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話、納得? そして真実?

「千年もの昔に魔王が現れて魔獣達が活発になり侵攻が激化した事があったのです。

 魔獣達の侵攻は凄まじく、既に各国の王都が残るだけになっていた。

 その時に各国の王達は何とか互いの密偵を使い連絡を取り、パースト国内にいた時の大賢者と呼ばれていたエルフ族の魔導師に魔王を倒せる者の召喚を依頼しました。

 エルフは急ぎ召喚をして二人の人間を呼びました」


 トワはその言葉に驚いた。


「二人!一人じゃないんですか?」


「男女二人だったそうです。男はレン シノノメと言い女はミリ スドウと言うそうです」


(千年前なのに随分と名前が今風だな。時間もずれて飛ばされたのかな?)


 これはいくら考えても神以外に答えを出せる者がいないので自分が死んだ時に聞ければ良いなと心に仕舞った。


「色々なお話の中に出て来る勇者がレンの方で、凄腕の女戦士がミリですね」


 元々その話を全然知らないがアイリとリーネがなるぼどと頷いていので、トワもそれに便乗して誤魔化す。


「最初二人は随分と弱かったらしく本当に勇者なのかを疑われていたが訓練をするとどんどんと強くなっていき直ぐに人間の中では最強になったそうです」


(勇者もやっぱり異世界チートだな)


「それから勇者達が魔王を倒しに行く時にそれぞれの国で一番強い者達がついていきました。

 他の国は資料がなくわかりませんがパースト国は時の大賢者がついていったそうです」


(よくあるパターンだな。)


「勇者達は魔王を倒しに行く途中の山でレットドラゴンに遭遇しこれを倒したそうですが、その後にダークドラゴンにも遭遇し殺されかけたがドラゴンが止めをささずに何処かに飛び去っていったそうです」


(ダークドラゴンを倒せずによく魔王を倒せたな!下級魔人ですらダークドラゴン以上だったぞ!)


「それから勇者達は魔王城に行き魔王を何とか倒したそうですが帰ってきたのは、レンとミリそれに賢者の三人だったそうです」


「勇者達は自分達が元の世界に帰れない事を知り二人で静かに暮らしたいと言って城から居なくなったそうです」


 トワは一息ついてアグリバッハに聞いた。


「その二人は何処から来たかをを言ったか?」


「日本と言う国だと最初に言って以来言わなくなったそうです」


(なるほど、その二人は直ぐに異世界だと気付いたとすると、俺がいた時代とあまり変わらないかな、・・・ダメだやっぱり神じゃないと詳しくはわからないな)


「勇者達の戦いとか詳しくは分からないんですね?」


「大まかな流れしか文献からは読み取れないんですよ。

 どうしても詳しく知りたければペルイトのギルドマスターのレイシャ殿に訪ねてみてはどうですか?その時は是非私も御一緒します」


 アグリバッハは一緒にと言う部分を凄く強調した。


「一緒は良いですが、何故レイシャさん何ですか?」


「おや?聞いてないんですか?レイシャ殿は勇者と共に戦った時の大賢者の御弟子さんなんですよ」


 俺達三人は驚いた。


「えっ!だってそれは千年も前の話でしょう?」


「エルフは長寿ですからね、レイシャ殿は今880歳だったと思いますよ。実際の戦いは知らなくとも師から話を聞いている可能性はありますよ」


「880!と言うか、なんで自分で聞きに行かないんですか?」


「なかなか接点が無いんですよ。いきなり行って昔の話をしてくれとは言えないです。勿論、時の大賢者は既に亡くなってますよ」


「なるほど、わかりました」


「後はギルドの成り立ちですが、トワ殿はギルドがなんの目的で作られたかを知っていますか?」


「魔獣と戦うためですか?」


「それは表向きです。実は最初は勇者の為だったのです」




「勇者達が静かに暮らしたいと去ってから時の大賢者は自分がした大きな過ちに悩んでいました。

 自分達の都合で勇者達をこの世界に呼び強制的に家族や友人達と別れさせて危険な戦いをさせて、更には帰すことが出来ないという事を知った勇者達の絶望したような反応に大賢者は罪悪感を感じて苦しんだそうです」


「勇者達が去ってから大賢者はせめてもの罪滅ぼしに勇者達が最後に願った静かに暮らしたいと言う言葉を守るために各国の王が集まる会議に乗り込んで冒険者ギルドの設立と何処の国にも属さない事、さらにはギルドがいる街はギルドマスターが街を仕切ることを認めさせた」


