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短編(フラウ)?

 こんにちは皆様、私はペルイトの街の裏門近くにあるお屋敷でメイドをしておりますフラウと申します。

 私は少し前にこのお屋敷の主である冒険者のトワ様に買っていただいた奴隷なのです。


(フフフ、最初は何処かの貴族かと思いました)


 私は奴隷になる前は結婚していて夫と細々と食堂をやっていたのですが、ある日夫が腕を怪我してしまい薬を買うお金も治療術師に頼むお金も無かったので、食堂を休んでいたのですがいっこうに怪我が治らず長期にわたり休んだ為に店を始める時の借金が返済できずに奴隷へと落ちてしまいました。


 ご主人様にその事と店でコメと言う物を扱っていた事、夫が扱えると言うとご主人様が夫を呼びました。 

 料理をするかたを探していると言っていたので私は不要と思い部屋を出ようとしましたがご主人様は二人まとめて買うと言ってくださいました。


 暫くして夫がやって来て話し始めたのですが私は態度のでかい夫にドキドキしましたが、ご主人様は全く気にする様子はありませんでした。

 ご主人様はコメの話を一通りすると二人まとめて買うと言い夫が腕の事を言うと後でどうにでもなると言って私達を買い、死後解放の契約までしていただいて、更には一般的に奴隷には持たせない身分証明書まで発行してくださいました。


 ご主人様は冒険者なのでパーティーメンバーとなるアイリちゃんを一緒に買っていました。


 その後冒険者ギルドでアイリちゃんのギルドカードを作り家を買いに行きました。

 そこで私は白金貨2枚という予算とAランクの冒険者ということに驚きました。


 そして紹介された屋敷を見た時におかしいと思いました。

 何故ならその屋敷はこの街に住むものなら知っている場所で凄く大きい、いくらこの国の家と言う物の価値が低いとはいえ白金貨2枚で買えるものではありません。

 黒金貨とまでは言いませんが白金貨数十枚はするはずと思いご主人様に伝えようか迷いました。

 何故なら高く売られるならば忠告をするのですが、安くされるのだと何かおかしいと思っても確信があるわけでわないので、奴隷の身分の私がご主人様の買い物に意見をして良いのか悩み他の二人を見ると、アイリちゃんは寝ていて夫はまだ呆けており使い物になりません。

 ご主人様はそんなものかと呟いており悩んではいるが怪しんではいないようでした。


 私が悩んでいるとその店の店主であるバローズさんがウィンクしてきました。

 私もお店を始める時に色々とお世話になったので悪い人では無いことは知っていたので後でご主人様に伝えようと思い今は黙ってようと決めました。


「奴隷なら伝えるべきだっのですが、図面を見ながらウ~ンウ~ンと悩んでいるご主人様を見ていると伝え辛くなったのよね。・・・・・・そういえばご主人様にまだこの事をお伝えしてなかったわ・・・帰って来たら伝えましょう」


 現在ご主人様は出掛けており屋敷にはいません。

 実は少し前にお伽噺に出てくるドラゴンに街が襲われたのですが、なんと、ご主人様が倒したのです。


「あの時はアイリちゃんが連れて帰ってきたけど意識がなくて心配でした」


 その後、目を覚ましたご主人様は、この国の女王様が会いたがっているらしく会いに行くために出掛けているのです。


(嫌だわ一人でこんな事を考えてるだなんて歳をとった証拠かしら?)


 等と考えながら広い庭で坦々と洗濯を仕舞っていると、


「フラウ姐さん一人で何をブツブツと喋ってるのですか?」


 フラウは後ろから掛けられた声に驚き目を見開いて後ろを見るとそこには、赤い短髪が特徴的で一見すると男にも見える顔に凹凸のない体の女性が立っていた。

 女性にモテる女性という感じだ。


「あら、声が出てました?それで、何か用ですか、ケリー?」


 ケリーそれがこの女性の名前だ。

 彼女は私よりも後にご主人様が購入した奴隷の一人です。


 私は驚きを隠してケリーに尋ねる。


「・・・・まあ、良いけど。それより、メアが買い出しに行ったまま、まだ帰ってこないんだけど?」


 フラウの目の笑っていない笑顔の威圧にこれ以上の詮索はしない方がいいと早々に余計な話を止めて用件を言う。

 この屋敷では地下の倉庫に大量のお金が置いてあり日用品や必要なものがあったら勝手に持っていって良いと言われております。

(無駄使いをしたら私がご主人様に代わってお仕置きをしますけどね。)


 そんな事を考えながら右の手の平を頬に当てて悩んでいる様な格好でケリーに答える。


「メアですか・・・・仕方ありません、私が探してきますのでケリーは洗濯物を仕舞っておいてください」


「わかった」


 ケリーにそう指示を出して屋敷を出て街の中心に向かう。







 店が建ち並ぶところまで来てメアを探す。


「さて、メアはどこですかね」


 特徴は身長が150㎝位で髪は少しウェーブした緑色していて顔は幼く見え胸は大きい一言で言うとロリ巨乳だ!


