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黒幕?

 トワはドラゴンの左目の死角から攻撃を仕掛ける。

 ドラゴンは止まり左の腕で迎撃する。


 ドラゴンの爪が迫るがトワはスピードを落とさずに突っ込み剣で逸らすが、ドラゴンの渾身の攻撃は強く数センチずらして直撃を避ける事しか出来きなかった。

 体を捻るがドラゴンの爪が脇腹を抉った。


「ぐっ!」


 攻撃をうけることは覚悟していた為に歯を食い縛り痛みに耐え突撃の勢いを殺さずにドラゴンの後ろに回る。

 ドラゴンは自分の死角での攻防の為に後ろに回られた事への反応が一瞬遅れた。

 トワは回った瞬間にレットドラゴンから奪った獄炎の息を使った。


「ギャァァァァ!」


 ドラゴンが叫んだ。

 背中にあたりドラゴンの鱗の様な皮膚は焼け爛れ肉が剥き出しになった。


「さ゛ま゛あ゛み゛や゛か゛れ゛」


 喉や口の中が焼け爛れまともに声がでない。

 いくら炎耐性レベル5があっても炎を焼く獄炎の炎には多少の効果しかなかった。

 ましてやドラゴンの様にブレスを吐く為の体の構造ではない人間には使えない代物だった。


 ドラゴンがブレスの衝撃で動きが止まっている隙に肉が剥き出しになった所に剣を刺す。

 剣を深く突き刺してその剣の柄を口で噛みつく。

 ドラゴンが振り落とそうと暴れだした。

 暴れまわっているが剣が刀身を全て埋るほど深く刺さっているうえトワの牙術がレベル5の為に振り落とされずにいた。

 そんな中、トワは爪術レベル5で剣を口で抑えているために空いた右手の手刀を剥き出しの肉に突き刺した。

 右手がゆっくりと埋まっていく肘そして二の腕まで埋ったところで、意識が朦朧とするなか気力で耐えてドラゴンのステータスを奪っていく。


(まずはHPMP回復と自己再生を奪っておかないと振り落とされたらヤバイよな)


 そう思いゆっくりとだが確実にステータスを奪っていく。





 長い時間が過ぎドラゴンは回復が無くなって少しづつ弱り始めていた。

 トワは先に自己再生とMP超回復を奪った事でMPが回復して怪我や失った手足が再生され始めていた。

 喉や口の中も回復して喋れる様になった。


「無くなった手足が再生されている瞬間は気持ち悪いな」


 などと言える余裕が出てきた。

 ドラゴンの動きが極端に遅くなった為だ。


「これで最後だ!」


 最後に飛行のスキルを奪うと剣と腕を抜きドラゴンから離れる。

 頭から落下していき地面に激突してHPが1しかないうえ防御力0の為に首が折れ絶命した。


「勝ったぞこのやろ~!」


 空で叫び地面に降りると立てずに膝をつく。


「あれ?力が入らない」


 手足の欠損は自己再生でもとに戻ったがドラゴンを倒したことで気が抜けて一気に疲れと血を流し過ぎた事で意識が朦朧としてそのまま倒れた。


「ダメだな、もう無理だ」


 街の方から走ってくる人影が見える。


「....ま!」


 遠すぎるうえに意識がはっきりとしないので良く聞こえない。

 目を開けているのが辛いため瞼を閉じた。


「ト....ま!」


 一人の少女が凄い勢いで近づいてきた。


「トワ...ま!」


 少女に頭を抱えられ膝枕の格好になる。


「トワ様!」


 トワはその声がはっきりと聞こえどうにか瞼を開く。

 そこには涙を流して顔を腫らせたアイリがいた。

 そんなアイリの頬を撫でながら、


「そんなに泣いたら可愛い顔が台無しだろ」


 アイリにそんなことを言っているとアイリの後ろから少し遅れてギルドマスターのレイシャさんが走ってきた。


「まさかダークドラゴンを倒してしまうとは、しかもたった一人で」


 そんなことを言って驚きを隠せない状態のギルドマスターに、


「ギリギリですよ。あと、アイリ」


 アイリは涙を袖で拭いて、


「はい」


「疲れたから少し寝るから、あとの事よろしく」


 それだけを言って意識を失う。



 そこでギルドマスターが、


「街まで運ぶぞ。誰か手伝え」


 そう言ったがアイリが、


「私が一人で運びますのて大丈夫です」


「一人では辛かろう手伝いくらい」


 この時まだ弱いリーネはアイリの判断で街の入口に待たせた。


「私はトワ様の奴隷です。主人を運ぶのは奴隷の務めです。なので私が、私にやらじでぐだざい」


 また、アイリは涙が溢れてきた。

 ギルドマスターはそんなアイリを見て一つ頷いて、


「全員で囲んで護衛しろ!」


 と、号令をかけてアイリに微笑んだ。

 アイリは一礼して街に向けて歩き出した。


 ギルドマスターはダークドラゴンを見て、


「運ぶには台車が必要だな」


 そう言って一度街に帰る。












「はっはははは!」


 トワが戦っていた地から遠く離れた場所ここは、魔国の中心そこにある大きな城の一室で男は腹を抱えて笑っていた。

 

