表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/69

訓練2日目(後半)?

 スキル、女王の覚悟の内容を少し変更しました。


 36会食?でのシェンヤがファシアを呼ぶときの名前をメリからシアに変更しました。



 

 しばらくシェンが落ち着くまで子供をあやすかのように背中を軽く叩き続ける。


「もう、大丈夫です。すいません」


 シェンは目を擦りながら離れる。


「俺も言い過ぎた」


「いえ、僕が甘えていました。自分がやらなくても誰かがやってくれるんじゃないかと・・・・・もっともっと頑張りますので、これからもお願いします!」


 シェンは立ち上がり勢いよく頭を下げる。


「ああ、任せろ!」


(・・・俗に言う飴と鞭って本当に効果があるんだな!・・・これで懐柔は出来たな)


 トワは笑顔を向けるとシェンは年齢相応の屈託の無い笑顔を返す。


     チクッ!!


(あれ痛い、何かあの笑顔を見ると心が痛い・・・・イタタタ)


 トワは胸の辺りを擦りながらシェンと共に腰を抜かしているファシアの元に行く。


「ファシア」


「あっ、はい」


「ああ、いいよ。シェンも座れ」


 立ち上がろうとするファシアを止めてシェンに座るように促して、二人を並ばせて座りトワは向かいに座る。


「さてファシア!攻撃の時に呪文を叫び注意をそちらに向けて、当たればなかなかのダメージを与え、もし防がれても仲間が次の攻撃を射つ隙を作れる煙幕を起こすこの攻撃を考えたことは素晴らしい」


「はい!」


 ファシアは褒められたことが嬉しくて笑顔で返事をする。

 しかしトワはそんなファシアを真剣に見つめて話しを続ける。


「しかし!これは相手が動かないことを前提とした作戦であり攻撃だ!もう少し改良の余地はあると俺は思う。それをふまえても及第点だ」


「はい!」


 今度はファシアも真剣な顔でトワの話しを聞き頷く。


「そこまではいい、だが!問題はその後だ!俺には遠距離の攻撃が有ることはわかっていただろう?仲間の援護は大事だがまずは自分の身の安全を確保しろ!あの人形は動かせないようだから逃げ隠れするのは無理だろうからせめて土魔法で壁を作り攻撃に備えてから動くべきだ!情報を集めて伝えるファシアが倒れればシェンは正確な行動が出来ずに倒れるだけだ」


 ファシアは自分の魔法を見抜かれていたことにトワの言葉で気が付くき驚く。

 しかし、トワならばそれぐらいは当然かと考えてファシアは首を振る。


「で、でも、妾が囮になることでその隙をついて倒せるのではないか!?」


「確かに魔王との最終決戦ならば良いだろうが、次がある戦いではダメだ!それに今回シェンはファシアが殺されることはないと頭のすみにでも考えがあったために冷静でいられたが、実際に目の前でファシアが、愛する者が殺されて冷静でいられるか!?」


(俺には無理だ!アイリとリーネが・・・・・考えただけでも嫌だ!!)


 シェンとファシアを見る。

 ファシアは俯いていた。


(確かに妾はシェンを失うのは怖い、・・・先代である母上が死に女王を継ぐと決めたときに、自分が死ぬ覚悟も、誰かを殺す覚悟も見捨てる覚悟もしている妾でも考えただけで手足が震えるのじゃ・・・・シェンには・・・)


 ファシアは一瞬だけシェンを見て震える手を手で抑えるように組んで再度頷く。

 トワはそんなファシアの様子をなにも言わずに優しい目で見る。


(賢い子だ、まだ、こんなに小さいのに最悪を想像出来ているみたいだな。ステータスの高い魔法使いだから幼くても想像力は高いんだろな)


「で、でも、僕には誰かを犠牲にしてもって・・・・」


 シェンは顔を上げてトワに聞く。


「確かに言った。それについては俺の判断が甘かった、訂正しよう。二人は何があっても生き残ることを考えろ!」


 シェンは首を傾げて疑問符を頭に浮かべている。


「じゃあシェン!ファシアがお前の傍から居なくなることを考えてみろ?」


「何日ぐらいいないの?」


 シェンは悲しそうな目でファシアに聞く。


「考えろと言ったんだ!」


 ファシアは苦笑いをした。


「もっと細かく言うぞ!お前の目の前でファシアが血を流して死ぬところを思い浮かべろ」


 シェンは目を閉じて頑張っているが、うまくイメージ出来ないらしい。


(おいおい!魔法で剣を作ったりするくせに即像力が無すぎるだろ!)


