聖剣?
誤字脱字が多くて皆さんにご迷惑をかけてしまい申し訳ありません。
本当に感謝の言葉が止まりません。
ありがとうございます。
少年が両手で構える剣を上段から振り下ろす。
トワは体を捻るだけで躱すが下まで振り下ろされた剣は止まらずにトワに向けて下から斜め上に追撃をする。
トワは一歩後ろに下がることで、剣を躱すが剣は上までいくことはなくトワの顔の前まで来ると、少年が剣を片手に持ち変えて一歩踏み込み体を捻りながらトワの顔を突きに来る。
首を傾けることで交わし、更に首を斬ろうと横凪ぎに来る剣を右手に持つ剣を首と剣の間に入れて受け止めて少し力を入れ少年を吹き飛ばす。
「くっ!」
吹き飛ぶが倒れもせずにバランスを崩して数歩下がるだけで耐えていた。
「少年勇者、なかなか良い動きだな」
剣の腕前もそうだが、今ので倒れずに踏ん張ったことに凄く驚き上から目線で誉めた。
(何で俺はこんなに上からなんだ?)
そんな事を考えていると、
「まだまだいくぞ!」
そう言って突っ込んでくる。
少年は剣を上段から振り下ろし止まる事なく下から切り上げそこから剣をひき踏み込んで突きを出してそのまま横に凪ぎに振るう。
トワはそれを体を捻るだけで上下と突きの攻撃を交わし横に凪ぎに来る攻撃を後ろに数歩下がる事で交わす。
(ん~!どうしよう。勝つと面倒だよな、負けようかな?)
攻撃を軽々と紙一重で躱わしながらアイリとリーネを見ると、アイリは笑顔で手を振っていた。
そんなアイリに笑顔で返事を返してリーネを見ると何かを伝えようと声を出さずに口を動かしていた。
(ん?何だろ?てか、何で声を出さないの?)
真剣な決闘中(トワは適当だが)に声を出すのは、したくなかった様で口を動かすだけだった。
(何だ?・・・・いた、ん?)
戦いながら(避けながら)リーネの口元を見ながら下がっていると、トワが防戦一方だと思って周りにいる貴族や兵士達が歓喜を上げる。
「流石は勇者様だ!」
「ダークドラゴンを倒した彼を押してる!」
「勝てるんじゃないか!?」
「勝てる勝てる!」
「いけー!」
凄いうるさい!
実際は軽々とやっていても見ている方からすればあと少しのところまで押している様に見えていた。
そんな中でも俺の強さを実際に見て知っているロナードや、騎士の中でも格好が違う見るからに騎士団長って感じの人とその周りの数人はトワが手加減をしている事に気付いたらしく苦笑いをしていた。
(おい!リーネでさえ声を出さずに我慢してるのに)
リーネを見ると周りを気にせずにトワに向かって口を動かしている。
(リーネはぶれないな。それより何を言ってるんだ?)
避けながらなので難しかった。
(お・・・いた?・・・おな・・いた?)
アイリはお腹をさする様なジェスチャーを交え始めた。
(お腹が痛いのか?)
今度は何かを食べる様なジェスチャーも加え始めた。
(・・・わかった!お腹すいただ!)
リーネはトワが気付いた事を何となく察して、トワに向かって親指を立てて満面の笑みを向ける。
アイリもリーネの事に気付いており苦笑いをしていた。
リーネの言葉を理解したトワは一瞬動きを止めてしまい隙ができる。
少年はその隙を見逃す事なくトワの視界から消える様に高くジャンプした。
「もらったー!」
リーネの方を見た瞬間にジャンプした為にトワは少年の姿を見失うが、上から叫びながらの攻撃で居場所が直ぐに分かり、上を見ると天井ギリギリまでジャンプして剣を構えている少年を見つける。
謁見の間の天井は高く4メートル位ありその高さまでジャンプした事に驚いたがトワは呆れてため息を付いた。
「バカかお前は!せっかく不意討ちのチャンスに声を出すバカはいないだろ!それにだ、回避が出来なくなる上にジャンプなど愚の骨頂だ!」
そう言ってトワは剣を右手で持って少年の攻撃を待ち受ける。
その攻防の様子に先程まで騒がしかった部屋が静まり返り息を飲む音だけが聞こえる。
そんな静かな中で気の抜けたアイリの声がする。
「ねー、リーネちゃん?トワ様は勝つと思う?それとも負けると思う?」
アイリは横にいるリーネに聞いてみた。
「負けると思う。ご主人様は優しいから」
リーネは満面の笑顔で返事をする。
「そうだよね。でも、トワ様がわざとでも負けるところは見たくないな」
アイリは複雑そうな顔を浮かべている。
「うん!それは私も!」
リーネは笑顔のままで、頷いた。
そんな会話がされてる事は知りもせずに俺はこの状況でも迷っていた。
(負けてやった方が俺に面倒事とが来ないかな?)