 見た目は白い髪に赤い目で歳は17歳位の普通の男の子だ、ただし額から二本の角が生えている。


「すご~い、主様の勝ち~」


「主様つよ~い」


「そうだろ、コリ、ヨリおいで」


 コリは赤い髪、ヨリは青い髪、それぞれ額の真ん中に角が一本生えている6歳位に見える双子の女の子だ。


「「は~い」」


 走り回っていた二人は一つ返事をして男の子の元に走っていく。

 男の子は左右にある椅子にそれぞれ座らせて頭を撫でてやる。


 中に浮く大きい水晶を囲むように並べられた椅子にその男の子と双子の他に10人ほどが座っていた。

 男の子は水晶を指差して、


「どうだ、ニーズヘッグ我の言った通り人間が勝っただろう」


 ニーズヘッグと呼ばれた男は、体の形は人だか竜の鱗の様な皮膚をしていて更に頭は竜その物で、竜人と言える姿をしていた。


 「まさか、老いたと言え竜族しかも上位種であるダークドラゴンが負けるとは夢にも思いませんでした。

 流石はラボラス様です、お見それしました」 


 男の子はラボラスと呼ばれた。

 

「そうだろ」


「主様すご~い」

「主様すご~い」


 ラボラスは胸を張る。

 その横で双子は手足をばたつかせている。

 別の男が口を挟む。


「しかし、誰なんですあの人間の餓鬼は?」


「我にもわからん、だが面白そうな奴だ」


「奴だ~」

「奴だ~」


 コリとヨリは真似をして楽しそうにしている。

 ラボラスはそんな二人に微笑んで優しく撫でてやると二人は「えへへ」と嬉しそうに笑っている。


「わからないのに餓鬼が勝つ方にかけたんですか?」


「そうだ、わからないから面白いだろ。それに、

オーク(亜種)やゴブリンキングの時から目をつけてたんだ」


「たんだ~」

「たんだ~」


 ラボラスがそう言って胸を張ると、コリとヨリも真似をして胸を張る。

 



「ははは、そうですか、しかしあの餓鬼は何したんですか?獄炎の息を吐いて、しかも手足が再生してるみたいですけど、」


「ん~、我に全くわからん。シトリーはどう見る?」


「見る~」

「見る~」


 二人はずっとラボラスの真似をしているが何時もの事らしく皆はそんな双子を優しく見ていた。

 話していた男はシトリーと呼ばれた。

 体は人間で首から上が豹そして背中に鷲の翼が生えていた。


「俺なんかじゃ検討もつきませんよ」


「そうだよな。彼奴の事はとりあえず保留だな。

さてと、次の賭けは誰が仕切る?」


「る~」

「る~」


 ラボラスが聞くと、


「ワシがやろう」


 一人の巨人の男が手をあげた。


「お~!ヨトゥンか!楽しみにしているぞ」


「いるぞ~」

「いるぞ~」


「御意」


「ところでアンドロ人間の国の様子はどうだ」


「だ~」

「だ~」


 ラボラスはスーツを着た三目の男に聞いた。


「何やら勇者のアザがある子が見つかったそうですよ。まだ幼い子供の様ですが」


「ほ~、勇者が、これで更に退屈しのぎができるな。

では皆また次の賭けの時に連絡するので全員集まるように」


「に~」

「に~」


 ラボラスがそう言うと正員が立ち上がり一斉に、


「「「「「「「「「「はっ!魔王陛下の仰せのままに!」」」」」」」」」」


 そう言って正員が消えた。


 なんと、ラボラスは魔王だった。


「しかし人間は面白い。コリ、ヨリ行くよ」


「「は~い」」


 ラボラスはコリとヨリと手を繋いで部屋を出る。



 人間は魔族を脅威に思い滅ぼそうとしているが、魔族には人間を滅ぼす気は無い。

 魔族は人間を自分達が選んだ魔獣達を送り込んで戦わせて賭けをして遊ぶための駒にしか思っていない。

 時には今回の様な強敵を送ったり、数万の魔獣で砦攻めをしたりして楽しんでいた。

 人間にとってはそれが侵略されるかもしれない恐怖なのだが魔族は侵略に全く興味が無く賭けが楽しければ良いだけだった。



「次もまたあの男が出てくるかな」




 ラボラスの呟き、次の賭けを楽しみに扉を閉めると水晶に映っていた映像がゆっくりと消える。








 

 

 

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