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訓練1日目(後半)?

 遅くなりすぎてすいませんでした!!


 言い訳ですが、仕事が忙しく休みもなく仕事中も飯休みまでなく・・・・・・まだまだ忙しい日々が続きそうです。


 また更新が遅くなるかと思います・・・ごめんなさい。

「トンネルを抜けると雪国だった!・・・・・何て事はないか」


「トワ様、この国では雪は降りませんよ」


 建物に入り、暗くて長い通路を通り抜けた時にトワの呟きが聞こえたらしくアイリがつっこんだ。


「え、あ、うん、そう、教えてくれてありがとう」


 トワは誰かに言ったわけでは無いために急に後ろからアイリに声をかけられて驚いたがアイリに向き直り礼を言って頭を撫でる。


 トワは前を向き改めて訓練場の中を見回す。


(まるで国立競技場みたいだな!?・・・・行った事無いから良く分からないけど)


 訓練場はサッカー場の様に長方形で土が平らに固められていて屋根は無く、周囲に杖の先に野球ボール程の丸い石が付いている物が地面に刺して置いてある。

 更に周りには石で出来た階段が列なっており、まるで観客席のようになっている。


 訓練場の中には数人の兵士達が剣や槍を振っているが少年勇者と女王の姿がなく辺りを見ていると、隣にいる女兵士がそれに気が付きトワが聞く前に頭を下げて答える。


「申し訳ありません。既に連絡は通っていますので陛下と勇者様は直ぐに来られると思います。御待たせして誠に申し訳ありません」


「あ~気にしないでください。俺は別に気にしてませんから」


「お優しいですね」


 女兵士は頬を赤らめてトワに笑顔を向けるとトワも少し顔を赤くする。

 トワと女兵士がそんなやり取りをしていると後ろにいるアイリがそんな二人を睨む。


「・・・・大人の色気ですか、・・・そんなにその女が気に入ったんですかね!?」


 アイリは怒気を混ぜて小さく呟やいた。

 アイリの声は小さかった為に女兵士には聞こえなかったがトワの耳には届いていたけれど聞こえなかったことにした。


「やっぱりあそこは我慢して帰った方が良かったかも知れません。まさか城の中に敵が居るとは思いませんでした・・・・・今の内に消した方が良いですかね?」


 アイリはまた聞こえないような声で女兵士を睨みながら物騒なことを呟いた。


(部屋に戻ったらアイリと話し合おう)


 トワは女兵士に少しみとれた罪悪感があるので強く言わないが殺人は断固として止めようと心に決めた。

 トワとしては自分達に悪意や殺意を向けてくる奴等には容赦をする気は無いが、そうでなければ友好を持っても良いと思っている。

 今言わないのは、わざわざ気付いていない女兵士に殺意が向いている事を伝え無駄に怖がらせる必要は無いと思ったからだ。

 

 リーネは訓練場の中をキョロキョロしながら「大きい~」と言ったり、刺してある杖の様な物を見ては「立ってる~」や何が凄いのか固められた地面を踏みしめて「かた~い」等と言ってはしゃいでいた。


(リーネよ、その発言は夜のベットで言って欲しいな)


 トワは反応しそうになる体を気力で抑えてリーネを優しい笑顔で見る。

 女兵士はそんな驚き回っているリーネを見て少し嬉しそうだった。

 アイリは後ろで呪いでもかけてるんじゃないかと思うくらいブツブツ言っている。



 暫くすると後ろの通路から声をかけられて振り向く。


「すまぬの~、待たせたか?」


 先頭で少年勇者と手を繋ぎながら女王が笑顔で手を上げて入ってくる。

 その後ろをルーレンス公爵とフルプレートの鎧に身をつつんだ騎士が10名ほどついてきている。


(女王を先頭にしたらダメだろ?)


