事実
「女装が似合うって・・・・・何言ってるの!」
「だって、本当のことだもん」
「だもんじゃないよ!てかそんな女装が似合ってる似合ってない関係なく、男の癖に女装が似合ってるって、双子の妹として恥ずかしいよ!いや、そもそも女装している事自体恥ずかしいよ!」
「え~俺が女装似合ってるのは事実でしょ?だって、俺が男ですって公言するまで皆気づかなかったし~。まぁ気づいている奴はそりゃ居ただろうけど、何も言わなかったて事は、女か男か疑っていたって事だろ。」
「そっ、そりゃぁそうだけど・・・」
「それに、お前だって人のこと言えないじゃねーか、男装なんかしやがって」
「急に口調変えないでよ!あ、てか誰のせいで私がこんな格好していると思ってるの!」
・・・・今から8年前。まだ要と鼎が8歳だったころ。
ある日、机に向かって、宿題をしている要に向かって、鼎は言葉を投げかける。
「ねぇー要ゲームしようよ」
それを聞いた要は、キャスター付の椅子をグルッと鼎の方へまわし、不思議そうに首をかしげる。
「ゲーム?」
「そぅ、ゲーム!ちなみに×ゲームつきだからね!」
「え~×ゲームあるの?やだよ!鼎の×ゲーム酷すぎるんだもん!」
「え~やらないの?」
「や、やるわけ無いでしょ!この前だってトラウマになりかけたんだからね!」
要はそういいながら、その事を思い出したのか、ブルっと体を震わせて真っ青な顔へとなった。一体どんな×ゲームをしたのだろうか、それは要と鼎しか知らない事である。
そして、鼎の方へと向けていた椅子をまたグルっとまわし、再び机に向き合い宿題をしようとしたのだが・・・・・・・。
刹那、『ガシャン!』と大きな音がしたかと思うと、要の視界には机と宿題のプリントではなく、天井と驚くほど可愛らしい笑顔である鼎だった。一瞬何が置きたか分からなかったが、冷静になると状況を理解した。 自分が背を向けた事が鼎の怒りに触れたのか、鼎は要の座っている椅子の背もたれを掴み、グイッと自分の方へ(後の方へ)と倒したのだ。キャスターがクルクルと回り、時間差で背中に痛みを感じた要が顔をしかめ、鼎に文句を言おうとしたのだが。鼎の笑顔を見てその考えを瞬時に打ち消した。要は知っているのだ、この誰にも癒しを与える笑顔こそが、鼎の素の笑顔だという事に。そしてその笑顔は人に一瞬だけ癒しを与えると同時に、恐怖を与えるのだ。一瞬その笑顔に癒されるが、しばらく見ていると、だんだん恐怖してくのだ。例えるなら天国から地獄へと落とされた気分になる。
そして何より、鼎がこの笑顔をする時は決まって、機嫌が悪い時、酷く気に食わない事があるときにするのだ。そんな事を誰よりも知っている要は鼎のこの笑顔がなにより、嫌いで怖いのだ。
「・・・・・・えっっと・・鼎?」
「キャハハッハハ!要ぇ~やるよねぇ~?」
「えっ?」
「ゲーム!勿論やるよねぇ~?」
「あ、えあ・・・・?」
「てか、やらなきゃ外で歩けないような顔にするぞ」
「やります!やります!やります!」
ほぼ、脅しに近い言葉を実の妹に容赦なく吐く鼎。その表情は相変わらずの笑顔であったが、その笑顔が逆に要を恐怖のどん底へと突き落とすのだ。鼎はそれを知っていながらやるのだ。
「ゲ、ゲームって何するの?」
「うーん、そうだなぁ~」
「・・・・・」
「そうだ!プロレスごっこしよう!」
「・・・・・・・アハハッハ私死ぬかもしれない」
その後は、部屋中に要の悲鳴と鼎の笑い声と、何かが折れるような音が響き渡った。
「・・・・バ、ッ、ゲー・・・ムって何、やる、・・の?」
「えへっ、その×ゲームってねぇ」
そして要は次の言葉を聞いて、本日二度目の恐怖のどん底へと突き落とされる事になる。
同じ顔なのに、表情はまるっきり違うというアンバランスを含めて。
「要が高校に入ったら~男装するの!」
頑張りました、一気に4話まで書き上げました。その分次の投稿には暫く時間が掛かると思いますが・・・。
4話まで書いたのに、話が全く進展してませんね。まだキャラが双子しか出てませんし、後もぅ一話までは双子の説明書きみたいなのだと思います。
この小説を見てくださった方、本当にアリガトウございました!すごくうれしかったです。お気に入りに登録してくださったのを見て、飛び上がりそうでした!
本当にアリガトウございます!。