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アイリ(奴隷)?

 最近読んでくれている方が増えていて感謝です。


 これからもがんはります。


 


 街に戻りアイリは宿で村に行く前にした怪我を癒していた。

 

 数日がたち傷も癒え、冒険者稼業を再開するためにギルドに行き依頼を受けた。

 体が鈍っているかもしれないので自分のランクと同じDランクのグリーンウルフ討伐を受けて森に向かう。



 森に着き辺りを見回して気配を探る。

 少し先に気配があった。


 気配の元へ行くと一匹のグリーンウルフがオークを食っているのを見つけた。

 気付かれ無い様に木の上に乗り慎重に近づいて行きグリーンウルフの上につき息を殺し隙を伺う。


 グリーンウルフは食事に夢中でアイリの存在に気が付か無いどころか周囲の警戒すらしていなかった。

 アイリはそれを確認して右手で短剣を逆手に構える。


 しかしアイリは攻撃に移れなかった。


 短剣を構えた瞬間から手足が震えだし息が荒れ鼓動が早くなるのがわかる。

 そんな状態でまともに気配を消す事が出来ず、周囲の警戒すらしていないグリーンウルフに気付かれた。

 グリーンウルフは頭を上げ自分の真上の木に隠れているであろうアイリを睨みつける。

 まだ正確な場所までは見つかっていなかった、ため直ぐに攻撃を仕掛ければチャンスはいくらでもあったが、恐怖で戦いどころでは無かった。


 もし、避けられたら、

 もし、反撃を喰らったら、

 もし、武器を落としたら、

 もし、足を怪我したら、

 もし、仲間を呼ばれたら、

 もし、もし、もし、もし、

 もしもしもしもしもしもしもし、



 アイリの頭は恐怖でまともな思考が出来なかった。

 冒険者になってから大怪我をして次の依頼で恐怖を感じた事もあったが、その時は村にいる家族の為にと自分を鼓舞して戦えていたが、家族も失い支えを無くしてしまった今のアイリには恐怖に立ち向かうことが出来なかった。


 

 グリーンウルフは攻撃をしてこないのを確認して、オークをくわえて森の奥へ消えていく。

 グリーンウルフは既にオークとの戦いで魔力を殆ど失って体も傷だらけの満身創痍だったが、アイリはそんなことにも気が付かずにオークを引きずって行くグリーンウルフの後ろ姿を見送る事しか出来なかった。



 グリーンウルフの姿が見えなくなってから一時間程たってから、ようやく木の上から下り周りをいつも以上に警戒しながら森を出て街に向かった。


 街の入口に着いた。

 私は凄い酷い顔をしていたらしく、門番の兵士に何があったかと訪ねられた。

 私は気にしないでと言って宿に向かった。


 流石に今日は冒険者ギルドに行きたくなかったので部屋で布団を被っていた。


 基本的に期限の決められていない依頼は5日以内に報告すればいい事になっていた。

 しかしアイリはこの依頼を破棄しようと考えていた。

 自分のランクより下の依頼を受けて少しでも違約金を返そうと考えていた。

 

 依頼を失敗したときの違約金は支払う事が出来ない場合はギルドにその人のランクに応じて支払いを待ってもらうことが出来る。

 それでも払えない場合は奴隷商会に売られそのお金が違約金に回される。


 アイリは既に村に行く前に2つの依頼を失敗している為に少しでも稼ごうとしていた。

 


 次の日、ギルドで依頼の失敗を報告してオークの討伐を受けると、受付から違約金の支払い期限が7日後だと言われた。

 それを聞いたアイリは自分の人生がもうすぐ終るかもしれないと思って気合いを入れ森に向かう。



 しかし、いくら気合いを入れでも体と心がついていかず、最初は震えて森にすら入れなかったが、どうにか体を動かして森に入り戦ったが格下のオーク相手に苦戦をして怪我をした。

