戦闘終了?
投稿が遅れはじめてしまいすいません。
色々と忙しくなってしまい少し遅れる事があると思いますがこれからも頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。
バラーが飛行を使えない理由をMPから集中力に変えました。
トワは最後の攻撃をする少し前、息を整えている時に、戦いが始まる前にアイテムボックスに仕舞っていたダークドラゴンの皮から作ってもらったマントを取り出して左腕に巻き付ける。
他にも色々と準備をして、マントを巻き付けた左腕を隠す様に体を半分捻りバラーに突っ込んで行く。
スピードではトワが勝っているが、バラーは流石に斧術のレベルが4あるだけあって、トワが間合いに入った瞬間に的確に両手で持った斧を降り下ろす。
完全にバラーの間合いであってトワの攻撃はとどかない為に、バラーが降り下ろす斧をマントを巻き付けている左腕で受ける。
バラーの斧が左腕に当り一瞬動きが止まる。
しかし、いくらダークドラゴンの革装備でも動きを止まるのは一瞬だけで、斧がマントを斬り腕に達するが、その一瞬で十分だった。
腕の痛みを耐えながら前に進み斧の刃がある間合いを抜けて降り下ろされる斧の長い柄の部分を左の肩で受けとめる。
肩の骨が砕ける音がするが無視をして右手に持つ剣を捻っていた体を戻す様に左から右に横一文字に斬りつける。
バラーは剣での攻撃を受ける為に俺の肩を砕いている斧を戻して縦に構えてガードする。
ヒュン!
トワの剣は少し前の攻防で折れていて刃渡りが15㎝しかなくてバラーが防御で構えた斧にすら当たらずに空をきる。
バラーは振ったトワの剣を見て攻撃ではなく声をかける。
「人間よ!自分の武器の状態すらわからずに振るうとは・・・・・愚か者...め....グフォ!」
バラーの胸から血を噴き出しながら落下して地面に大きなクレーターを作り砂埃を舞い上げる。
トワはバラーが落ちるのを確認してから自分の左腕を見る。
完全に切断はされていないが皮一枚でつながっている感じだった。
また血が足りなくなる前に急いで回復魔法をかけていく。
(毎回、俺の左腕はいつもこんなだな)
ドラゴンの時は食い千切られた事を思い出して苦笑いをする。
回復をして下を見ると、ようやく砂埃がはれてきて様子が分かる様になってきた。
魔獣達はバラーが落ちた時に潰れるか風圧で吹き飛んでいてバラーの周りには生き物がいなかった。
(死んだか?・・・・・!!!)
倒れているバラーが目を開けて血を流しながら立ち上がる。
(化物め!)
バラーは飛行を使えるほどの集中力が出ずに空にいるトワを見上げて喋りだすがダメージの為に声が小さくて聞こえないた。
何か喋っているがどうするかを考えながらバラーを見ると、バラーの目には既に戦いの意志がなかったので警戒しながら少し距離をとり地面に降りる。
他の魔獣が攻撃をしてこないかが気になったが襲ってくる気配がなかった。
バラーが改めて喋りだした。
「最後のはどう言う事だ!俺に剣は当たって無い筈だ!」
バラーは最後の攻撃が気になったらしい。
普通は自分の手の内をさらすことは無いが戦闘でテンションが上がっていた為に話してしまった。
決して自慢したいからではない・・・たぶん。
「あれは折れた剣に風魔法で空気を圧縮して剣の形に纏わせて見えない刃を作ったんだ」
「我は魔法には詳しくは無いがそんな事も出来るのだな」
「俺の風魔法はレベル5だからな」
トワは攻撃を仕掛ける前に風魔法のスキルを上げていた。
「なるほどな、・・この勝負はお前の勝ちだ!人間いやトワよ!」
「バラー、あんたは凄く強かった。今回は俺に運があったんだよ」
そう言えばトワの運は高すぎるから勝てたのかとトワは少し思った。
「ハハハ、おもしろい男よ。・・・トワよ、楽しかっ...た...ぞ........」
そこまで言うとバラーは立ったまま息を引き取った。
