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片割

その後ホームルームが終わり担任は、「じゃぁ。これで今日は終わりです」といってすぐさま教室から出て行ってしまった。

 

 担任が出て行ったら、案の定女子たちは太陽の元に駆け寄っていった。それからは女子たちからの質問の荒らしである。要は席から移動せずその様子を椅子に座って眺めている。


「この次期に引越しってやっぱり、親の仕事の都合なの?」

「うん・・・・まぁそんな所」

「へぇ、大変だねぇ。雅等黄君」

「あ、別に苗字で呼ばなくていいよ。俺の苗字呼びにくいでしょ」

「本当!じゃぁ太陽君って呼ぶね!」

「雅等黄って名前珍しいね。あんまり居ないと思うよ同じ苗字の人」

「うん、そうだよね。小さい頃は苗字の事気にしてたんだけどね」

「そうなんだぁー」

「太陽君は付き合ってる人いるの?」

「え、そんな別に居ないよ・・・・」

「本当?太陽君カッコイイからモテそうなんだけど」

「え、そうかな?ありがとう。でもそんなもてたりしないよ?」

「えー嘘?前の学校でもすっごいモテてると思ったんだけど」

「アハハ。でも特定の彼女とかは作りたくないかな・・・・」

「えー?どうして?!」

「だって、特定の彼女作らなければ・・・・・皆と遊べるしね」

「「「「「「「キャぁぁーカッコイイ!」」」」」」



そんな女子と太陽たちの会話を一部始終聞いていた、男子達と要と睦の思っている事が一致した。


(((((馬鹿だこいつ等・・・・)))))と・・・。



今だ女子たちに囲まれ、笑顔を振りまきながら話している太陽を呆れた目で見ている要。

睦は今日配られたプリントなどを鞄にしまうと、鞄を持って要に近づいた。


「あーもぅ要、鼎君呼んでもう帰ろうよ」

「あーそうだねぇ」


そういいながら要は鞄にプリント等をしまい、席から立ち上がった。

ソレを見ていた睦は、要が立ち上がったのを確認すると今だ黄色い声をあげている女子たちの方へと目を向け、要だけに聞こえるように言った。


「あー、何か期待したけど・・・・・唯の女たらしの馬鹿だったみたいだね」

「女たらしの馬鹿って・・・・睦も案外酷い事言うよね」

「別に・・・・君達双子よりかは酷くないと思うけど・・・・。だってそうじゃん」

「いや、まぁ女たらしなのは確かっぽいけど、馬鹿かどうかは、・・・・」

「明らかに馬鹿っぽく見えるけど・・・・」

「・・・・・竜君と居る睦の方が、馬鹿っぽく見えるけど」

「え?!何よそれ?・・・あー確かにそうかもしれない。私竜と居れて幸せすぎだから・・・気が抜けて馬鹿っぽく見えるのかも・・・・。そういう意味だったら馬鹿っぽく見られてもいい気がする・・」

「・・・はいはい。惚気はいいですからね」


竜のことを考えているのか、睦はどこか上の空で回りにハートの散らばせている。要はそんな睦に心底呆れながら、苦笑いをこぼした。

 すると何処かに意識をトリップしていた睦は、何かを思い出したのかハッっとなった・そして視線を女子に囲まれている太陽へ移すと、口を開いた。


「そういえば、私の聞いた話では転入生双子だって聞いたけど。その片割は何処のクラスに入ったんだろうね。確か女子って話しだけど・・・」

「あー、そういえばそうかもね。その女の子はどうなんだろうね。やっぱり馬鹿なのかな?」


そういうと二人とも女子と太陽の話に耳をすませた。


「あ!そいえば。太陽君確か双子だったよね?」

「あーそうだよ」

「へぇーそうなんだぁ!どんな子?女の子?」

「えっと、女だよ、陽彩ヒイロって名前だよ」

「そうなんだ。その陽彩ちゃんは何処のクラスに入ったの?」

「えーット確かB組だったかな」

「へぇーじゃぁ隣のクラスだね!」


そんな女子たちの会話を聞いていた二人は、驚いたように目を見開いた。今、二人の脳内にはB組でクラスの中心になっているであろう、鼎の姿がある。

 同じ男女の双子で片割が自分と同じクラスになっている時点で、すごい偶然なのに、要の片割鼎と太陽の片割、陽彩が同じクラスになっているという事実に二人とも驚きを隠せない様子だった。

 二人とも内心誰かが仕向けたんじゃないだろうかと、馬鹿な考えをしていたがそれほど二人にとってはこの事が驚きなのだ。


 要は鼎も今頃この事実に気づいて驚いているだろうと考えたが、その考えは瞬時に打ち消した。良く考えてみれば、鼎は比較的冷静沈着で肝がかなり据わっている。そんな鼎がこんな事で驚く事はまずないだろうと考えたからだ。

 

 





 確かに鼎はこの事実を知って驚きはしなかった。驚かなかったが鼎の心中は不安が絶えなかったのだ。この言いようの無い不安は何なのか分からないまま、鼎はもう一人の片割太陽と会う事となる。


   そして、この言いようの無い不安の正体は、太陽に会った時に理解する事となる。


   鼎にとってはとても嫌なこの正体を理解する事となる。

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