あれ?
今回は短めです。
老人の娘が若いのはおかしいと指摘があったので、少し会話を変更しました。
トワ達が入った門から真っ直ぐに町を抜けて反対側の門から外に出る。
外に出ると直ぐに森だった。
(これって、実はランクSの奴がいるって言うテンプレだよな)
そんな事を考えながら走って行くと、川から少し離れたところに見馴れた光景が広がっていた。
「ビバ!水田!」
「トワ様、大丈夫ですか?」
「ご主人様、居眠りですか?」
立ち止まって叫んだ俺をアイリとリーネが隣に並んで心配そうにトワの顔を覗き込む。
「大丈夫だよアイリ。 寝言じゃないぞリーネ」
言いながら二人とイチャついていると、川の近くに生き物が6匹動き出すのが見えた。
すると、アイリとリーネが武器を構えて、
「トワ様!ここは私達に任せてください!」
「ご主人様!疲れてるみたいなので休んでてください!」
ステータスが欲しいが、強い奴が出てくると考えて、とりあえず二人に殺さないように言えば良いかと思い、
「わかった。二人に任せる!そのかわり...!」
トワが殺さないようにと言う前に二人は走り出して行った。
ため息をついて、仕方がないかと諦めて二人の様子を見ていて疑問がうまれた。
(なんで、町の連中は冒険者ギルドに頼まなかったんだろう?)
そんな事を考えていると二人が戻って来た。
「トワ様、終わりました」
「ご主人様、魔獣がみんな雑魚です」
二人が6匹倒すのが思った以上に早かった。
「二人ともご苦労様。あと、リーネ油断はダメだぞ」
そんな二人を撫でながら更なる強敵の出現をワクワクしながら待った。
しかし、いくら待っても何も現れない。
すると、トワに撫でられて気持ち良さそうにしているリーネが首を傾げているトワを見て、
「ご苦労様?さっさとヒポグリフを仕舞って町に帰ってお布団で寝た方が良いですよ?」
リーネの発言でアイリがトワの顔を見上げて、
「トワ様、早く帰ってお布団で、その、・・・はぅ」
などと言ってアイリは顔を両手で隠した。
「リーネ、俺は元気だから。それとアイリいくら俺でも旅先では控えるよ」
トワの言葉に二人の反応が分かれた。
アイリは露骨に残念そうに項垂れていた。
リーネは満面の笑顔で喜んでいた。
「リーネちゃんはトワ様が今夜の相手をしてくれないって言ったのに嬉しいの?」
リーネは俺と顔を見た後にアイリを見てアイリが頷くとこちらも項垂れた。
そんな二人を撫でながら控えるって言っただけだからと、毎日はやらないだけだと納得してもらい、ヒポグリフの回収をして来た森を戻り町に向かう。
(おかしい!仲間を殺されて怒る群れのボス的存在の奴が襲ってくるテンプレは?)
と考えて水田の方を振り返りながら何事もなく町に戻って来た。
町に戻り、話を持ちかけた老人にヒポグリフを倒してきたと話すと直ぐに町中に広まり祝いをすると言う。
町に広場のような場所で宴が始まった。
トワは面倒だったがアイリとリーネが楽しそうだったので良いかと思い二人を少し離れた場所から見ていた。
宴が始まって暫くすると老人が若い女性を連れてきた。
「この度は誠にありがとうごさいました。遅れましたが私はこの町の町長をしておりますトエルと申します。こちらは娘のメリラと言います」
そう言うと町長は深々と頭を下げて娘の背中を押して前に出す。
するとメリラさんは少し顔を赤らめて頭を下げて、
「メリラと申します。この度はありがとうごさいました」
メリラさんは綺麗で可愛かった。
腰まである綺麗な銀髪で、スタイルが良くモデル体型と言われるやつだ。
(これはきただろ!お礼に娘をどうぞとか言うテンプレ!しかも、その娘も満更でないってやつだ!)
そんな事を考えながらいい顔を作り、
「俺はトワと言います。Aランクの冒険者です。このぐらいたいしたことはありませんよ。困っている人を助けるのは当たり前です。それにしても随分と若い娘さんがいるんですね?」
(視線が痛い!アイリとリーネの視線が!)
