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(脱線)いつもの侵攻?

 遅くなりました。


 誤字脱字が多くてすいません。


 気付いた時に随時なおしたいと思います。


 最近苦労してCランクに上がり四人の冒険者達が武器や防具が消耗してしまい新たな武具を買う相談をしていた。


「やっぱりCランクになったんだから良い武器を使いたいよな」


「わかるけど、俺等金がないからな」


「このあいだの依頼で皆怪我したからね」


「安いのを買うか?」


「やだよ!このランクで恥ずかしいよ!」


「そうだよな!下のランクの依頼を受けるか?」


「それこそ恥ずかしいって!それに、討伐依頼はこの状態の武器で怖いよ」


 冒険者の依頼は子供の小遣い程度の街中の依頼や安価の薬草採取、それにたまにある護衛といつでもある普通の討伐依頼が支流だ。

 武器を買うためには討伐以外を受けても金が少なく選択肢にすら入らなかった。


「だよな、「「「はぁ~」」」」


 4人の溜め息が重なった時に パーン という音がギルド内に響きわたった。

 その音はギルドマスターが注目を集めるために手を叩いた音だった。

 4人はカウンターの方にいるギルドマスターを見る。


「緊急依頼だ!サハギンの侵攻が始まったかもしれん!そのために敵の規模と戦力それとどれくらいの速度で近付いているかを調査してほしい!依頼料は通常の倍以上だ!なお、大人数では気づかれる恐れもあるので1パーティーに行ってもらう!」


 それを聞いて数組のパーティーが動く。

 現在ギルド内にいるのはDランク以下の冒険者ばかりでCランク以上は4人だけだった。

 4人は顔を見合わせて頷き自分達はCランクだということを使い他を押し退けて偵察依頼を受け夜の海へと消えていった。


 


 


「ん゛~、ん゛~」



 そんな偵察の冒険者の船が沈んだ翌朝早朝シュナードの冒険者ギルドのカウンターの後ろで片足に木の義足をつけた無精髭のおっさんが腕を組み唸りをあげている。

 義足と言っても足の長さに合わせた杖のような木の棒を着けるだけのものだ。


「ちょっとギルドマスター!気になるのはわかりますが後ろにいられると迷惑です!」


 カウンターで冒険者達の対応をしている一人の女性が、振り返り後ろで唸りをあげているおっさんに声をあげる。

 その女性の発言に他の職員達がウンウンと頷いていた。


「すまん。だがよ、昨日の夜には報告に来るはずが日が上っても来る気配が無いんだぞ!何かあったのかと気になるだろ!」


「それはわかりますが、ギルドマスターが唸ったからってなにも変わりませんよ」


「ん~、だがよ、」


 ギルドマスターは自分の顎をさすりながら眉間に皺をよせる。


「は~、だったら〔空王の翼〕に頼めば良いじゃないですか。あの方々なら偵察なんて報酬の少ない依頼でもやってくれますよ」


 〔空王の翼〕とは〈雷公〉のナイゼルがリーダーをしているパーティーの名前だ。

 ナイゼル達は魔獣の卵を拾い孵化させたところAランク魔獣のグリフォンの双子が産まれて、それを育てて今ではAランク魔獣に相応しい力と大人が3人乗れる程の大きな体になった。

