表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/69

強敵?

 さっきまで騒がしかった街が咆哮一つで数秒間のあいだ静まりかえり気を取り戻した人々は絶望を顔に出して、咆哮の聞こえた正門から逆へ走る。

 中にはその場に座り込んで項垂れたり、手を組んで一心不乱に神に祈る者も見受けられる。

 トワはその中を正門に向かい走る。



 正門に着き門を潜り外に出ると鼻をつく臭いが立ち籠めていて顔を背けるとそこには兵士達が腰を抜かしている姿があった。

 そんな兵士の一人がトワの姿を見て街道を指差す。

 指の先には全身が黒よりも更に黒く見えるドラゴンがたっていた。

 ダークドラゴンはレットドラゴンよりも一回り小さいが存在感はとてつもなくデカイ。

 ドラゴンの足下にはいくつもの馬車の残骸が見える。

 馬車に乗っていたであろう商人や護衛をしていた冒険者らしき物があった。

 そこには人の形は無くまるで数日蒸し暑い室内に放置していた様に腐って溶けていた。

 装備品や服、馬車にいたるまで風化した様にほとんどが砂になっていた。

 トワはその光景に体の中から逆流する物を抑えられずに吐いた。

 全て出して少しスッキリしてダークドラゴンを鑑定する。



ダークドラゴン(魔竜)  ランクSS

HP:20000/20000

MP:8900/10000

STR:8200

DEF:9000

INT:8900

DEX:8000

AGI:4000

LUC:20

スキル:

牙術Lv5

爪術Lv5

状態異常耐性Lv5


特殊スキル:

飛行

咆哮

腐敗の息

威圧の波動

自己再生

HP超回復

MP超回復



(流石に強すぎる。これじゃあ普通の冒険者じゃ勝てないな。しかもまた知らないスキルあるし。)


 スキルの詳細を調べる。


《状態異常耐性=毒や麻痺等の異常に強くなる。レベル1なら少しかかりにくくなる。レベル5だと全くかからない。》


《腐敗の息=触れた生き物を腐敗、物を風化させる。MP使用量で範囲と威力が変わる。》


《自己再生=怪我を自動でMPを使用して回復する。欠損部位も修復する。MPが無い場合は発動しない。失った血液は戻らない。》


《HP超回復=HP回復速度Upをレベル5まで上げると取得可能、10分毎HP最大値の50%を回復する。》


《MP超回復=MP回復速度Upをレベル5まで上げると取得可能、5分毎MP最大値の50%を回復する。》




 一流の冒険者でもステータスの平均は200前後だ。

 ステータスは倍だが今回は飛行のスキルがあるから空中戦も戦えるが威圧の波動を使われると危険なので、焦らずゆっくりと近付く。

 ドラゴンがこちらに気づき、


「グギャァァァ~!」


 咆哮を放つ。

 トワは動きを止めて剣を構える。

 ドラゴンは自分の咆哮で動きが止まったと思い口を開けてブレスを吐いた。

 レットドラゴンよりも頭が良いためスキルをうまく使った攻撃を仕掛けてくる。

 しかし、咆哮によって萎縮したわけでは無いため地面を強く蹴り空に上がり飛行を使う。

 ドラゴンはかわされた事に一瞬驚いていたが直ぐに空にいるトワにブレスで追撃を仕掛ける。

 飛行によって空で自由に動けるため横に避けて剣に魔力を籠めブレスを使い隙のできたドラゴンに向かい斬りかかる。

 しかしドラゴンは右腕を振り爪で攻撃を仕掛けてくる。

 剣を斬りかかる体制だったために避けきれずドラゴンの爪の先が脇腹を掠めて少し肉を抉るが痛みを耐えながら剣を振り下ろす。

 しかしドラゴンの防御力が高いうえ空にいる為に足の踏ん張りが効かないので力が乗らず魔力を籠めた剣でもドラゴンの薄皮を斬るのがやっとだった。

 そのうえ自己再生で直ぐに傷が治る。

 空に逃げて回復魔法で傷を治してドラゴンを見下ろす。


「強すぎる!とりあえず威圧を使われない様にブレスと再生を使わせてMPを削らないと。」


 独り言を言っている事には気付かずに息を整えてドラゴンに向かう。


 ドラゴンは威圧を使わないのは自分の咆哮に耐える敵がどれ程のMPを保有しているかがわからないため、無駄に使うとMPが回復するとはいえブレスも自己再生も使えなくなる可能性があるために温存している。


 ドラゴンは爪を構えていて剣と打ち合ったが簡単に弾き返されてしまった。


 空に戻り火魔法で特大の火の玉を打ち出した。

 ドラゴンがブレスを吐く。

 火の玉はブレスと当たった瞬間に何事も無いかの様に霧散した。

 ブレスは勢いを殺さずに向かってくる。

 ギリギリで避けるといつのまにか飛行を使い空を飛んでいるドラゴンが爪を構え待っていた。

 咄嗟に風魔法でドラゴンと自分の間に壁を創り腕を顔の前でクロスしてガードを固めて攻撃を受ける。


 風魔法で多少威力を殺したお陰で即死はしなかっが吹き飛ばされ地面に激突した。

 ドラゴンは地面に落ちたトワに追撃でブレスを吐いた。

 トワは火魔法を地面に放ちギリギリのところで避け更に火の玉を地面に撃ち土埃で煙幕をつくり、回復魔法で傷を治す。


(さて、どうするかな?勝てる気がしない。)