 いくら城の敷地の中でも女王が安全確保をしていない先頭を歩いているのをトワが不信に思っているのを隣にいる女兵士が気付いて小さく説明をする。


「この城で陛下は勇者様の次にお強いので他の騎士が前に出る方が邪魔になってしまいますし勇者様もお隣にいらっしゃいますので」


「・・・・・」


 勇者より弱くとも複数で辺りを警戒した方がより安全をえられるだろうと思い呆れながら歩いて来る女王を見ていると、女兵士が更に補足をする。


「それにですね、陛下の左の手首に巻かれている拒絶の腕輪には結界魔法が宿っているので問題ありません」


(だからと言って良いのかよ!?・・・余計なことに首を突っ込むと面倒な事になる気がする、なにせ公爵のジジイが凄い笑顔だ。・・・・よし、この話題は無かったことにしとこう)


 この考えはただしかった。

 ルーレンス公爵はトワが護衛の事に触れたら直ぐに女王を護衛出来る人材がいないと言い、トワに護衛をしてもらえるように説得しようと考えて、通常は前に騎士を二人配置するがトワがそこに食い付きやすいようにわざと配置しなかった。


 トワの隣にいる女兵士は嘘の説明をするように言われていたので、台本通りの説明をしたがトワが黙ってしまったためにバレたのではないかとヒヤヒヤしながら笑顔を崩さずにトワの様子をうかがっている。

 

 但し普通に話を切り出しても簡単に断られると思ったルーレンス公爵は昨日の会食の時の事と以前から報告されていた情報からトワの性格を責任感が強く、立場や力が弱い者には優しいと考えていたために、ルーレンス公爵はトワが自分から話題をふればうけてもらえる可能性が上がると考えてそのように仕向けた。


「面倒事を押し付けられたく無いのでそこはスルーさせてもらいます。嫌な予感がしますので」


 何か企んでいる確証が無かったので女兵士に揺さぶりをかけてみた。


「・・・・・」


 女兵士は沈黙のまま笑顔を崩さ無かったが、一瞬ピクリと眉が動いたのをトワは見逃さなかった。


(やっぱり何かあるな)


 女兵士は自分が揺さぶりをかけられた事に気付き、最低でも減給は避けられないと思いため息をつく。

 最悪クビになったらトワに頼み込んで屋敷で働かせてもらおうと考えていた。





 女王達が近くまで来ると女兵士は頭を下げて離れていく。


「おはようございます。女王陛下、少年勇者殿、それにルーレンス公爵殿」


 護衛のところは触れずに挨拶だけをする。


「おはようございます」

 

「おはようございます~」


 ルーレンス公爵はトワ達の後ろに下がった女兵士の方に目線だけを向けると女兵士は首を横に振るう。

 ルーレンス公爵は一瞬目を閉じて直ぐにトワと目を会わせ笑顔で挨拶をする。


「おはようございます。トワ殿。この度は依頼をうけていただいてありがとうございます」


 トワの機嫌を悪くしないために護衛の件は触れなかった。


「・・・じゃ!」


 ルーレンス公爵が女王よりも先に挨拶をしたのにはわけがあった。

 問題の女王は笑顔で近付いて来たが、トワが挨拶をした時から顔を赤くして頬を膨らませて俯いてブツブツと何かを言っていた。


「女王陛下?どうかいたしましたか?」


「なぜじゃ!なぜ御主まで女王陛下と呼ぶ!御主は冒険者であろう!国には属しておらぬであろう!妾の事はファシアと呼べ!」


 女王は、キッ!と顔を上げて声を荒げた。


「えっ、えっ?」


 いきなりの女王の態度に訳もわからずルーレンス公爵を見て助けを目で訴える。

 ルーレンス公爵は苦笑いしながら今の状況を説明してくれる。


「実は昨日の会食後にクライン殿が陛下にトワ殿の活躍をお話になりまして、それがまるでお伽噺に出てくる伝説の英雄のような話でして、どうやら陛下はトワ殿に強い憧れをいだいたようでして」


(つまりは、好きな芸能人に会ったようなものか?・・・・何か違う気がするが・そう言う事にしておこう)


「えっと、じゃあファシア様?」


「様もいらん!」


「ファシア」


「うむ!」


 女王もといファシアは嬉しそうに何度も頷いていた。

 

「ぼ、僕も名前で・・・」


 ファシアの横にいる少年勇者が昨日とは違って弱々しく話し出す。

 少年勇者もクラインの話を聞いていてビビりまくっていた。


「あ?」


「ひっ!ご、ごめんなさい」


 少年勇者はビビってファシアの後ろに隠れた。


(やべ、なにこれ?凄いたのしい!)


