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一心同体

「へ、変態って!酷いよ鼎だって人の事言えないじゃん!」


顔を真っ青から真っ赤へとなった要は、大きな声で叫んだ。まだそんなに生徒は居なく、早朝と事も有り学校外は酷く静かであった。しかしその分要の叫びがよく響くのである。要は叫んでいる最中一年前の入学式の事を思い出していた。しかしすぐその事を頭から振り払い、一旦呼吸を置くとさっきよりかはだいぶ冷静にはなったが、今だ鼎への怒りが治まらない。


「要は自分のことを棚にあげて、人の揚げ足を取るのが相変わらず得意だよねぇー」

「五月蝿い!だって本当のことだから、それに揚げ足を取っているわけじゃないし!」

「キャハハ、要ちゃん五月蝿いよ、こんな早朝にそんな大声出したりして~近所迷惑っていうのを考えられないの?まぁしょうがないか、要はバ・カなんだしね。ごめんね要にそんなのを求めた俺が悪かったよごめんね~」


と皮肉めいた言葉の羅列を容赦なく、要へとむける鼎。そんな鼎の言葉に拳を震わせ、殴りかかりそうな勢いだった要であった。しかしそんな事をすれば自分が目の前の人物に何をされるのかは、冷静に考えずとも分かるので、拳を解いてせめてものの、反抗として鼎から視線ははずし、自身もまた皮肉めいた言葉を吐き出す。


「ハハハ、鼎はそんな馬鹿で変態の双子の兄だもんねぇー、双子だから私が馬鹿で、変態だったら鼎の意思とは、裏腹に周りからには私と同じ目で見られることになるよねーこれじゃぁ、私達は自治共に認めるバカ変態兄妹になちゃうね~。私は別に何とも思わないけど、プライドが高くて。自尊心が強くて周りの目ばかり気にしている鼎お兄さんには、少し耐えられないかもねぇー」


要自身今言っている事は、小学生並だと分かってはいるが、それぐらいしないと要の怒りは治まらない。しかし要には鼎の顔を直視しながら、皮肉めいた言葉を言う勇気も、強い精神も無い為、あさっての方向を見ながら言っている。その姿は第三者から見ればかなりのヘタレであったが、要はそんな事を気にするほどの余裕が無かった。事実体中は冷や汗をかいており、「自分今日の夕日を拝めないかもしれない」などどかなりネガティブな方向へと考えてしまっている。


「ふーん、まぁそうだよねぇ、俺は要のせいでバカ変態扱いされる事になるんだもんねぇー」

「う、うんそうだよ」

「でも~バカはいいとしてぇー、変態はいただけないなぁだって、俺変態じゃないし」

「な、何でよ?」

「だって俺・・・・・女装に合ってるもん」

「・・・・は?」


 そう。誰がどう見ても女子高生にしか見えない鼎は正真正銘、要の実の双子の兄で泉坂 鼎で男である。要とは二卵性ではあるものの、顔は要とそっくりではあるが、背は鼎の方が幾分低い。鼎はとても男子高校生とは思えないほどの童顔で、女顔であり。かなりといっていいほど、容姿が整っている。しかも、女装をしているとあって、本当の女子高校生か女子中学生に見えるほどだ。また鼎も、一年の春から女装をしていたが要と違って、その容姿、体格のおかげですぐにはばれなかったのだ。

 つまり鼎と要はそれぞれ異性の格好をしている変態兄妹なのである。

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