「はぁ~、想像をしやすくするぞ」


 トワは一つため息をついて威圧の波動を思考が停止しないくらいに抑えて放つ。

 シェンは驚いたように目を見開いてトワを見た。

 シェンの隣にいるファシアは神妙な面持ちだが威圧の波動が効いている様子はない。


(やっぱり《女王の覚悟》には威圧は聞かないか)


 目だけでファシアの様子を窺いすぐに驚いているシェンと目を合わせる。


「これで少しは想像をしやすくなったろ?」


「・・・っ!」


 威圧の波動に殺気を込めているのでシェンは死を実感しやすくなって少し震えている。


「今、目の前でファシアが俺に殺されるところを想像しろ!更にはこれから先ファシアに会えなくなる」


 シェンは顔をだんだんと青くして目に涙を溜める。


(よし、よくアニメである強い相手の殺気だけで自分や周りが死んだような錯覚をするやつ成功だな)


「・・・・・・だ!」


 シェンが震えながら呟く。


「ん?何だ?」


「・・・・・やだ!」


 よく聞き取れなかったので聞き返したがまた聞き取れなかった。


「もう少しはっきりと言ってくれ」


 すると勢いよく顔を上げて、


「シアちゃんが居ないなんて嫌だ!!シアちゃんの居ない世界なんかいらない!」


 泣きながら叫んだ。

 トワは目の前で急に叫ばれたので一瞬キョトンとしてた。

 ファシアは顔を赤くして俯いて嬉しそうにしていた。


「・・・ああ、うん、そうだよな、だから二人は生きろ」


(やり過ぎかな?トラウマにならなければいいな)


 トワは最悪の場合はファシアを犠牲にしてもシェンが最後まで生きろと言おうと思っていたが、流石に取り乱している今のシェンには言えなかった。

 トワがファシアを見るとファシアはその事を察しているらしく目に強い意志を宿して頷いた。


「シェン?嫌だろ?だから、不意討ちをしても、罠を仕掛けても、毒を使ってでも生きて勝つことを考えろ」


 シェンの頭を撫でる。





 その後三人で反省会をしているとしばらくして昼飯の時間のようでメイド達が訓練場の端の方で準備を始めていた。


「続きは昼飯の後だな、俺はアイリとリーネを呼んでくるから二人は手と顔を洗ってこい」


「「はい!」」



 三人立ち上がり別々の方へ歩きだす。

 アイリとリーネの闘いも決着が付きそうで無闇に声をかけられずそのまま傍らで見ていた。




 二人は数歩の距離で止まっていた。

 まるでその場の空気まで止まってしまったように錯覚するほど闘いの中なのに静だった。


 静寂を破ったのはリーネだった。

 リーネは距離が無かったかのように強烈な1歩で固められた地面に足跡を残しながら自分の間合いまでつめて、勢いをのせた右ストレートをくりだす。

 アイリは首を傾けるだけで躱わすが、躱わされたリーネは止まること無く左足を強く踏ん張り右のハイキックをうつが、アイリはそれも読んでいて足を開き体を下に落としリーネの蹴りを躱わす。


 リーネは躱わされた足をアイリの頭上で無理矢理に止めて踵落としをしようとする。

 アイリは足を開いたままで躱わせないためにリーネの攻撃を左手の短剣で迎え撃ち、右でリーネの左の軸足の防具の無い膝上に横凪ぎに攻撃をする。


 リーネの足の装備(訓練用の借り物)は膝までのブーツ型で魔獣の革で出来ていて、爪先と靴底と踵それに足首から膝までの正面と後ろに数センチ幅の鉄が入っているために攻撃力と防御力はそこそこある。


