新人の道とこれからの道?
仕事が始まりました。
休みがほとんど無いので、更新が遅くなると思います。
頑張っていくので、よろしくお願いいたします。
ギルドの扉を開けて中に入り、何時もの様にサリーさんのカウンターに行こうとしたときに、
「おい!」
後からキザっぽい奴に声をかけられた。
(お!これは、新人特有のあのイベントか?・・・・・・・まあ、いいか!)
無視して、行こうとしたら、
「おい!黒髪のテメーだよ!」
周りを見回しても黒髪はトワだけたった。
仕方ないので振り返り。
「何か用ですか?」
不快感を出して返事をした。
「新人がいい度胸だな!俺様に挨拶無しか?」
キザ野郎はデカイ声を出しながら睨んで威圧してきた。
トワはそれを正面から見据えてめんどくさそうだと思った。
見るからに迷惑そうな顔をしながら辺りを見ると、ほとんどの奴は、眼を反らした。
自分から面倒事に首を突っ込んでくる奴はいない。
(当たり前の反応だよな、俺も絡まれてるのが可愛い女の子じゃなければ助けないからな。・・・・・
面倒くさ!ステータス奪って殺すか!・・・街中しかも、こんなに目立つ所で殺すのはまずいな、ステータス奪うのも後から何か詮索されても嫌だしな。
スキルポイントだけ奪えるか試してみるか!)
キザ野郎がトワの胸ぐらを掴む。
トワはその手を掴みスキルポイントを奪った。
(おっ!奪えるじゃん!でも、15ポイントしかない!
ステータスの上がりかたは、個人で違うのかな?)
もう用はないので、襟を掴んできたキザ野郎の右腕の肘を、下からおもいっきり押してやったら肘が折れた。
今度は、痛がっている奴の膝を前から蹴ってやった。
膝も折れてその場でのたうち回っている。
それを見下ろしているトワに歓声と拍手か起こる。
キザ野郎は嫌われまくっていたらしい。
いつの間にかキザ野郎の後ろにいた、ガタイの良い、いかにも冒険者って感じのオッサンが、キザ野郎を入り口の扉から外に投げ捨てた。
外を見ると、兵士が来ていてそのキザ野郎を連行していく。
(外に兵士が集まってたのか、俺の気配察知に引っ掛からなかった!壁が1枚あると、集中しないと分からないのか!それより問題は目の前のオッサンだ!全然気が付かなかった。・・・・・あ!キザ野郎のステータス見るの忘れた。)
警戒はしたまま呆然としている俺にオッサンが
「オメーなかなかやるな!俺はクラインAランクの冒険者だ!」
「Aランクの人には初めて会いましたよ。
俺はトワ コダカです。まだ登録したての新人です。」
「新人でその強さ、期待の新人って感じか!」
(何このオッサン恥ずかしい、やめて~!)
「そんなこと無いですよ。たまたまですよ」
「がははは!謙遜するなよ。良い動きだったぜ」
「ありがとうございます」
クラインさんは何か用があるらしく、夜に飯を食う約束を(オッサンが一方的に)した。
握手をして、トワは泊まっている自分の宿を教え別れた。
トワはサリーさんのところで依頼の報告をする。
「サリーさん薬草採取終わりました」
「はい。承りました。トワさん大変でしたね」
「あれぐらいなら、大丈夫ですよ。あと、森の近くでゴブリンに囲まれて、倒したのでそっちも良いですか?」
「はい。ギルドカードをお預りします。薬草は此方の箱に入れてください。怪我とか無いですか?」
サリーさんはカウンターの下からミカン箱の様なものを取り出した。
俺はそこにタンポポもとい薬草を入れた。
薬草は1束銅貨1枚だ。
「怪我は無いですね。少し疲れましたが、そう言えばゴブリンの1匹が魔法を使っていたので驚きました。
討伐数は5匹になってますか?」
処理をしていたサリーさんの手が止まり、驚いた顔をしていた。
「えっ!魔法ですか?それは、ゴブリンメイジですね。
複数に囲まれて更にメイジまでいて無傷ですか?