そんな事を考え負ける事を考えているとアイリの少し悲しそうな顔が目の縁に映った。
負けようとしていたが、それを一瞬でも見た事で先程までより少し強めに力が入り、しかも剣に魔力を纏わせてしまい、ジャンプして上から振り下ろされる剣にトワの剣を横凪ぎに当てると、少年の剣は折れて本人は勢いよく後ろに吹き飛んだ。
しかし、少年は直ぐに立ち上がり息を整えながら喋り出す。
「流石に強いですね!・・次の攻撃で終わりにしましょう」
「そうだな」
「貴方の本気を見てみたいので奥の手を使わせてもらいます」
トワが手加減をしている事に気が付いていたらしい。
「そうだな。がんばれ」
まるで他人事の様に言う俺に対して少年は真っ直ぐな目で俺を見る。
「死なないでくださいね」
そう言うと少年が手を上にかざすと周りがザワザワと騒ぎだす。
少年の体から魔力が手に集まるのを感じていると少年が呪文の様なものを喋りだす。
「我の中に眠りし勇者の光よ我が手に集いて形を成し姿を示せ!」
少年がそう言うとその手に金色に輝く剣を握っていた。
「おお~!何だそれ?」
少年はその剣を肩に担ぐ様な格好で構えをとりトワに話しかける。
「これは勇者だけが使える聖剣です」
「聖剣か!で、名前は?」
「名前はありません。それより、決着を着けます」
「ああ、いいよ」
トワの何処までいっても真面目にならない態度に少年はアイリとリーネを見てからトワの方を向き、
「この勝負に僕が勝ったらあの二人を貰いますよ」
バカな事を言い出した。
「そんな条件はこの勝負に入っていない」
実際、少年は別段アイリとリーネが本当に欲しいわけではなくトワに本気を出させる為に言っただけだった。
トワは子供がバカを言っているなと思うだけで冷静だった。
「貴方の様に情けない男より僕といた方が幸せになります」
トワは情けないと言う言葉に少し反応をして、もしかするとアイリとリーネのトワに対する好感度が下がっているのではと心配になって二人を見ると、リーネは何時も通りだがアイリは先程見た様に悲しそうな顔をしていた。
(さっきのはやっぱり見間違いじゃなかった!)
トワは焦ってどうするかを考えて答えを出した。
「わかった。少年!いや、聖剣を出す奴に少年は失礼だな、少年勇者!少し力を入れてやるよ。死ぬなよ」
「ありがとうございます。僕が負けたら何でも言ってください」
そう言うと少年勇者は剣を肩に担いだまま力を溜め始める。
トワも剣に魔力を流して纏うが普通の剣なので先程、剣に魔力を纏わせてしまったので既に刀身はボロボロであと一振りが限界だった。
しかし一回目で折れなかっただけよかった。
「いきます!」
「こい!」
少年勇者は溜めた力を足に集めて勢いよく突っ込んでくる。
トワはまるで抜刀術の様に左足を引き体を捻り剣を左の腰の辺りで構える。
剣と剣がぶつかり合う。
トワの剣は刀身が砕けて無くなりぶつかった勢いで数歩後ろに下がった。
少年勇者の聖剣はトワの剣と当たった瞬間にトワの剣が砕けるのと同時に無数の光の粒になって消えていった。
少年勇者はまだ聖剣を扱いきれてはいなかったらしい。
少年勇者は数十メートル吹き飛び周りにいた人々を越えて壁に激突した。
(やり過ぎたか!)
そこで、クラインの声が響く。
「この勝負!トワの勝利だ!」
少年勇者が心配で周りの人はそれどころではなかった。
「衛兵!早く治療術師を連れてくるのじゃ!」
女王がそう叫ぶと直ぐに回復魔法をかける人が現れるがスキルレベルも普通のレベル低いらしく回復量が微々たる物なので治っていく気がしなかった。
女王も心配そうに近付いてまるで病の恋人を心配する様に少年勇者の手を掴む。
トワはアイリとリーネの元に一度戻り遠くからその様子を見ていたが一向に終わらない治療に苛立ち、更にはリーネの腹の虫も限界が近かったので人垣を押し退けて少年勇者の元に行く。
少年勇者の元に行くと女王が俺を睨んできた。
「そちらから仕掛けておいて睨むなよ」
「なんじゃ!これ以上シェンヤに手を出すな!」
女王は泣きそうになりながらトワと少年勇者の間に庇うように入り言う。
(やべ!なんか楽しい。俺実は変態だったのか?)
そんな考えを頭を振って吹き飛ばして無言で少年勇者に手を伸ばす。
周りの人は俺に恐れて離れてしまい少年勇者を護る者は女王しかいなかった。
女王は少年勇者の上に覆い被さる様にしてトワに謝り出した。
「すまなかった。許してくれ。これ以上は本当に死んでしまう。本当に謝るから助けてくれ」
大泣きしながら女王は言った。
周りの貴族、ましてや女王を護る立場にいる筈の兵士や騎士が全く動かない事にトワは呆れた。
泣きじゃくる女王の頭を撫でて、
「殺さないから。怪我を治すだけだから離れてくれるか?」
驚く女王の両肩にアイリが手を置いて少年勇者から離す。
「トワ様に任せておけば大丈夫です」
トワは少年勇者に触れて回復魔法をかける。
回復魔法は別に触れなくてもいいが触れている方が回復が早い・・・気がする。
トワが魔法をかけると直ぐに少年勇者は目を覚まして立ち上がった。
血を失ったわけではないので回復すれば直ぐに動ける。
「ありがとう!ありがとう!」
女王はトワの手をとって何度も感謝の言葉を述べた。
その後話をしながら片付けなどをして(片付けは兵士がしたが)いるとリーネがフラフラしながらトワの元に倒れ込んできた。
「リーネ、どうした?」
「お腹・・・すいた・・・死んじゃう!」
その言葉を聞いてから直ぐに女王に話をすると近くにいた兵士に話をする。
「直ぐに用意をさせる」
女王の俺に対するしゃべり方が丁寧になっていた。
その後直ぐに、メイドが食事の用意が出来たと呼びに来たので女王に連れられて会食をする部屋に向かった。
忙しくて毎日更新をするるのがこの間から無理になってしまいました。
でも、なるべく三日前後で更新をするように頑張ります。
これからもよろしくお願いいたします。