「シェンよ、そんな声では聞こえないであろう?それにだ、妾の夫になると言う者がそんな態度で良いと思っておるのか?シャキッとせんか!」


 ファシアは少年勇者を自分の後ろから前に出して尻を叩いた。


(結婚する前から尻に敷かれてるな)


 少年勇者は少し気合いを入れて


「僕も名前でお願いします!」


 と、叫んだ。


「・・・・名前か、・・・なんだっけ?」


「えぇ~」


 会食の時に互いの自己紹介をしていて覚えているが、勿論わざと言ったのだが少年勇者は予想以上に面白かった。


(まあ、鑑定出来るから名前なんて覚える必要ないけどね。それにしても反応が面白いわ)


 少年勇者は今にも泣きそうだった。


(と言うか、名のればいいんじゃね?)


 トワはそう思ったが、少年勇者はそんな事を考えるほどの余裕がなかった。

 少年勇者がここまで怯えているのはクラインに原因があった。

 クラインは今までトワに絡んだ奴等の末路を教えて、更にはランクの事も説明していた。


 Sランクになると街で殺しをしても多少殺した相手の事を調べられるが殆ど罪にはならない。

 更にSSランクの場合は調べる事すらなく無罪になる。

 なぜなら犯罪だろうと捕らえられる者がいないからでありSSランクの場合は調べることで気分を害してしまうとまずいからである。


 そんなことより今にも泣きそうな少年勇者に声をかける。


「冗談だ。シェンでいいか?」


「はい!」


 笑顔で元気に返事をする。


「じゃあ二人とも準備できたら訓練場の中央に集合で、アイリとリーネも準備しなさい」


 トワはアイリとリーネに装備を渡して革の鎧を服の上からつけるだけなので端で着替えて、ファシアとシェンは服も着替えると言うので更衣室に行った。


 先に準備が終わったためにアイリとリーネに指示を出しておく。


「アイリとリーネは二人で組み手ね。でも、ただ闘うだけじゃなくて、アイリはリーネの動きを良く観察しながら頑張って。リーネはアイリの事を目ではなく感覚でとらえるように意識してね。」


 この世界に来て最近わかったが剣術のスキルが高くても剣の使い方が上手いだけだった。

 例えば剣術のスキルだけの人は相手の攻撃を剣で受け止めて次の攻撃に移すが、剣術と格闘術のスキルをもっている人は剣術に格闘術の体さばきが加わるために相手の攻撃を避けたり剣でいなしたりするので次の攻撃が速くなる。

 そのためにアイリにリーネの格闘術の動きを闘いながら観察させて格闘術のスキルをとらせようと思った。


 リーネは目が良いために何でも目に頼るので、もし敵が気配を消して完全な死角から攻撃してきたとき、もしもの事があるかもしれないので(まあ、無いだろうけど)隠密のスキルをもっているアイリの動きを感覚でとらえるように指示を出して気配察知のスキルをとらせようと思った。

 

 なぜ闘いながら観察させようとしたのかは、トワの持論だが見て覚えるよりも体で直に感じた方がより覚えやすいと考えているからだ。


 「「はい!」」


 返事をするとアイリとリーネは入ってきた入り口から中央を挟んで更に奥で向かい合って準備運動がてら軽く動き出す。

 アイリとリーネの武器は女兵士が用意してくれていた練習用の武器で、アイリの二本の短剣は刃が潰しており刃先も丸めている。

 リーネの籠手とすね当ては金属が使われておらず全て革で出来ている。

 トワが今持っている剣も刃が潰しており刃先も丸めている。


(なんだかな)


 そんな剣を眺めて真剣でやって危機感があった方が成長が早いんじゃないか等と考えてため息をつく。


 


 暫くするとファシアとシェンが戻ってきた。


「やっと来たな、とりあえず二人がどれだけ動けるか知りたいから俺と一対二で模擬戦な」


「うむ!」


「はい!」


 二人は元気に返事をする。


「それでは公爵よ、後の公務は任せたぞ」


 ファシアがルーレンス公爵に指をさして言う。


「お任せください。それではトワ殿頑張ってください」


 ルーレンス公爵は御辞儀をして訓練場をあとにする。


 公爵に全部任せて国を乗っ取られないのかと思ったがルーレンス公爵のスキルを見て凄いものがあり納得した。


 ルーレンス公爵のユニークスキルに《忠義の心》なんてものがあった。


(武士かよ!)


 スキルをよく調べると、


《忠義の心=忠義を誓った者を裏切れない。裏切る考えさえ浮かばなくなる。INTが+200になる。忠義の対象は自分では決められない。現対象が次の対象を指名する。(現在の対象:ファシア=メリトス)》

 

(色々つっこみどころが満載だ!最初対象はどうやって決めたのだろう?普通の人はスキルが見えないのにどうやって指名してるんだ?)


