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二人

現在。始業式一時間前。まだ始業式一時間前とあってか、極少数の生徒しかいないなか、かなり目立つ格好(男装)で校門前をウロウロとしている要。そんな要に後から近づく一人の女子生徒。その女子生徒は、1メートル以上近づいても自分の存在に気づかない要の背中へと可愛らしい声を掛けた。


「要~何してるの?そんなところでウロウロしてると不審者に見られるよ」

「か、鼎、別にな、何もしてない、よ。それ、にちゃんとココの制服着て、るから不審者なんかに見られない、よ」


可愛らしい声でかけられたにも関わらず、要はあからさまにビクッとなり、少女の方へと向き、途切れ途切れで聞き取りにくい、自分の現在の格好を見て不審者と見る人間なんてココの生徒教師以外では、星の数ほど要るという事を気づかない天然発言をした。


「あれぇ要~どうかしたの?何か怖い事でもあった?」

「別、に何も無いけど・・・」


鼎と呼ばれた少女は心配そうに眉を寄せて、要の顔を上目遣いで覗き込んだ。その表情だけでも、かなり絵になるほどの可愛らしさで、高校生にはとても見えない童顔低身長。なにより、誰もが純粋無垢の天使のようだと思う、容姿をもつ鼎は、高く可愛らしい誰が聞いても癒されるような声で、要に声を掛けた。かなり整った顔で上目遣いされ尚且つその愛らしい声で、自分を心配した発言をされれば男女問わず、顔を赤面し、卒倒する。要も例外ではなく赤面する・・・・・というわけではなかった、まったく赤面等といった言葉を連想させない顔色、所謂血の気が引いた真っ青な顔をしている要。

「ん~大丈夫要?」


要の顔色を見て、またもさっきと同じ可愛らしい声で心配したような態度で声を掛ける鼎。実際要にとってその声、その態度こそが恐怖の対象であるにも関わらず、鼎はその事実を知らない為に要に顔を近づける。いや、実際は知っていたのだ。要が恐怖している事実と理由に、鼎は知っているのだ誰よりも、自分の今の声、態度が要をひどく恐怖させる事に・・・。知っていながらも鼎は要に対してこの声、態度で声をかけるのだ。

 それは嫌がらせの何者でも無い事にも鼎は気づいている。


「かな、えあの、さぁ・・・・」

「何?はっきり言ってよ」

「絶対に怒らない?」

「え~何?怒らないよ~言ってよ」

「うん、あのさ鼎・・・・・その喋り方と態度止めて欲しいな、何か気持ち悪いから」



・・・・・・数秒間の沈黙・・・・・・・・・


そして・・・・・




  「黙れよ、変態」




その発言は、先ほどまで可愛らしい声で言っていた鼎から発せられた。その声は酷く低く、周りを凍りつかせるほどの圧力を持っていた。

 そして、発せられた言葉とは裏腹に、整った容姿で綺麗に笑みを作って。だがその笑みさえも、今の要にとっては一番の恐怖の対象でしかなかったのだが・・・・・

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