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【可能性】 とある放課後

6時限目のチャイムが鳴ると僕はいつものように荷物をまとめて教室から出ていく。クラスメイト達は部活動にでるため部室に走って行く者もいれば、教室でのんびりと友達としゃべったりしている人も。それを横目に僕は教室から出ていく。学校を出て長い下り坂を降り、もよりの駅へ。腕時計を見ると16時30分を指していた。

「少し早く着きすぎたなぁ」

そんな独り言をつぶやき、改札を通り、いつもの4番線に。ホームには朝同様帰宅をしている人達がいたが、朝ほど混んではいない。なんとなくほっとする。すると突然ホームに叫び声が・・・・

「おい!!!!誰か来てくれ!人が落ちた!」

中年の会社員がそう言って線路を指をさす。僕の体はなぜか自然とホームの段差に引っ張られ、高さ2メートル下をみた。そこには僕と同じ位年齢の女の子が落ちてうずくまっている。顔はよく見えないが、足首をひねってとても痛そうだ。ホームはパニック状態だった。でも僕はなぜかその子から目が離せない。プォォォォォーーーーーーーーーーーーー!

電車が来ていることに僕は気づかなかった。このままでは女の子が死んでしまう。しかし以前駅員はおろか誰もその子を助けようとしない。電車は汽笛を鳴らしながらブレーキをかけている。だがこのままでは・・・・・・・・・

いきなり時間が止まった。灰色の世界。

「なんだ・・・・これ!?」

僕は思わず目を擦る。それでも変わらない。僕はパニック状態だった。自分でもわかるぐらいに。

そして僕の目の前に、僕に似ている・・・いや僕が2人いた。そして左の僕がしゃべりだす。

「「このままこの子を助けないで、見殺しにするか」」

そして右の僕がしゃべりだす

「「それとも助けるか」」

そして2人の僕が口を合わせてこういった。

「「「「どちらがいい?」」」」

5秒の沈黙。僕は当然のように、答えた。

「助けるよ」

そういった瞬間灰色の世界は色を取り戻し、ホームのパニックの声が聞こえた。電車は女の子に近づいて来る。

「今助けるから!!!」

僕はそう叫んで、ホームから飛び降りた。走って女の子の方へ向かう。電車は近付いてくる。僕は走る。30メートル。20メートル。10メートル。5メートル。1メートル!そして刹那・・・・・・電車はホームに止まった。僕は女の子を抱き抱えて、電車の横に倒れていた。

「だ、大丈夫?」

そういって腕の中の女の子に問う。きれいな黒の髪。ロングストレートの髪の毛。それはすこし砂で汚れていた。女の子は声を発せず、ただ頷く。しかし女の子は僕の腕の中で震えていた。どうしていいのか分からない。とにかく今はホームの上にあがることが優先だと思って、逆側のホームに行く。もちろん女の子はおんぶをしてあげて、だ。

「大丈夫ですか!?」

「僕もこの子も大丈夫です!梯子をおろしてください!」

「わ、わかりました!」

駅員はすぐに梯子をもってきた。彼女は以前震えていたので僕はおぶったまま梯子を上った。

ホームにあがると拍手で迎えられた。ホームにいた人たちが僕に拍手をしてくれていたのだ。でも僕はそれが少しもうれしくはなかった。あたりまえのことをしたのだからとなぜか思ったからだ。

「すいません。この子まだ恐怖で震えてるんです。待合室ありますか?」

「は、はい!こちらに!」

駅員はそのまま僕たちを駅の待合室に誘導してくれた。

待合室に着き、とりあえずこの子をイスに座らせ、駅員は部屋から出ていった。どうやら駅長に報告にいくそうだ。

「もう大丈夫だよ?」

「・・・・」

彼女はコクンと頷き、顔を上げる。手で多少隠れた顔をみて、とてもきれいな顔立ちだと思った。しかし今は泣いていて、目の下が多少赤かった。

「ぁ、ぁりがとう、ござい、ます」

彼女は少し泣きながらそういってきた。

「はい。ハンカチ」

そういって僕はハンカチを差し出した。

「ありがとうございます・・・」

そういって彼女に触れた瞬間ッ。僕の脳裏に衝撃が走る。

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