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「また一緒に暮らしたい」

作者: 天龍有我

ちょっと長いですけど今回は自信あります。五時間でかけて書き上げた短篇小説。どうぞお楽しみください。


「誰かいい女いねぇのかよ?」


「いねぇよ!どんな女がいいんだよ?」




いつもどうり男二人で寂しく帰る道。

いつもどうりの道、いつもどうりの会話。

だけど………その日だけはすこし違った。


「ねぇ!ねぇ!あたしのこと知ってる?」



二人は後ろからの声に振り向いた。

そこには今はあまりみない、おカッパ頭の女の子が立っていた。

5、6歳くらいだろうか……? 黙っていると女の子は続けて、

「ねぇ〜〜あたしのこと知ってる??」


どうしたんだろう?と思いながら女の子に問い掛けてみた。

「僕達は知らないなぁ〜〜。どうしたの??迷子になっちゃった??」



困っているのかな?っと思い、聞いてみた。

女の子はガッカリした顔をして、

「知らないかぁ〜〜……。じゃ!いいやっ!ありがとっ!」




   ザクッ!




少女の手が腹に刺さって背中に貫通していた。


横で見ていた友達は金縛りにあったかのように声も出せなくなっていた。


「知らないなら、意味がないんだよ。」



少女はそっとつぶやき、勢い良く男の腹部に刺さっていた手を抜いた。


手が赤く染まり、血がポタポタと流れていた。


男の腹部から大量の血が流れて、その場にドサっと倒れた。


少女はもう一人の男に向って、笑顔で聞いた。


「ねぇあたしのこと知ってる?」



「やっ、やめろ!こっちにくるな!」



男は恐ろしくなり、その場から逃げ出した。


なんだよ、あいつ。

手で人を刺した……。

やばい……あいつやばい……。とりあえず救急車呼ばないとっ!

男は500メートルくらい全力疾走して、追ってきてないことを確認して、携帯を取り出した。



「ねぇ知らないの?」



後ろに少女が立っていた。

「うわっ!やめろよっ!おまえなんか知らないよっ!あっち行けよっ!」



少女は悲しい顔をして言った。


「私のこと知らないなら、いらない……。」




少女は男の腕を握り、思いっきりひっぱった。




ブチッ!


「ぎゃぁぁ!」



腕がちぎれた。


肩から血が溢れだしていた。

男はパニックになって言葉にならない声を発していたが力尽きて倒れた。


少女はドサっと男の腕を道端に捨てて、歩きだした。

少女の目から涙がこぼれ落ちた。



「寂しいよ………………。お母さん……。お父さん……。」



少女はあてもなく歩き続けた。



ここは都内にある普通の女子校。しかし今日はいつもとすこし違っていた。


「ねぇ知ってる?昨日の殺人事件!」


「知ってる!知ってる!二人死んだんでしょ?恐いねぇ!」


恐いねとか言いながら明るく話す女子高生。まるで自分には関係ないように。

「5、6歳の女の子に殺されたらしいよっ!」


「えぇ!まじでぇ??」

 

「マジ!マジ!女の子に、私のこと知ってる?って聞かれるんだってぇ!」


「それで?」


「知らないって答えたら殺されるの!」


「うわぁ……!知ってるって答えたら?」


「わかんない!」


「なんだっ!気になるしっ!」


「あっ!先生きたよ!」



その声を聞き、みんな自分の席に座る。

これから長く虚しい授業が始まる。

  はぁ〜……っと二、三人の生徒がため息をつく。



学校が終わり急いで家に帰る真里。

今日も放課後友達と話をしていてもう八時を回っていた。

ガチャ!

「ただいまぁ!」


「真里!何時だと思ってるの!毎日毎日!」


「ごめんなさぁい!ご飯はぁ?」


「もう……今変な事件が起きてるんだからねっ!早く帰ってきなさい!」


「わかってるって!」


真里はついていたテレビに目がいった。

ニュースだった。

また今日三人被害者をだしている。

どの被害者も目撃者によると犯人は凶器は持っていないそうだ。

しかしどの被害者も素手で殺されたにしては醜い死に方をしていた。

「真里!気を付けなさいね!」


とお母さんが心配してくれた。

真里はすこし恐くなりご飯は食べずに部屋で音楽を聞いて気を紛らわしていた。



コン!コン!