敵でありながら、バラーの最後まで戦士であった生き様に敬意をはらって一瞬の黙祷と一礼をして残りのMPを全て使い威圧の波動を放ち魔獣達のステータスを奪いながら殲滅していく。
バラーが死んだ事で魔獣達は逃げて行き直ぐに戦いが終わる。
街の壁の上に人が乗れる様になっており、そこにいる人々が一斉に歓声を上げる。
街だけではなく野営地の方からも聞こえてくるがそれを無視をしてトワはアイリとリーネのもとに行き無事を確かめる。
「アイリ!リーネ!怪我は無いか?」
「あっ、トワ様、掠り傷位なので大丈夫です」
「ご主人様、疲れました」
アイリもリーネも大きな怪我は無かった。
一応、回復魔法を掛けてそれぞれのアイテムボックスに魔獣の回収を頼んだ。
「トワ様、ゴブリンはどうしますか?」
ゴブリンは上位種でないと魔石も無い為にただのゴミになるからアイリは確認する。
「ゴブリンは上位種と見分けられるのだけ回収して、分からなかったら持ってきて、俺が鑑定してから判断するから」
「わかりました」
アイリとリーネは回復魔法で体力が戻った為に元気に走っていった。
(疲れたら回復させて、また、こき使うとか鬼だな俺は)
そんな事を考えながらどんどんと回収をしていくと、バラーの姿が無い事に気付きいる筈のクレーターの中心に行くと大きい魔石があった。
ダークドラゴンの魔石でもバスケットボール位の大きさだったのに、そこにはバランスボール位の魔石があった。
後で分かった事だが、魔人は死ぬと魔石を残して消滅するらしい。
三人で魔獣を回収し終わった頃にロナード達がやってくる。
「ま、魔族を倒したのか!貴方は勇者なのか?!」
ロナードではなく、街の方から来た男が言った。
そこで、近くまで来ていたロナードは男の発言が聞こえたらしく否定をする。
「それは無いであろうアグリバッハよ!当代の勇者殿は城にいる筈だ」
アグリバッハと呼ばれた男は引き締まった体に長めの銀髪をしているイケメンだ。
「おお、ロナード!この度はいち速く支援に駆けつけてくれた事を感謝する」
ロナードは首を横に振り、
「我々は何も出来なかった。ここにいる旅の冒険者の方が全てやってくれたのだ」
「だが、駆けつけてくれた事にはかわり無いだろ?それと、貴殿方の名前をお聞きしたいのだがよろしいだろうか?」
トワが喋りだす前にロナードが呆れた顔で割ってはいる。
「アグリバッハよ、名を聞くのなら先ずは自分が名乗るべきだろう。でなければ街を救ってくれた方々に不義理であろう」
「ロナード、お主が私の名を連呼するから名乗った気であったわ、旅の冒険者よすまんな」
アグリバッハは申し訳なさそうに軽く頭を下げて言葉を続ける。
「私はこの街ロンペイの冒険者ギルドでマスターをしているアグリバッハと言う」
これで良いかと言わんばかりにロナードに対して胸を張る。
ロナードはやれやれと言った感じに頭を抑える。
「御二人は仲が良いんですね」
「子供の頃からの腐れ縁だ」
ロナードはため息をつきながら言う。
「なっ、ロナード、ため息をつきたいのはこっちだ!」
アグリバッハはすごい剣幕でロナードに詰め寄る。
「ハハハ、御二人は本当に仲が良いんですね」
二人はお互いの顔を見て苦笑いをしてアグリバッハが俺に再度訪ねる。
「名前を聞いてもいいか?」
「あ、すいません。俺は冒険者のトワです。後ろの二人がパーティーメンバーのアイリとリーネです」
するとアイリが前に出て、
「トワ様の一番のお気に入りの奴隷のアイリです」
トワはアイリがこんな性格だったか首を捻っているとリーネが慌てて前に出て来る。
「アイリちゃんずるいです」
「いいんです。私が一番ですから」
「じゃあ、私が二番は良いですか?」
「そうですね」
「私はご主人様の二番目のお気に入りの奴隷で、リーネと言います」
リーネはあっさりと引き下がった。
リーネの中で一番になりたいがアイリが相手ならば我慢しようとアイリの話を聞いた時から考えていた。
「あのー、アイリさん?リーネさん?今の自己紹介はなんでしょうか?」
トワは何と無く二人に対して敬語になってしまった。