 グリフォンとは空の王それに獣の王と呼ばれる獅子の体と鷲の頭と翼を持つ魔獣だ。

 その魔獣に騎乗して移動しているためにナイゼル達のパーティーは〔空王の翼〕と呼ばれている。


「そうだな、考えていてもらちがあかん。では、〔空王の翼〕に連絡を頼む」


「もう既に昼前までにギルドの方へ来ていただくように話しは通してあります」


 カウンターの女性が振り向きすました顔で言うと、ギルドマスターは一瞬驚いた顔をしてすぐに満足げに腕を組み何度も頷いていた。


「うんうん、できる職員が多くて助かる。ひとえに俺の教育のたまものだな!ワハハハ!」


「は~、上司が駄目だと部下がしっかりしなければならないからですよ」


 女性は高笑いをしているギルドマスターに聞こえないくらいの声でため息混じりで呟く。


「それよりも、何で、今すぐではなく昼前までになんだ?」


 笑い疲れて満足げのギルドマスターが聞く。


「それくらいが妥当だと思いましたので」


 ギルドの中はまだ朝早いために冒険者の数は少なくカウンターも暇なために女性は後ろにいるギルドマスターの方に椅子ごと完全に向き直りたんたんと答える。


「俺が寝ずに待っているのにか?それに、偵察の依頼を受けた冒険者が戻って無いんだぞ?大規模侵攻の可能性があるだろ!」


「侵攻と言ってもいつも通りサハギンの群れでしょう。大規模と言っても所詮はサハギンですから、それに今回の依頼を受けたパーティーは実力はありますが、斥候もおらず偵察の依頼を受けたことがない方々ですから、群れの進行方向に構えてしまい残念ですが数に負けたのでしょう。今までのことを考えると群れは1万以上でしょうから、4対1万ではAランクの方々ならば撃退するなり逃げるなり出来ると思いますがそれ以下の冒険者の方々には難しいと思います。勿論、偵察などを斥候がメインの方ならそれなりの実力があれば話しは別ですが。それと、ギルドマスターが寝ようが寝まいがそんなことご自分の自由で今回の件とは関係ありません」


 女性は事務処理のようにたんたんと語る。

 彼女は冒険者達が死んだかもしれないことが悲しく無いわけではない。

 彼女がギルドのカウンターで働くようになって既に10年程たち、その間には送り出した冒険者が酷い怪我をして冒険者業を廃業したり、帰ってこない者や数日後に死体で発見されたりすることは日常のことだった。

 その度にギルドの職員であり、ギルドの顔とも言えるカウンターの仕事をしている者が取り乱したり悲しみを表に出せば、他の冒険者達に不安をいだかせその者達の士気にかかわることを経験でわかっているために彼女は、いつでも悲しみを仕舞い感情を圧し殺している。

 そんな彼女は親しい冒険者が死ぬと仕事が終わり部屋で一人になった時に顔を枕に押し付けて声を殺して泣いている。


「うっ!だが、いくら偵察が初めてと言ってもよ。Cランクの冒険者がそんな過ちをおかすか?」


「彼等はランクが上がったばかりで少しうかれていたのでしょう。ランクが上がったばかりのもの達がうかれて少し上のランクの依頼を受けて失敗することは良くあることです」


「だ、だがよ。俺は緊急依頼として出したよな?何で他に回すときに少し緊急性を落としてるんだ!」


「落としてませんよ?〔空王の翼〕の方々には緊急だと伝えております。昼頃と言ってあるのは、こちらの処理もありますし、〔空王の翼〕の方でも準備があると思いますので、昼頃までに全ての準備を終わらせて依頼を受理したらすぐに出てもらえるように配慮したのです」


「ほー、なるほどな。やるな!」


 ギルドマスターが感心していると女性は大きな溜め息をついた。


「何もしないで 俺は寝ないで待っていたのだ と偉そうにつったている木偶の坊とは違いますから。ドルゲイン貴方が唸っているあいだに出来るだけの処理は済ませてあるので、貴方は〔空王の翼〕が来たら詳しい説明くらいはやってください。それと、貴方はギルドマスターらしく自分の執務室でドッシリと構えていて下さい」