 アイリはそれをわかっているために膝上を攻撃する。

 リーネは攻撃をやめて左足をのみでジャンプしてアイリの攻撃を躱わす。

 アイリは下から上に持ち上げるように攻撃をする。

 普通は空中では身動きが出来ないためにジャンプするのは愚の骨頂でアイリの攻撃が当たる筈だった、が、リーネは拳を振るうことで体を捻りアイリの攻撃を躱わす。


 リーネは右拳に魔力を溜めて着地と同時に殴りかかる。

 今度は的の小さな顔でなく体に向けて拳をふるう。

 アイリは右足を後ろに滑らしながら体を半身に捻りながら躱わしながらリーネの拳に右手で持つ短剣の柄尻をあて体を捻る反動を利用してリーネの拳を後ろにそらす。


 さらに、アイリは右手を後ろに回し体を捻る勢いを使い左の短剣をリーネの首に向ける。

 アイリもトワも当たると思ったがそこでリーネの目がキラリと光った瞬間にリーネの動きが素早くなり、右手を戻しながら体を反らしてアイリの攻撃を紙一重で躱わすが、アイリはリーネの右手が戻されるのに合わせて自分の右手も一緒に動かして振るった左手でリーネの目から右の攻撃を隠してリーネの喉元に右の短剣を突き付ける。


 暫く二人の動きが止まり、リーネは一つ息をはいて握っていた拳を開き両手を上げる。


「まいった~、アイリちゃん昨日より強いよ~」


 アイリもリーネの首に突き付けている短剣を戻し二本とも鞘にしまう。


「リーネちゃんだって、まさか左が躱わされるとは思わなかったから驚いちゃった」


「あれは、体が勝手に動いたの~。でもアイリちゃん全然動揺してなかったように見えたよ~?」


「うん、自分でも不思議なくらい落ち着いてた」


 パチパチパチ


「二人ともいい闘いだったぞ。とりあえず昼飯を食べよう」


 二人の闘いが終わったのを確認して拍手をしながら声をかける。


「ご飯食べる~!」


 リーネは昼飯が準備されているところに走っていく。


「あっ!リーネ!ちゃんと手と顔を洗ってこいよ!」


「は~い!」


 そんなリーネを見送ってアイリの方を見ると赤くなりモジモジしている。


「どうしたアイリ?」


「あの、今日は私が勝ちました」


「うん、そうだな見てたよ。動きがよくなったな」


「はい!ありがとうございます!・・・・それで、その、・・・勝ったので約束の・・・」


「もちろん、今夜は覚悟しろよ」


 トワがそう言うとさらに赤くなり手で顔を隠すが、喜んでいるのが隠してもわかるくらいだった。




 





 五人で昼飯を食べて少し休憩をしていると訓練場の入口の方から騎士が走り込んできた。


「ファシア=メリトス女王陛下!急ぎ会議室へ御越しください!緊急事態です!」


「緊急事態とはなんじゃ!?」


 するとその騎士はファシアの護衛をしている者の中でも高そうな鎧を身に纏っている騎士に耳打ちをする。


「なっ!!それはまことか!?」


 驚き聞き返すと走り込んできた騎士は神妙な面持ちで頷く。


「陛下!」


 護衛の騎士がファシアに耳打ちをする。


「っ!!すまぬが、今日はここまでにしてくれ!」


 そう言うとシェンと護衛を連れて訓練場から急いで出ていった。


「なんだろう?」


「なんでしょうか?」


 残されたトワとアイリは首を傾げてリーネは日差しが気持ちよかったのか寝ていた。

 やることも無くなったので部屋に戻る。






 部屋に戻りリーネは寝ているので、アイリと夕食まで約束のご褒美ということで二人で楽しんで夕食を食べてからはアイリとリーネと三人で楽しく過ごした。



 

(何があったんだろう?面倒には首を突っ込みたくないが気になるな。明日それとなく聞いてみるか)


 そんなことを考えて眠りに落ちる。



 


 


 

 






 バトルムズカシイ!


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