誰かが窓を叩いてる。


「誰?」



返事がしない。

ひたすら窓をノックし続けてる。

真里はだんだんとイライラしてきて窓を開けた。


「誰よっ!」



そこには可愛らしい少女が立っていた。


「ねぇねぇ!あたしのこと知ってる?」



この子は……。

昨日から続く殺人事件の犯人だ。

朝の友達との会話が頭をかすめた。

知ってる?と聞かれて知らない。

と言ってはいけない。言ったら殺される。それだったら……。


「うん。知ってるよ。」


真里のその言葉を聞いて少女の顔は笑顔になった。

そして急に少女は泣き始めた。

「お母さん!」



急に抱きつかれた。

真里は何がなんだからわからないと混乱していると少女は泣きながら話始めた。


「やっと会えたね!お母さん!探すの大変だったんだからね!これからはずっと一緒だよ!……でもまだお父さんが見つからないの…。お父さんどこにいるかわかる??」



「えっ……?」



真里は何が何だか分からなかった。


「お父さんは?お母さん!」


もう嫌だ。この子と関わりたくない。そう思った。


「分からない。」


冷たく答えた。すると少女は

「お父さん知らないの?お母さん。」



「知らない。」



また冷たく、早く出ていけと言わんばかりに答えた。

「お父さんのこと知らないの?じゃ……お母さんじゃないね。」



真里は、しまった。

と思った。ここでお母さんじゃないことがバレると殺される。少女の目線が真里に突き刺さる。真里が思わず目をそらすと、


「騙してたんだ。そんな嘘意味ないから。」




ブチッ!


真里の指がちぎられた。おびただしい量の血が真里の手から出てきた。

もうダメだ。殺される。この子はなぜこんなことを……?

「なんで君は人を簡単に殺すの?」


パニックになりながらも思い切って聞いてみた。


「お母さんとお父さんを探すから。」


少女はそう答えた。


「探すだけだったら殺す必要はないじゃない!」



少女が少しづつこっちに歩いてくる。


「あたしは捨てられたの。お父さんとお母さんに。」



真里は出血が止まらない手を押さえながら少女の話を聞いた。


「お父さんが夜中に家族三人でドライブに行こうと言ってくれた。あたしは嬉しくてハシャギながら車の中で話し続けた。お父さんとお母さんはあたしの話を聞いてるだけで何も言ってくれなかった。でも三人で出掛けるなんて嬉しかったの。いつもお父さんとお母さんは仕事で家にはあたし一人だったから。あたしはお父さんとお母さんが大好きだったの。だから嬉しかった。二時間くらい車で走って、お父さんは急に車を止めたの。そこは山奥だった。夜中だから真っ暗で街頭もない山奥だったの。そこでお父さんはあたしにこう言ったの。 『ここでお別れだ。』ってあたしは意味が分からなくて、なんで?って何回も繰り返した。五歳のあたしにお父さんは優しく説明してくれた。

『お父さんはな、会社をクビになっちゃったの。

上司の命令でね。

会社の未来のために。

だから今生活していくのが辛いんだ。

とてもおまえを育てることは出来ない。

だからここで一人で暮らすんだ。

世間の冷たい風を感じないここで。

わかったな。

』そうお父さんは言った。

お父さんはね、あたしを守ってくれたの。

世間の冷たい風から。

でもあたしは飢え死にした。

もう一回お父さんとお母さんに会いたいって願いながら。

そして神様はあたしにチャンスをくれた。

この体をくれたの。

あたしをこの世界に戻してくれたの。

だからあたし、決めたの。

お父さんとお母さんを探す。それ以外の人間は殺す。そう決めたの。」



真里は何も言えなかった。

少女の手が真里の首に近づいてきてるのに、真里は放心状態だった。


ブチッ!

真里は首をちぎられた。


そして少女は夜の街を歩き続けた。

泣きながら、ひたすら歩き続けた。


この街にはいない。そう思って次の街に行くことにした。


そして次の街、また次の街と、ひたすら歩き続けた。



お父さん………。




お母さん………。




「また一緒に暮らしたい。」



どうでしたか??できればメッセージください。今後の参考にしたいと思います。

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