「各国は王都以外を全て失っている為にこれからの事を話すため会議をしていた。

 そこに大賢者がやって来て勇者達の為に冒険者ギルドと言うものを作ると言う。

 理由は魔王が死んでも魔獣が居なくなるわけでは無いので、勇者達の手を煩わせないためにお金を出して討伐するものを集める為だ。

 街を仕切るのは、もし貴族が統治し近くに勇者達がいた場合ちょっかいをだす可能性があること。

 王達は最初は難色を示したが理由を聞いて自分達も勇者達に対して罪悪感を感じていたために了承を出したそうだ。

 その事を隠す為に一般的には冒険者ギルドが先頭で戦うという事で国と取引した事にして人々に嘘の話を流したんだ」


「ゆえに、この街は私の街とも言えるわけだ」


「よく人々が納得しましたね?」


「人々は守ってくれるのならば国だろうが新しく出来る組織だろうがどちらでも構わないのさ。それに、その組織の代表が勇者と共に戦ったあの、時の大賢者ならば余計に異論はないさ」


「なるほど、でも貴族が反対をするでしょう?」


「今でも貴族の中には街は貴族が統治するものだと言うもの達もいるが、昔は大賢者に逆らえる奴は居なかったし、今の冒険者ギルドは一国をも越える組織力を持っている為に面と向かって何かをする奴はいないさ」


「面と向かってでは無く陰でならいるんですか?」


「確かにいるが気にならない程度さ」


「国はそれでいいんですか?」


「冒険者ギルドが率先して魔獣と戦うし、年に1回冒険者ギルドが国に税金を納めているから構わないのだろ。ちなみに、税金は冒険者の報酬から少しずつ取ってるんだ!」


「そんな事まで俺に喋っていいんですか?」


「ここだけの話にしてね」


「わかりました。色々とありがとうございました」



 その後は他愛もない話をして冒険者ギルドの横に宿がある事を聞いて宿に行く。



 宿に行き部屋に行って色々と考える。

 するとアイリが心配そうに聞いてくる。


「トワ様、何か考え事ですか?」


 どうやらトワは考え事をしながら唸っていたらしい。


「国の中で独自に色々な自治をする街が出るわけだろ、いくらメリットがあってもよく国が了承したと思ってな」


「トワ様のいた世界ではあり得ない事ですか?」


 この世界の人々はそれが普通な為になにも感じないで受け止めている。


「ありえな・・・・くないのか?」


 元の世界の事を思い出してトワの知っている範囲で考えると、確かに日本でも、日本と言う国があって、その中には県等ので独自に自治をしたり更にはその中に市等がありそれぞれの自治をしている。


(ん~、ペルイトとかの街を俺の世界の~県と考えればおかしくはない・・・のか?)


 トワはそこまで元の世界の政治に詳しいわけでは無いので余計にわからなくなってしまった。

 トワが更に悩んでいるとアイリとリーネが服を脱ぎ捨てた。


「トワ様、そんなことよりもっと大事なことがありますよ?」


「ご主人様、約束は守ってくださいね?」


 全裸の二人に抱きつかれてトワは考える事をやめた。














「ハハハ!今回も俺の勝ちだな」


 魔王城にまたラボラスの笑い声が響く


「主様かち~」

「主様かち~」


「ラボラス様には勝てませんな、」


「ヨトゥンよこれは予想は出来ないさ」


「ニーズヘッグ、貴様などの慰めは無用だ!」


「なんだと!」


 二人が嫌悪な感じでにらみあっていると豹の頭をしたシトリーが仲裁をしていた。


「二人とも落ち着いて、それにしても彼奴は勇者では無いんですか?」


「ん~、どうだ、アンドロ」


「勇者はまだパースト国の城に居ます。たぶんあれはかつての勇者とは違う方法でやって来たのではないでしょうか?」


「つまり、奴はかつての勇者と同じく異世界から来たと言いたいのだな」


「はい。誰かが召喚をしたのではなく、送られてきたと考えるのが妥当だと思います」


「なるほどな、して、奴は魔王城に来ると思うか?」


 アンドロは少し考えてから、


「それはないと思います。見ていた限りでは来るものは拒まず戦うでしょうが、わざわざ自分から攻めては来ないと思います」


「そうか、それは残念だ。では今の勇者はどうだ強いか?」


「強くはなるでしょうが、かつての勇者と同じ位でしょう」


 ラボラスは残念そうに項垂れた。


「そうか、ではまた最下級の魔人にでも魔王を名乗らせるか」


 千年前に倒した魔王は実はラボラスが賭けの為に用意した丁度よく戦える偽者の魔王だった。


「では、よいものを探しておきます」


「ああ、任せた。さて、次は誰がやる?」


「私にやらせてもらえるかしら?」


「ピトリテか、いいだろう。ならば場所は海沿いの国ドルドイで良いのか?」


 ピトリテは青色のロングヘアーで美しい人の姿をしていた。

 だが、足がなく代わりに魚の尾がついている、つまり人魚だ。


「はい。そこでお願いいたします」


「では準備が整い次第また始めるそれまでは解散だ!」


 一瞬にして部屋から誰も居なくなる。









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