 そんなことを考えているとドラゴンが翼で風をつくり土埃を吹き飛ばしていく。

 急ぎドラゴンの真下まで行き風の刃を連続して放つ。

 ドラゴンに数発命中して少しドラゴンの血が舞う。

 しかし、直ぐに回復して下に向かって口を開けてブレスを構える。

 ドラゴンは土埃が完全には消えてないため狙いをつけられずに今までよりも大きいブレスを吐くがトワは風魔法を放ち結果を見ずにその場から移動していた。


 暫くのあいだ土埃を飛ばそうとするドラゴンと風魔法で攻撃してブレスが来る前に移動して土埃が減ってきたら火魔法でまた埃をたてるを繰り返すトワの攻防が続く。


 ドラゴンは無理に視界の悪い地面に降りずに、空で敵のMPが切れるのを待つつもりでいた。


(不味いな、休み休みやっているが俺のMPが持たない、どうしよう、とりあえずポイントでスキルを取得しよう。強化系は今10とか20上がっても意味無いし、知らないスキルを取るのも使えるかわからないから・・・・・剣術を上げてレベル5のマックスにすればドラゴンの体を斬れる気がする。)


 このときは知らなかったが剣術レベル5は今まで現れたことがなかった程で、かつて剣聖と呼ばれた最強の剣士がレベル4だった。


 覚悟を決めてドラゴンに突撃する。

 当たり前に弾き返された。

 それは、予想の範囲で弾き返される時に自分で後に跳びなから地面に向かって火魔法を強めに放つと上空に高々と土埃が上がりドラゴンをも覆う。

 視界を遮られたドラゴンとは違い、トワは気配を読んでドラゴンの真後ろまでやって来た。


 上空の土埃が収まってきている為に急ぎ剣を構えて斬りかかろうとした時に体が止まる。


「ぐっ!」


 ドラゴンが威圧の波動を使った。

 動きが止まったのはほんの1、2秒だったがドラゴンには十分な時間だった。

 ドラゴンは威圧の波動に全MPを使ったらしくブレスではなく、体を捻りながら口を開けて牙を剥き出しにして噛みついてきた。


「くっそ~!」


 攻撃を避るにはドラゴンの牙がちかすぎる。

 動く様になった体を反らしながらドラゴンの口に左腕を突っ込んだ。

 ドラゴンはトワの腕を食いちぎる。

 腕を食いちぎられる瞬間に剣でドラゴンの首筋を突き刺す。

 剣術のレベルが上がったことで剣の威力が上がりドラゴンに普通に攻撃が通用する。


 腕を千切られたお陰でドラゴンから距離がとれた。

 回復魔法をかけるが回復魔法では欠損部分は戻らないため左腕が無いまま傷口を塞ぐ。

 ドラゴンもMPが回復してきたために首筋につけた傷が塞がっていくがやはりMPが足りないらしく治りが遅い。


(剣での攻撃が効くなら少しづつ削っていくだけだ。)


「うぉぉぉぉ!」


 血を流しすぎで体がダルくなっているが気合いを入れてドラゴンに向かう。


 ドラゴンの爪と打ち合う。

 いくら剣術が上がってもやはりドラゴンの力は強く受け流しきれず少しづつ攻撃を喰らい体に傷が増える。

 力では負けているが剣術レベル5のお陰でドラゴンの攻撃を剣で逸らして直撃を避けてドラゴンに一太刀入れるがドラゴンも体を捻り直撃を避けている。


 ギリギリの攻防を続けているとドラゴンが回復してたMP全てを使いブレスを吐いた。

 避けきれず右足に喰らい腐蝕が広がり始めたために右膝から下を切り落とし回復魔法をかける。

 ドラゴンがそんな時間を待ってくれる筈も無く、爪が迫ってきた。

 剣で逸らすがドラゴンの爪が顔の右側を額から右目を通って首筋までを浅く裂いた。

 更にドラゴンは体を回し尻尾で攻撃してきた。

 腕の無い左からの攻撃に風の防御を何重にもしたが防げずにもろに左脇に入った。

 ドラゴンの攻撃が当たると同時に俺の剣がドラゴンの左目を刺して吹き飛ばされた。


 風のお陰で致命傷にはならずにすんだ。

 回復魔法を使おうとしたがMPがとうとう底をついた。

 ドラゴンと睨み合いお互いにMPが底をつき次が最後だと気合いを入れて息を整えて、互いに構えて、


「はぁぁぁぁぁぁ~!」


「グギャァァァァ~!」


 お互いに意味の無い咆哮を最大限に発しながら向かっていく。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