手を出しながらギャブールの動きを止める。
「そうですか、申し訳ありません」
ギャブールはホッとした顔をして頭を深々と下げる。
(・・・・なんかみんな俺のことを凄い怖がっているけど、どんな噂になってるんだ!?)
「いえいえ、こんなことでそこまで頭を下げなくても・・」
トワは苦笑いをする。
「あ、いえ、トワ殿のことはクラインさんから優しい方だと聞いているのですが、どうしても噂が頭を過ってしまって・・・・すいません」
「いえ、噂は気になりますが、いいですよ。それよりこれで何かわかるんですか?」
魔玉石を指差しながらトワが聞く。
「あ、そうですね。ちょっと待ってください。・・えっと、これで・・・やっぱり」
ギャブールが魔玉石を触り上に出ている討伐記録の画面をスクロールさせていく。
「これを見てください」
全員がギャブールの指差す画面を見る。
「トワ殿が火を吐く赤竜を倒したのはこのダークドラゴンのすぐ前で間違いないですか?」
「そうですが・・・・あれっ!?」
ダークドラゴンの前にはレットドラゴンの名前が無かった。
「見ていただけましたか、ありませんよね」
「ええ、どういうことですか?」
「文献によると、レットドラゴンとは倒されると倒されたことを無かったことにして生まれ変わり、新しい個体でやり直すそうです。つまりトワ殿が倒したのはフレイムドラゴンに転生したものだったと言うことですね。そして、倒した者と戦うときに倒された回数だけ力が増していくそうです。生まれ変わるドラゴンの種類は決まっていなくて同時に複数の個体はいないそうです」
「へ、へー、・・・・」
(無かったこととかやり直しとかって、それそれって赤の〔Red〕の読み間違いじゃなくて、テニスや卓球用語の〔Let〕じゃねーか!)
トワはスポーツマンガにはまるとそのスポーツのルールから専門用語まで詳しく調べたりする。
以前テニスマンガにはまったトワは意味を知っていた。
「トワ殿は鑑定できるそうすから大丈夫だと思いますが、次に会ったら気をつけてください」
ギャブールはそう言って頭を下げ魔玉石からギルドカードを取り出してトワに返す。
「そうします」
「魔人を倒せるトワ殿ならば大丈夫だとは思いますが気をつけてください」
トワがカードを受け取るとギャブールは魔玉石持って離れていった。
「と言うわけだ。レイシャが気付かなかったのは気になるがな」
クラインがギャブールを見送ってから言う。
「はあー、なるほど、確かドラゴンを倒した後に死体だけ確認してカードの確認をしてなかったのでわからなかったんですね」
「そらなら、レイシャも気付かないが、確認を怠るなんて怠慢だな。・・・何も言えないがな」
クラインは腕を組んで呆れた顔でため息を吐く。
クラインは冒険者になりたての頃にレイシャに世話になり師弟の関係ののようなものであった頃があり、その頃の厳しい特訓をうけて恐怖を刷り込まれていていまだに頭が上がらない。
「まー、それだけ後処理が面倒だったから抜けるところで抜いたってことじゃないですか?」
「まっ、そう言うことにしておいて、一応体裁のために文書で注意をしておくか。この話しはこの辺でいいとして、アースドラゴンの討伐の話なんだが」
「クラインさんが行けば?」
「まー、1体ならば俺のパーティーでなんとかできるかも知れないが、報告によると最低でも3体はいるらしくてな流石に無理だ」
(いや、そもそもAランクの冒険者十数人で狩るんじゃ無かったけ?)
「えっと、クラインさん達も化け物?」
トワが首をかしげながら聞くとクラインが青筋をたてて声を上げる。
「なわけあるか!俺等はAランクの中でも最強クラスと言われているだけだ!お前と一緒にするな!てか、"も"てことは自分が化け物だと少しは認識しているんだな」
「まあ一応、俺が普通の人間です。って、言ったて誰も納得しないでしょ?それぐらいは自分でわかりますよ。悲しいけど」
肩を落とす俺をアイリとリーネが左右の手を握ってくれる。
(アイリとリーネの優しさが嬉しい。俺、泣いちゃうよ)
「話しを戻すが流石にドラゴンを複数体と言うとSランクの依頼になっちまうから受けられるやつがいないんだよ。報酬は勿論弾む!」
「お金は余るぐらいあるからいいんですが、・・・・」
レットドラゴンと同じくらいの強さならアイリとリーネも危険は少ないし、トワもこれからのことを考えてステータスを奪って大幅に上げらる時に上げた方がいいと結論を出した。
(下級の魔人があの強さだもんな、その上とやりたくはないが可能性が零じゃあ無いし上げておいた方が無難だよな)
「・・・・・わかりました。うけます」
「そうか、よろしく頼む」
クラインが嬉しそうに言う。
「そう言えば、トワお前の剣術スキルのレベルはいくつなんだ?」
「へぇっ!?」
トワは予期せぬ質問に変な声を上げる。
「ん?知らんのか?スキルと言うものがあってだなそれを冒険者ギルドで調べることが出来るんだぞ!そのお陰で自分にあった戦術で鍛えていけるんが・・・・」
「スキルは知ってますが調べられるんですか?」
神も知らないことだが二百年前にスキルと特殊スキルを調べられるようになっていた。
神と言ってもひとつの世界を四六時中見ているわけもなく希に問題がないか簡単に確認する程度であったために気付いていなかった。
(調べられ無いと決めつけてたけど・・・見れるんだ・・・・人からスキルを奪うのは盗賊以外やめよ)
「見れるさ!お前自分に鑑定のスキルがあるってわかってるくせに何で知らないんだ?調べたことがあるんじゃないのか?」
クラインは眉間にシワを寄せて怪しそうにトワを睨む。
「いや、ほら魔獣とかの名前がわかることを言っていたらそれは鑑定のスキルだと言われたからそう言っているだけだ」
トワは内心ドキドキしながら表面上は取り繕う。
「ん~、納得は出来ないが、まあ、いいか」
(いいんだ)
「調べていくか?」
「いや、またの機会にします」
トワがスキルを調べられると色々と厄介なので断る。
勿論アイリとリーネの二人も見られるとマズイのでこちらも断る。
トワ達がそんな話しをしているとクリュエル達は何かを話し合っていて、それに結論が出たらしく真剣な顔でトワに向き直る。
「トワ!」
「な、何ですか?」
クリュエルの勢いにトワは少し後ろに下がってしまう。
「私達もそのアースドラゴンの討伐に連れていってくれないか!?」
「へぇっ!?」
トワは本日2度目の変な声を上げる。
誤字脱字等を指摘報告していただいて本当に感謝しています。
ありがとうございます。
これからも誤字脱字があると思いますが出来ればこれからもよろしくお願いいたします。
本当に