 フラウはその姿を探しながら何時も買い物をする店でメアの事を聞くが少し前に帰ったと言われた。


「何処で道草をしてるのですかね?いくらご主人様がやさしいとはいえ仕事を真面目にやらないのはいけませんね・・・帰ったらお仕置きですかね」


 そんな事を言いながら歩いていると正門から冒険者ギルドまでの大通りから少し脇に入ったところから聞き覚えのある声が聞こえる。


「やめてください」


「おとなしくしてろ!」


「イヤ!イヤ!」


「さっさと抑えろ!」


 声のする方に行くとそこには数人の男達に囲まれている見知った顔の女性がいた。

 その女性は間違いなくメアだ。

 メアはフラウに気付き泣きそうな顔が笑顔に変わる。


「フラウ姐さん!」


 メアの助けを求める様な声で男達が一斉にフラウの方を見る。


(私に助けを求められても力はありませんよ)


「何だあんたは?こいつの姉か?」


 男達はフラウに威圧的な態度で言う。


「いえ、私はそこの者と同じところで御奉仕させていただいている者です」


 フラウは平淡な口調で言う。


「オメーも少し歳くってるが良いだろオメーもこいつと一緒に可愛がってやるよ!」


 男達はニヤーと笑い言い放つ。

 普通の人は奴隷の扱いを知らないため、誰でも手を出したり更には殺しても良いと思っている者もいる。

 こいつらはまさにその典型だ。


「は~、こちらも忙しいので失礼します」


 フラウは一つため息をついてから一礼してメアに手招きをする。

 しかし、リーダーの様な男がメアの腕を掴む。


「おっと、行かせねえよ!それにしてもテメー、こいつと同じなら奴隷だろ!奴隷の分際でなめた口を聞いてくれるじゃねえか!」


(何故、私達が奴隷だと分かったのでしょうか?)


 考えてメアを見ると、服装は全員同じでご主人様がデザインなさった仕事着(メイド服)だ。


 服はなんとトワが倒したレットドラゴンの皮から作った物で赤を基調とした物だ。

 ドラゴンの革は伸縮性があり柔らかく布でできた服よりも着心地が良い。


 確かに同じ服なのだろうが胸が収まりきらずに上のボタンが二つ外れて胸元が見えていてそこから奴隷の紋章の一部が少し見えていた。


(なるほど、あれで分かったのですね。)


「私共のご主人様は貴方ではありませんのでどうぞお引き取りを」


「なめやがって!」


 俺達はそれぞれ武器を持ち出た。


「殺されたくなかったら服を脱げ!」


 フラウはため息を一つ吐いて上着のボタンをいくつか外すために手をかける。


「奴隷はそうやって素直に言うことを聞いてれば良いんだよ!」


 ボタンを外そうとするフラウを見て男達はいやらしく笑う。

 

「貴方は冒険者の方ですよね?」


 フラウはボタンを3つほど外してその場所を両手で押さえながら言う。


「そうだせ!俺達はDランクの冒険者だ!びびったか?」


 男達はニヤニヤしながらフラウを囲んでいる。


「でしたら、この紋章が分かりますか?」


 フラウは胸元にある奴隷の紋章が見えるように服をはだけさせた。


「ん~、奴隷の紋章だろ!そんな事よりさっさと脱げ!それとも、俺達が脱がしてやろうか?」


「結構です。この紋章が分からないんですね?私共は《剣神》のトワ様にお仕えするものです。これ以上は貴方が大変ですよ?」


 フラウがにっこりと笑いながらそう言うと俺達はみるみる顔色が悪くなる。


「どうすんだよ!」

「マジかよ!」

「死にたくねーよ!」

「冗談じゃねー!」

「ドラゴンを一人で倒す奴だぞ俺達なんか一瞬で殺されちまうよ!」


 男達はトワの名前を聞いただけで震えて慌てだした。

 トワの奴隷に手を出すなと言う宣言は国中に広まっているので男達もそれを知っていた為に怯える。


(勝手にご主人様の名前を使ってしまったわ、ご主人様が帰って来たら謝って罰を受けましょう。)