 考えても理由がわからないので考えるのを止めた。


(それにしても、文官でINT+200は凄いな!)


 ステータスが高くても戦いをする者は戦い方等で使っているために普通に物事を考えるのは一般人より少し頭が良いぐらいで、文官等、戦いをしない者は殆どを考えにまわせるので賢くなるが元々が少ないために他とあまり変わらないが、+200もあってその殆どを思考にまわせるルーレンス公爵は凄く頭が切れる。


 トワが難しい顔で考え事をしているとファシアは勘違いをする。


「あやつは先々代の女王から仕えておるので信頼出来るうえ頭も切れる任せておいて問題はない。今の妾は所詮力なき飾りの王じゃ、しかし妾が魔王を倒し15になり成人した時にはルーレンスを休ませてやれるくらいになろう!」


 いきなり女王ファシアがルーレンスの背中を見ながら自分に言い聞かせる様に力強く言う。


(この国はずっと女王なんだ、男の王は何で作らないんだ?)


「そんなことよりもじゃ、始めようではないか!」


 俺の思考をファシアの声が止めた。


「ああ、やるか。俺は攻撃魔法は使わないがそっちはどんどん使ってこい。二人の連携も見るからな」


「うぬ!行くぞ!」


「はい!行きます!」












 結構長い時間闘った。

 なにせ途中で昼飯を食ってまた模擬戦を始めて今は4時の鐘がなってすぐだ。


「結果だけ言おう。

 二人ともそこそこ強かったが、まずはファシアは集中力と反応が悪い!もう少し周りを見て動けるようにして更には動きながらでも魔法を使えるようにしとかないとな!」


 この世界の魔法使いはパーティーの後ろで戦う固定砲台だがそれだと囲まれたときや咄嗟の奇襲にまともに対処が出来ない。

 

 「シェンは動きが単調すぎる!こちらの攻撃を凌ぐ方法も型どうり過ぎでこちらの変化にまったくついてこられてなかったぞ!明日からはその辺りを重点的に鍛えていくからな!」


「「はい!」」


 この二人にも格闘術を覚えさせようと思った。


 トワがなぜスキルポイントを使わないのかは・・・・・忘れているだけだった。


 アイリとリーネの方を見ると本気の目で訓練用の武器を使い相手を殺せる様な攻撃をお互いに繰り返していた。

 午前中はそこまで激しくなかった。

 二人ともおもちゃの様な武器で気が抜けていたが昼飯の時にトワが今日の夜は勝った方を特に可愛がると言ったら、その後から二人はいっさい休まずに激しい攻防を繰り返していた。


「二人とも凄いのじゃ」


「凄すぎて目で追うのがやっとですよ」


 ファシアもシェンも見る事は出来るらしく、トワはそれに感心した。

 

「アイリ!リーネ!今日は帰るぞ!」


 しかし、白熱している二人には声が届かなかった。

 あいだに入って止めてもいいが面倒なので強めに威圧の波動をかけた。


「「グゥッ!」」


 ようやく動きを止めた二人に近づく。


「もう帰るぞ」


 二人は同時に顔をトワに向ける。


「「どっちの勝ちですか!?」」


(どっちかって引き分けだろ、どちらかなら・・俺じゃね?)


 そう言おうと思ったが必死な顔の二人に冗談を言えなかったので真剣に答える。


「ん~、アイリの動きも良かったが、どちらかならリーネの方が少し上かな。アイリは攻撃をガードしすぎだ。それに比べてリーネは攻撃を結構避けてたから今日は僅差でリーネの勝ち」


 リーネは喜んでいた。

 アイリは自分でもわかっていたらしく悔しそうにするが反論はいっさいしてこなかった。

 


 






 夜は勿論楽しんだ。

 リーネは約束通りたっぷり可愛がった。

 限界までいったあとに魔法で回復させてもう一回限界まで連れていった。

 強制的に連続で無理をさせているので罰ゲームじゃないかと思ったが嬉しそうなリーネと、闘いの後よりも更に悔しそうなアイリを見るとご褒美なんだなと確信した。


 そのまま二人を両脇に抱き締めながら眠りについた。

 

 







 


 

 





 





 バトルを楽しみにしていた方ごめんなさい。

 

 

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