・・・・・期待の新人ですね」
「サリーさんまで、止めてくださいよ!」
「いえいえ、本当に凄いことですよ。あと、
ゴブリンメイジも、記録上ゴブリンとなりますので、
大丈夫ですよ。」
サリーさんはカウンターの下から硬貨をトレーに入れて出してきた。
「そうですが、他より強い気がしましたが?」
お金を数えて受け取った。
ゴブリンは1匹銅貨5枚だった。
薬草30束で銀貨3枚とゴブリン5匹で銀貨2枚銅貨5枚、合わせて、銀貨5枚と銅貨5枚だった。
硬貨をしまうのを確認したサリーさんが、
「今、HランクのトワさんはGランクの薬草採取とゴブリン討伐の2つ達成で、それぞれ2ポイント入り計4ポイント入りました。ランクを上げるのにあと、6ポイントになります。頑張って下さい。それと、
ゴブリンの内分けについて、説明しましょう。」
「お願いします。」
「ゴブリンはギルドカードに討伐数が記載されるのは、
種類は3つですね。
まず1つめが、Fランク討伐になっている、ゴブリンです。ゴブリンと言ってもFランクの普通のゴブリン以外に、Eランク相当のゴブリンメイジ、ゴブリンアーチャー、ゴブリンファイターがいます。普通この3種は森の奥にいるので、Fランクの冒険者は滅多に会いません。
会ったら直ぐに逃げます。ゴブリンは全体的に足が遅いので逃げられます。次は出来れば逃げてほしいですね。
本当に危ないんですよ」
「大丈夫ですよ。出来るだけ気を付けますから。
俺が森の入り口で会ったのは、偶々だったですね」
サリーさん笑顔のまま軽く頷き、続ける。
「次はCランクのゴブリンナイトです。体に金属の鎧を着けているので分かると思います。
ゴブリンは森の中に集落を作り50匹前後で暮らしています。集落に必ず1匹か2匹います。なので、
集落を見つけたら戦わずにギルドに報告してください。
ギルドで何人かに声をかけて、討伐隊を編成します」
「最後が、ゴブリンキングです。体が大きく2メートル以上あるらしいです。
強さも個体によって違うそうです。
ゴブリンの集落が3つ4つ集まることがあり、その時に極稀に現れます。全力で逃げて下さい。ゴブリンと名前があっても、強いので最低でもBランク以上になってます。ゴブリンについてはこんなところです。
大丈夫ですか?」
「はい。分かりました。ゴブリンの集落見たら逃げるようにします。ありがとうございました。今日は、失礼します」
笑顔で頭を下げて、ギルドを出る。
(森の中は、危険だなまだやめといた方がいいな。)
今日は、まだ、4時の鐘が鳴ったばかりで時間があるので、初日に買った串焼きを食いながら、街中を見て回った。すると、一軒のやたらとデカイ店を見つけた。
(ロイド商会?なんの店だ?)
看板で名前は分かったが何を売っているのかわからない。
すると、店の中から小太りの男性が出てきた。
(若そうだ)
「いらっしゃいませ。ロイド商会にようこそ。
私は亭主のロイド=アストイと言います。」
ロイドは凄い笑顔で話しかけてきた。
「冒険者のトワです。よろしく。大きな建物で、目についたもので、店の前ボーッとしてましたすいません。所で、此処では何を売っているのですか?」
「此処は奴隷商です。」
トワは奴隷と聞いて、眉を潜めた。ロイドはそれに気づき
「いえいえ、私共は真っ当な店ですよ。其処らの二流三流の店と違い奴隷の扱いもきちんとしてます。
見ていきますか?」
ロイドは自信満々に言った。
(奴隷か、今まで考えてなかったが、この世界の常識を知るには良いかもしれないな。それに、あわよくば、・・・・・ふふふ)
常識を知るのに、他の人に聞きすぎると色々バレて色々面倒に巻き込まれる可能性がある。
奴隷ならば、いくら話しても口止めすれば安心できる。
「ちなみに、若い女性で、安くて、いくらくらいですか?」
ロイドは腕を組んで考える素振りをして
「一番安くて、金貨20枚ですね」
(無理だ!)
崩れそうになる膝を抑えて、今ある硬貨を数える。
神から貰った分を合わせて、金貨1枚、銀貨11枚、銅貨13枚だった。
「お金を貯めて出直してきます」
「そうですが、でわ、その時を御待ちしております」
ロイドは、笑みを崩さず深々と頭を下げた。
頭を軽く下げて宿へと戻った。
宿に着く頃にちょうど6時の鐘が鳴った。宿に着き扉を開けると食堂スペースからデカイ声で俺を呼ぶ声がする。
(・・・本当にいるよ・・・クラインさんだっけ?)
「おーい!ここだ!ここ!」
しょうがないので、同じテーブルに腰を掛ける。
「すいませんクラインさん。待たせました?」
「いや!時間は決めてなかったからな!かははは!」
それから、数時間話をして別れた。
別れ際にクラインさんが、
「王都で困ったことがあったら、俺の所にこい!」
と言い残し何処かに行った。
トワは部屋に戻り、体を拭いて、ベッドに倒れこむ。
クラインとの話で、色々知れた。
今いるここは、パースト国内にあるペルイトと言う街らしい。
北には雪深い極寒の国アルメイがあり、南隣には岩と高い山々が連なる国ガルエカがある。
ガルエカの更に南に、常夏で海に面している国ドルドイがあるらしい。
そうして、西には魔王の統べる魔国があると言う。
魔国に陸でつながっているのがパーストとガルエカで、パーストとガルエカとの国境線には大きな山脈がある。
ドルドイとガルエカは大陸が違いガルエカの南の海のむこうにドルドイがある。
アルメイとドルドイは魔国の大陸とのあいだに海がある。(アルメイ側の海は凍っている)。
ガルエカは魔国との国境線に大きい山があり、今までそれほど脅威は無かった。しかし、パーストは平原が続き魔獣等の大量侵攻が起こる可能性がある。
此の街ペルイトは、その時の為の最前線の砦だと言う。
そんな話をして、クラインは
『このまま、ここに残りもしもの時に戦うもよし、
若から世界を見てまわるのもよい、決めるのはお前だ!
他の国を見るのも、いい経験になると思うぞ!』
と言っていた。
冒険者ギルドは国に属さない独立組織らしく、どこの国の冒険者ギルドでもつながっている。
その事を考えていたら、瞼が閉まる。