楽しく食事をしていた筈のアイリとリーネが俺を凄い目で睨んでいた。
トワはその視線に耐えながら平常心を保っていた。
「流石はAランクの冒険者殿ですな、感服いたしました。・・・実は本当の娘では無いのです。この子の両親はこの子がまだ小さい頃に魔獣に襲われて亡くなりました。儂には本当の子供がおりませんので儂が引き取り育てておるのです」
「すいません余計なことを聞きました」
「いえ、私は気にしません。今がとても幸せですから」
メリラさんは落ち込んだ様子もなく明るい笑顔で話してくれた。
そのあと三人で色々と話をして、
「儂等はそろそろ失礼します。宴を存分に楽しんでくだされ」
そう言って二人は去っていった。
(あれ?・・・そうか、夜に夜這いにくるんだな!)
実は宴が始まる前に、だいぶ日が傾いた為に町に泊まるため宿の場所を聞くと、宿はないと言われてどうするかを考えていたら、町長がウチに泊まってくれと言ってくれたのでお言葉に甘えることになった。
宴が終わり、さっきの事を怒っているアイリとリーネをなだめながら町長の家に向かう。
家に着くと案の定トワ達の部屋は別々に用意されていた。
アイリとリーネの部屋は別段、奴隷だから汚い部屋と言う事はなく普通の部屋だった。
アイリとリーネはトワと同じ部屋で良いと言ったが、たまには離れてみるとより仲が良くなるぞ、二人に話して渋々だが納得させて其々の部屋に帰した。
(全く二人がいたらメリラさんが来ないかも知れないじゃないか)
アイリとリーネの事は勿論、大切だし愛しているが、トワも男なので綺麗な女性と楽しめるなら楽しみたいと思ってワクワクしながら待っていた。
・・・・が、外が明るくなった。
(嘘だろ!なんも無しかよ!無駄に完徹したわ!)
トワは寝不足のまま町をでる準備をしていると町長が、
「申し訳ないのですが、お礼のコメはまだ収穫してないので、お渡し出来るのが少し先になってしまうんですが」
(謝るなら娘を寄越さなかった事を謝れ!)
と、心の中で叫び顔は笑顔で、
「構いませんよ。これから王都に行くのでその帰りにまた寄ります。その時で構いません」
町長は頭を下げて
「ありがとうごさいます。それで、量の事なんですが、」
「それはお任せします。そちらに無理が無いくらいで構いません。足りなければ買って行きますので」
「誠にありがとうごさいます。お礼をしてもし足りないくらいです」
感謝をするなら娘をくれと言いそうになるのを抑えて、
疑問に思っていた事を聞いてみる事にした。
「一つ聞いて良いですか?」
準備が終わったので、町長宅を出て門に向かいながら話を聞く。
「何でしょうか?」
「どうして、冒険者ギルドに討伐の依頼を出さなかったんですか?」
「お恥ずかしい話しこの町には依頼をするだけのお金が無いのです」
「なるほど、余計なことを聞きましたね。すいません」
「いえいえ、構いません」
それから少し話をして門に着いて別れをする。
「それじゃあこれで」
「この先の町には少し急げば夕方には着くと思います。
しかし、気を付けてください、この先の街道で大きな盗賊団が出ると聞きますので」
町長はそんな事を言って手を振る。
(盗賊団!勿論襲われて、全滅にして、ステータスガッポガッポだ!)
そんな事を考えながらにやけているとアイリが、
「昨日は綺麗なお姉さんと楽しめなくて残念でしたね」
「俺がそんな事を考えているわけないだろ。てか、どうしたアイリ?目の下の隈が酷いぞ」
「お互い様です」
アイリは自分の部屋からずっと気配察知でトワの部屋を探っていた。
ちょと怒っているアイリをなだめながら遠足に行く様なウキウキ気分で盗賊団が出ると言うテンプレを期待して次の町に向かう。
暫くすると・・・・・何事も無く少し大きな町に着いた。
「・・・・・・・何でだよ~!!!!!!」