「トワ様は浮気性なので変な虫が近寄らない様にしておこうかと思いまして、これからはこう名乗ろうかと思います。トワ様が悪いんです」
「ご主人様は綺麗な人を見ると直ぐに鼻の下を伸ばすからです」
「二人ともヒドイ!」
トワは項垂れて見せるがアイリとリーネは頬を膨らませて横を向いてしまった。
最近ずっと夜はおあずけだった為に、アイリとリーネは少し機嫌が悪かった。
それに気付きアイリとリーネを見ながら、
「そうか、二人には俺の愛が伝わって無かったのか残念だ」
トワが悲しそうな顔をするとアイリとリーネは心配そうに俺を見る。
「トワ様、」
「ご主人様、」
そんな二人を見ながらニヤリと笑い、
「今夜は寝かさないぞ。気絶しても回復魔法で起こして俺がどれだけ二人を愛しているかを分からせてやるから覚悟しておけ」
そう言うと二人は嬉しそうな笑顔を浮かべた後に、夜を想像したらしく赤らめた顔を両手で隠しながらクネクネとしていた。
そんなトワ達のやり取りを見ていたアグリバッハは笑う。
「トワ殿は愛されているな」
「勿論ですよ。・・・そう言えば、奴隷と聞いてもなんとも思わないんですね」
「トワ殿の宣言はこの街でも有名だからな。それに、貴族でもなければ気にする奴は少ないさ」
(確かにペルイトの街で絡んできた奴は元だが貴族だったな)
トワはそんな事を考えていた。
すると、ロナードがわざとらしく咳払いをして話を戻す。
「アグリバッハよ、トワ殿はお前の言う勇者よりも強いぞ。なにせかつての勇者が倒せなかったダークドラゴンを倒したとの噂だ」
「その話は聞いている。トワ殿は本当に勇者では無いのか?」
「違いますよ。それよりも昔の勇者ってダークドラゴンを倒せなかったんですか?そんな話は初耳です」
アイリとリーネの方を見ると既に復活していた二人が驚きながら首を横に振った。
二人とも知らなかったらしい。
「アグリバッハは勇者研究をしているのだ」
「その勇者の話を分かる範囲で教えてくれますか?」
自分と同じく異世界から来た人が何をしてどうなったのかが気になった。
「勇者の事が気になるのか?」
「ええ、少し」
アイリとリーネも興味津々で、異世界から来た勇者に興味をもって、トワが異世界から来たと疑われる事はなかった。
「わかった。ここではなんだから俺の部屋まで来てくれ」
そう言って街に向かう。
街に入る時に一悶着あった。
入る為にギルドカードを渡すと門の兵士に貴族を殺した事がばれたがロナードが間に入り説明をして水晶に手を置き、兵士はカードを何か触り犯罪歴を消した。
「えっ!それって消せるの!」
消せるのならば兵士の一存で街に犯罪者を入れられるのではないかと思ったがそうではなかったらしい。
「証言者の真偽を水晶で確かめそれが事実ならば犯罪歴が消えるのだ。勝手には消せないぞ」
そう言う事らしい。
ロナードさんはトワの証言をした後、報告をする為に兵を連れて王都に帰っていった。
そのあと話をしながら街の中心にある冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドに着いて、ギルドマスターの部屋に入り全員が椅子に座るとアグリバッハは話を始める。
「改めてこの街のギルドマスターをしているアグリバッハだ。今回の事、誠にありがとう。この街を代表して礼を言う」
トワは気になっていた事を他にも思い出した。
「礼は良いです。それよりも勇者の事ともう一つ聞いても良いですか?」
「私で分かる範囲ならばく構いませんよ」
「街とは国に属しているのでは無いのですか?それなのに国に属さない組織である冒険者ギルドが街を納めているのは何故ですか?」
「その事ですか。トワ殿が納得する答えを私が返せるかはわかりませんがそれでも良ければ話しましょう。勇者の話と冒険者ギルドの成り立ちには関わりがあります」
「お願いします」
アグリバッハは頷いて何も見ないで目を閉じて語り始める。
「それは昔の話、今から千年もの昔」