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短編(バローズ商会)?

 凄い短編でごめんなさい。


 


 話はトワが家を買う少し前の事。



「暇やわ~!」


 一人の女性がバローズ商会の机で突っ伏していた。

 彼女は4つの国のすべての都市に支店を構えて不動産を扱う大商会を一代でつくりあげたオーナーのバローズだ。


 

 今彼女がいるペルイトのバローズ商会本店は国柄や魔国との国境近くの街ということもあって家を買うものが殆どいない。

 何故そんなところに本店を構えているのかは簡単な理由で、ただ単にバローズの生まれ育った街と言う事だ。


 バローズの見た目は20代後半位で肩まで伸ばした赤茶色の髪をしていて、頭の後ろに三角の耳とお尻にはありふわふわの尻尾がある狐の獣人で、スタイルは良くて痩せているが胸の強調が凄い、巨乳を通り越した爆乳だ。


 毎日やる事は変わらずに午前中は他の都市から送られてくる書類に目をとおしているが、都市はそれぞれ距離があるので全ての都市の書類が届くわけではなく量も多くない。

 しかも、支店の職員は優秀なので届いた書類は何も訂正することはなく、ただ目をとおすだけなので午後からはやることがなくなってしまう。

 そんなバローズがいつものように暇をもて余していると店の入り口の扉が開く。


「バローズいるか?」


「いらっしゃいって、なんや?冒険者ギルドのギルドマスターのレイシャはんやないか。何か用ですか?」


 バローズは勢い良く立ち上がりレイシャの顔を見て驚いた顔をした。


「ああ、家の事でな」


 レイシャは馴れたようにカウンターの椅子を引いて座る。


「冒険者ギルドの職員用の寮を増やすんですか?」


 冒険者ギルドの職員は家が無い者には寮を無料で貸している。

 レイシャは笑顔で軽く首を横に振る。


「いやちがう。実はある冒険者にこの街に居ついてもらいたいのでな良い家がないか下調べに来たのだ」


「なんや、いち冒険者のために何でギルドマスターが動くんや?それほどの者なんか?」


 バローズは少し驚いた。 


「ああ、私の見たてでは何か凄い事をすると思う」


 レイシャは嬉しそうにバローズに語る。


「それほどか、他国のAランクの冒険者でも引き込んだんか?」


「いやちがう、今はまだDランクの新人だ。」


 バローズは首を傾げる。


「Dランクで新人?何の冗談や?」


「フフフ、冗談ではないのだよ。」


 レイシャは笑っていてバローズは口を開けて驚いていた。


「で、ギルドマスターがワザワザ新人の為に下見?お気に入りか?」


 バローズの喋りが随分と馴れ馴れしくなったのは実は二人はバローズが商会を始めた10年以上前からの仲なので驚いた瞬間に喋りかたが普通に戻った。


「そんなとこだ。それで、大きな家はないか?」


「大きな家か?・・予算が分からんとな?」


「予算は気にしないでくれ。本人の予算で足り無い分は冒険者ギルドが払う」


 バローズは更に驚いた。


「んなアホな!そこまでするほどの奴かい?まさか、男か!惚れた奴のために冒険者ギルドの金を使う気じゃないやろな?」


 レイシャは笑顔で答える。


「それぐらいする価値がある奴なんだよ!」


「まあええが、もし、そいつがこの街で暮らす気が無かったらどないすんねん?それに、中古の物件はうちだけやけど、土地は他の商会でも扱っとるところはあるで、そっちに行く可能性もあるやろ?」


「たぶんギルドで家を買える場所を聞くはずだからここを教えるし、それでもしも街を出るのならば私の体を使ってでもこの街にとどまってもらえるように頼むさ」


 バローズは驚くのではなく呆れた。


「そこまですんのかい!?」


「フフフ、それで、良いところはあるかい?」


 バローズは後ろの棚にある書類を探さす。


「せやな~、大きいて、どのくらいや?」


「大きければ大きいだけ良いと思うぞ」


  レイシャのその答えにバローズは呆れた顔で振り返りため息をつく。


「本人の希望ぐらい聞いとるんやろ?」


「いや、勝手にしていることだ」


「ハァァァ~!?ギルドが金を出すこともか?」


 バローズの質問にレイシャは笑顔で頷く。


「そうだ!だから、この事は本人達にはばれない様にしてくれ」


「何でや?恩を売るのにええやん?」


 レイシャは静かに首を横に振る。


「相手のプライドを傷つけたくはないからな。向こうから言ってきたら勿論表だって何でもやるがな」


「なるほどな、大きいなら、これはどうや?」


 バローズは一枚の紙を出す。


「でかいな、・・・これは、裏門のところの屋敷か?」


「せや、元は貴族の屋敷やから大きさも設備も一級品やで!」


 レイシャはそれを念入りに見る。


「ん?屋敷の裏の農地と家は何だ?」


「それか、それは屋敷の庭を通らな出入りが出来んのでな纏めて売ることにしたんや」


「成る程な、いくらくらいだ?」


「せやな、冒険者ギルドが金を出してくれるのなら黒金貨1枚と言いたいところなんやが、レイシャはんの頼みやさかい・・・・白金貨80枚でどうや?」


「随分と安くしてくれるんだな?悪いな」


「エエよ。そのかわり、そろそろ冒険者ギルドの建物の壁の塗り替えと寮の建て直しが必要になるころやろ?それをウチで一括に注文してくれればな?」


「やれやれ、よく知っていたな流石だ。分かった全て私の一存でバローズ商会に任せよう」


「まいど~」


 白金貨20枚割引いても大黒字になる計算にバローズは顔がニヤけるのを抑えられなかった。


「じゃあ、ばれない様に頼んだ。」


「どんな奴か教えといてくれるか?」


「名前はトワと言う。性格とかは自分で接して感じてくれ」


「容姿とかは?」


「黒髪黒目の男の子だ。後はお前は鑑定出来るのだから分かるだろ」


「せやな、商人なんやさかい自分の目で見て判断するわ」


 その後も少し世間話をしてからレイシャは帰っていった。


「それにしても、ギルドマスターは暇なのか?」


 バローズは苦笑いしながらレイシャを送った。







 それから数日してこないだのトワと言う冒険者が最速でAランクになった事が噂になった。

 

 そして何時ものようにバローズが暇をもて余していると店の外に人か数人ほど居るのが見えた。


 店の入り口は特殊なガラスになっていて中からは見えるが外からは中が見えないようになっている。


 バローズは外にいる先頭の男が気になった。

 話に聞いた黒髪黒目の男の子だったので鑑定をしてみるとトワと言う名前だと分かった。


「おっ!ようやく来たか。」


 トワが外で喋っていてなかなか入ってこないのでバローズは扉を開けようとする。


「レイシャはんとの約束やからばれない様にせんとな。よっしゃうちの演技を見したるで!」


 そう言ってから扉に手をかけると外からは叫び声が聞こえた。


「プレハブかよー!」


 それを聞いた瞬間に自分でも気にしている事を言われて頭が真っ白になり扉を勢い良く開けて叫んでいた。


「プレハブちゃうわー!」


 






 次回から本編に戻りたいと思います。

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