無名の愚者(Nameless Pierrot)
「夢想家」
例えば僕が
世界平和を
叫んだとして
きっと世間は
僕を指さして
夢想家だと
馬鹿にする
だから僕は
「そうだよ」
と、笑おう
世に溢れる
便利な機械
それはきっと
千年前の人にゃ
魔法の道具
昔の人達が
夢見た道具に
囲まれて生きる
そんな僕らの
「平凡」な暮らしは
きっと彼らの
「夢」のような世界
だったら
僕の夢想の
「世界平和」だって
未来の生活での
「平凡」である事は
可笑しい事じゃないさ
だから僕は
笑って叫ぶのだ
世の中の皆に
夢想家だと
言われようが
何時かは叶うと
愚かに信じながら
僕は今日も
歩み続ける
「境界」
僕らを包む
肌色の境界
内包された
君の温もりが
握った手から
僕に伝わる
もしも僕が
この温もりに
溶けられるならば
この温もりと
一つになれるならば
どれ程に
幸福だろうか
けれど僕は
この温もりを
感じる事しか出来ない
この温もりに
憧れる事しか出来ない
この手を覆う
境界が邪魔をして
もしも今
僕がこの皮を破って
君の皮さえも破って
縫い合わせる事が
出来たのならば
僕は君と一つに
なれるのだろうか
君との境界を
消せるのだろか
馬鹿げた考えは
けれども僕を襲う
時々、嫌になるのだ
僕を包んでいる
こんなにも薄い皮が
僕と君を隔てる事に
時々、嫌になるのだ
僕を包んでくれる
こんなにも大切な君を
傷付けようとする事を
あぁ
僕を覆う境界は
本当に忌々しい