 依頼をどうにか達成したが怪我が原因で熱を出し宿で 4日を過ごしてしまった。


 このままでは、違約金の支払いは無理だと考えて上のCランクのスチールクラブの討伐をを受けて街を出た。


 スチールクラブは川辺に住む甲羅が1メートルで脚まで入れると2メートル位になる金属で出来た蟹だ。


 金属は鉄よりも柔らかく軽い為に生活の日用品として需要があるために買い取りも高いため一気にお金がたまり支払いが出来ると考えた。

 しかし鉄よりも柔らかくても動きが速く自分が危険になると水に隠れる。



 アイリが川辺につくと早速1匹のスチールクラブを見つけて背後から近づいて攻撃をしようとするが体に上手く力が入らずもたついていると、川から数匹のスチールクラブが出来る。


 気配察知を持っていてもレベルが低いうえに障害物があると分かりにくいために、周りに集まっていたことに気が付か無かった。


 歯を食い縛り体を無理やり動かして攻撃をするが、いくら鉄よりも柔らかくても力の入っていない攻撃はスチールクラブのハサミに弾かれてしまった。

 そのあとも攻撃を続けるが全く効いていなかった。

 

 アイリは悔しい想いを押し殺してその場を逃げる。

 逃げながら自分の弱さに、不甲斐なさに悔し涙が溢れてきた。


 街に着き冒険者ギルドに支払いが無理な為、奴隷にしてくれと頼む。

 

 奴隷商に行き魔法をかけられ奴隷の証を見たときにもう終わったんだと思った。


《奴隷魔法=奴隷商人が使える固有魔法。

 奴隷になる条件(強盗等の犯罪者か借金をして期日までにかえせなかった者)をみたした者にのみかける事が出来る。

 奴隷になると胸の中央に輪の形の刺青が浮かび、奴隷の所有者がそこに、血を1滴垂らして魔力を込めると魔力紋がでて所有者の判別をする事が出来る。

 奴隷魔法は一種の呪いの為、奴隷は所有者が死ぬと一緒に死ぬ。

 奴隷に一度落ちると基本的に元には戻れないが、所有者が死後開放の追加魔法(これも奴隷商人の固有魔法)を付けると所有者が死んだ後に死なずに奴隷の証が消える。

 奴隷は所有者を攻撃出来ない、攻撃した場合死ぬほどの激痛が襲い、所有者を殺した場合、もし死後開放になっていてもその奴隷はその場で死ぬ》




 アイリは奴隷商会に来てから色々と聞いた。


 奴隷を買うのは殆んどが貴族で、慰み者にされるらしく、貴族の中には奴隷の手足を切って道具として扱ったり毎日、拷問の様な事をして楽しむ者がいるらしい。

 基本的に奴隷を殺せば罪になるが故意でなく扱っていたら死んでしまったと言うのは仕方がないと許される。


 そんな話を聞いたので、毎日どんな所に行くのか怖くなり眠れなかった。



 アイリが奴隷になって5日目に一人の男がやって来たてアイリも条件に入っていたらしく別の部屋に連れていかれた。

 他にも、たくさんの女性が連れていかれていた。

 客は若いらしく皆は貴族の御曹子がオモチャになりそうなのを探しているから少しでも体力がありそうなのを条件に出したんじゃないかと話していると階段を登ってくる音が聞こえて全員頭を下げて待つ。

 

 扉を開けて入ってきた。

 暫くすると奴隷商人のロイドさんが頭を上げる様に言って、お客様を見ると若くて見た目も良かった。

 男が暫く見て廻って私を指して面談を申し出た。

 私はいくらかっこよくても貴族に買われたくないと思い泣きそうになるが、そこに何時も私達奴隷の世話をしてくれているおばさんに連れられて面談室に向かった。

 


 面談室に先に着き少し腰が抜けて座っていると、扉が開き男が入ってきた。

 私は貴族様相手に粗相があってはいけないと慌てて立ち上がる。

 でも男は優しく、


「こんにちは、俺はトワよろしく。とりあえず座んなよ」


 トワと名乗った彼は座ることを促してくれた。

 私はお言葉に甘えて座った。


「私はアイリです」


 私が挨拶をするとトワ様は腕を組み難しい顔で黙ってしまった。

 私は咄嗟に何か気に障ることをしたのかと思って頭を下げて、


「申し訳ございません。私何かしてしまいましたか?」

 