 フラウがそんな事を考えているとリーダーの様な男が震える声で叫ぶ。


「び、ビビるな!奴はこの街には居ないんだ!」


 男がそう言うと他の奴等も顔を見合わせて頷きあっていると通りの方から誰かがやってくる。


「お前ら!そこでなにやってる!」


 その声の方を見るとペルイトの冒険者ギルドマスターのレイシャさんがやって来た。


「ギ、ギルドマスター!」


 男達は再び怯えだして慌てて武器を仕舞う。


 ギルドマスターは街の治安を守る為に犯罪に近い事をした冒険者(Cランク以下)をギルドマスターの判断で殺しても罪にはならない事になっている。

 滅多にその権限を行使する事は無いがギルドマスターがトワの事をお気に入りだと言う噂があるために男達は殺されるかもしれないと考えて後退りし始めた。


「お前らこの子達に何か用か?」


 ギルドマスターが威圧のある声を放つと、


「「「「「「すいませんでした~!」」」」」」


 と、走り去っていった。


「レイシャ様、ありがとうございました」


 フラウはレイシャに深く頭を下げて礼を言う。

 そして、呆けているメアをちゃんと礼をするように睨む


「あ、ありがとうございました」


 メアは慌てて礼を言う。


「気にするな。それより、王都の冒険者ギルドから手紙を預かってるぞ」


 レイシャは一枚の封筒を出す。


「何ですか?」


 フラウは受けとりながらレイシャに聞いてみた。


「トワ達の事に関する報告だろう」


「なるほど、わかりました。ワザワザありがとうございます。」


 何故、こんなところにギルドマスターが手紙を持って現れたのかを聞いたらたまたまだと言われた。

 何か隠している気がするがとりあえず聞いてはいけない気がするのでお礼を言ってメアを連れて帰る途中にメアに何であんなところに行っていたのかを聞いた。


「メア、あの辺に用があったの?」


「あの、その、」


 言い淀むメアに少し強くもう一度聞く


「何かな?何の用だったの?」


 メアは目をそらしながら


「あの奥にある店の紅茶が美味しいんです」


 フラウは歩みを止めてメアの頭を掴んで自分の方に向けて(メアも観念したらしく殆ど抵抗なく簡単に)笑顔で


「帰ったらたっぷりとお仕置きね?」


「はい」


 メアは震えながら頷いた。







 屋敷に帰って手紙を読むと王都の冒険者ギルドの優秀な副官が書いたらしく事細かに書いていた。


 そこにはトワがSSランクになった事やアイリとリーネの我が儘で暫く王都に残る事になった事等が書いてあった。


フラウは庭に放し飼いにしている番狼のフェンリルのリルに餌を与えながら読んでいた。


「リル、ご主人様がSSランクになったから屋敷に忍び込んだ奴を食べても良いよ」


 フラウが笑顔でリルに言うと


「ガゥ!」


 リルが返事をする様に一つ吠えた。


 フラウは屋敷の方に帰っていく。


「流石ご主人様だわ、皆に早く教えないと」


 玄関を開けようとして、


「アイリとリーネには困ったものね。帰ってきたらたっぷりとお仕置きね。フフフフ」


 

 夜遅くにさっきの男達が忍び込んできた。


「大丈夫何ですか?」


「大丈夫だ!屋敷の中まではギルドマスターは来ねーよ、それにさっきも言ったがここの奴は今、王都にいるから奴隷しか居ねえよ」


 リーダーの男がそう言って後ろを振り向くと他の奴等が震えていた。


「ビビってんじゃねぇ!」


 そう言うと後ろの男の一人がリーダーの男の後ろを指す。


「何だ!後ろがどうした?」


 振り向くとそこにはAランクのフェンリルがいた。

 男達は固まる。


「何でこんなところに」


「ガゥゥ!」


 リルが一つ小さく吼えると咆哮の力で腰を抜かして倒れている男達をくわえて自分の小屋に帰っていった。


 リルは男達を生きたまま足や手からゆっくりと食べる。


「ギャーー!」

「死にたくないよーー!」

「ウゥゥゥ」


 そして少し離れた屋敷からも、


「イャャャャャー!」


 お仕置きを受けているメアの声もしていた

 

 小屋と屋敷からの悲鳴は日が昇るまで続いていた。


 フラウがリルに朝の餌を持っていく。


「リル、ご飯だよ」


 しかし、リルはご飯を食べない。


「どうしたの?」


「ガブッ!」


 フラウは辺りに立ち込める鉄臭い臭いが気になってげっぷをするリルの後ろの小屋を見ると中は血だらけで見た覚えのある防具や武器が転がっていた。

 リル自身は身体中を舐めて毛繕いした為に汚れてなかったので小屋を見るまでは気が付かなかった。

 


「あらあら、リルったらこんなに汚して後で掃除をしに来ますからね?」


「ガゥゥ!」


 リルは嬉しそうに吠えた。


 



 





 

 





 

 



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