 女性はギルドマスターの自覚の無さにイラつき少し感情が表に出た。


「怒るなよフローリア。わかってる説明はやるよ。それと、他の冒険者達にはこの事はまだ内密にな」


「わかっています。実証が無いのに無闇に情報を流せば混乱になりますから。それとなく警戒するくらいに噂のように流しますが」


「ああ、そうしてくれ」


 ギルドマスターは頷き自分の部屋に戻っていく。


 ギルドマスターの名前はドルゲイン、カウンターの女性はフローリアと言う。

 二人は10年程前にドルゲインがリーダーをしていた冒険者パーティーて組んでいた。

 Aランク間近だったドルゲインがある依頼で片足を失って冒険者を廃業したときにフローリアは『ドルゲインは私がいないと何も出来ないでしょ!』と言い冒険者をやめて、歳のために引退する先代ギルドマスターの代わりにシュナードのギルドマスターになるためにシュナードに来たドルゲインについてきた。



 二人のやり取りからドルゲインがギルドマスターの執務室に下がってからしばらくしてナイゼル達が準備を終わらせてフル装備でギルドの中に入ってくる。


「フローリアさん、いつでも出れます!」


 ナイゼルがフローリアの元まで行く。

 ナイゼル達がギルドに入るや否や併設する酒場で既に飲んでいた冒険者達が騒ぎだす。


「おいおい!〈雷公〉のナイゼルじゃねえか!」

「フル装備で!何かおこるのか!?」

「えっ!いつもの侵攻って聞いてるけど違うの??」

「そう言えば昨日の偵察に出た奴等まだ見てないぞ!!」

「今回はヤバイのか!?」


 しばらくざわめきが収まらなかったが一人の男が酒を一気に飲み干して少し大きな声を出す。


「ハイハイ!気にしすぎだろ!?シュナードには結界の魔玉石があるし、それに何たって〔空王の翼〕の面々がいるんだぜ!?いつもより強力な侵攻でもよ問題ないだろ??」


 男がそう言うと『そうだよな』と皆が口々に言い出し落ち着きを取り戻す。

 男はカウンターの方を見るとフローリアが笑顔で頷いていた。

 彼は冒険者ギルドが雇った信用できるサクラだ。

 フローリアはナイゼル達がフル装備で来れば騒ぎになることは

予期しておりその前に先手をうっていた。

 慌てた奴らも1人冷静な奴が理由をつけて強気で大丈夫だと言うと判断能力が下がっているうえ信じたいと言う気持ちが何となく納得させてしまう。



 ナイゼル達は騒ぎを止めにいこうとしたがすぐにおさまったのでフローリアの方を向いた。


「それでは奥でギルドマスターに詳細を聞いてください」


 フローリアはナイゼル達を奥へと通す。


 ナイゼル達がギルドマスターの執務室に入りソファーに腰を下ろすとドルゲインが神妙な面持ちで向き合う。


「それで、大体は聞いていますが依頼は昨日話した魔獣の侵攻の偵察で良いのですよね?」


 ナイゼルの方から話し出す。

 ドルゲインはそれを聞いて深く頷く。


「ああ、実は昨日のCランクの冒険者4人を偵察に出したのだが未だに戻っていない。話しによると4人は斥候もおらず偵察も初めてらしいためにただのミスではないかと言うことなのだが、もしものことがあるために〔空王の翼〕には従魔のグリフォンで空から偵察をしてきてくれ!」


 その言葉に全員既に緊急依頼をしに彼等の宿に来たギルド職員に聞いていたためにすぐに頷いて立ち上がる。


「すぐに行ってきます!」


 ナイゼル達が扉に近付くと外からカーンカーンと鐘の音が響き渡る。


「「「「「「「!!」」」」」」」


 全員が驚いていると外から扉が勢い良く開かれてフローリアが入ってくる。


「敵襲です!サハギンによる侵攻です!数はおよそ5万!!」


「なっ!なにーーーー!!!」


 ドルゲインが机を叩いて立ち上がると同時にナイゼル達は外へと走り出す。






 




 



 


 まだ少し続きます。


 それと、なぜ二つ名が〈雷公〉なのかは少し後の別の話でナイゼル達の話を書こうと思っているのでその時に書く予定です。


 ドルゲイン達の話を短編としていつか書きたいです。

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