 しかしトワ様は自分が考え事をしていただけだと言って申し訳なさそうにしていた。

 凄く優しい方なのかと思ったが貴族なら他の家族の方が怖いかもしれないとそんなことを考えていると。

 トワ様がいくつか質問をしたいと言った。

 奴隷相手に良いかどうかの質問をするなんて面白い方だと思ったが貴族だと言うのがアイリにはここ数日の貴族の話を聞いて凄い壁になっていた。


 アイリの考えとは裏腹にトワの質問は予想外だった。


「俺は貴族じゃあ無い」


 と、そんな言葉を聞いたらアイリの胸がドクンと大きく跳ねた。


 (貴族じゃあないトワ様は貴族じゃあない)


 アイリに取って貴族と言う壁が無くなってトワへの想いが膨らんでいくのを感じた。

 アイリには最高だった優しいしカッコいいこんな方にとずっと一緒にいたいと思った。

 トワの質問はまだ続いた。


 自分とパーティーを組んで欲しいと言うことだった。

 元は冒険者の自分にとっては大丈夫だと、トラウマもトワ様となら克服出来ると考え返事をしてトワ様のランクを聞いてみたら絶望が感じられた。


 Aランクのトワ様の足手まといになってしまうと断った。

 でもトワ様と一緒にいたいとトワ様に買って欲しいと思って胸が張り裂けそうな気持ちになる。

 しかしトワ様は足手まといになるのは気にするなと、それでも良いと言ってくれた。

 嬉しかった。

 アイリは自分の気持ちに気が付いていた。

 もう既に恋に落ちていることを一目惚れだった事を貴族と言う壁が無くなってもう抑えられない事を気が付いていた。

 それでも、足手まといになって捨てられてしまう事を考えると決心はつかなかった。


「俺が嫌か?」


 トワ様が少し悲しげに言う。

 私は反論しようとしたがロイドさんに止められて部屋から出されてしまった。


 トワ様に買って欲しいと言う気持ちがどんどんと大きくなって買って貰えかなったらとか、何か粗相はしてないかとか私の値段は予算内だろうかとか何もかもが不安になる。


 暫くすると違う部屋に呼ばれて入るとそこにはトワ様がいた。

 部屋に入ると直ぐにロイドさんが、


「この方がお前を買ったご主人様だ」


 とトワ様の前に私を押す。

 私は嬉しかった、嬉しくて笑顔が止まらなかった。

 トワ様に頭を下げてお礼をするとトワ様は、


「さっきの答えは?」


 と聞いてきた。

 さっきまでのやり取りを思い出して恥ずかしくなり黙ってしまうと、


「答えが聞きたいな?」


 と聞いてきた。

 私は恥ずかしながら、


「ご主人様と一緒にいたいです」


 と答えると、更に恥ずかしくなり顔を上げられなくなった。

 そんな私をトワ様は可愛いと言って撫でてくれた。

 凄く嬉しかった。




 契約も終わると、ロイドさんがもう一人用意があると言った。

 私は涙が出てきた。

 奴隷の私が独占したいとまでは言えないがせめて初めては独占したかった。

 そんな私を見たトワ様は料理をする方だと言った。

 家の事や料理も私がやると言うとトワ様は私の耳元で、夜のベットで頑張って欲しいと言う。

 その方には夜の相手はしないと約束をしてくれた。

 


 そんなこんなでもう一人を見に行くと一人の女性と面談をした。

 その女性は胸が大きかった私のはどう見ても小さい方だ。

 自分ではやっぱり不満なんだと思い泣いてしまった。

 トワ様にこれで良いんだと慰められて、頭を撫でられていたら、気持ちが良くて寝てしまった。






「とまあ、トワ様との出会いはこんな感じかな」


 と、横にいるリーネの方を向くと凄い泣いていた。


「リーネちゃんどうしたの?」


「アイリちゃんのお母さんいい人です。手紙良いです」


「ありがとう。それで色々あって今に至るって感じかな」


「色々って何ですか?」


「それは、また今度ね。もう遅くなったから寝よっか」



 そう言ってアイリとリーネは服を全て脱ぎ血が抜けすぎて冷たくなったトワの服も脱がせて、自分達の体で暖めながら眠りについた。

 



 とりあえず、出会いまでで勘弁してください。

 続きはまたいつか書くかもしれません。



 読んでくれてありがとうございました。



 次回は本編を少し進めたいです。(予定)


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