玩具
2年C組 教室内
「要ー帰ろう」「太陽帰ろう」 鼎と陽彩の声が重なった
「あ、鼎。うん」「陽彩、そうだね」 要と太陽の声が重なった
「「「「・・・・」」」」」 4人が沈黙した
(ふ、双子が揃った・・・・)
その様子を見ていた睦は何故か言い知れぬ不安があった。別に唯二組の双子が揃ったというだけなのに何故か不安が耐えない。
今だ沈黙している4人だったが、一人の女子生徒がその沈黙を破った。
「あ。そっか要ちゃんと鼎君も双子だったね」
「えっ?双子?」
そんな女子生徒の言葉に太陽と陽彩が目を見開き、鼎と要を交互に見た。そしてしばらく二人を見合わせた後納得したように「うんうん」とうなずいた。
「「なるほど。双子そろって変態だったんだ」」 太陽と陽彩の言葉が重なった。
そんな雅等黄兄妹の発言に、教室内は静寂した。
確かに双子揃って、異性の格好をしていれば確かに変態だ。ソレは要も重々承知している。(鼎は分からないが・・・)
しかし、今まで周りから冷ややかな視線は受けたものの、その整った容姿のおかげで変態だとは言われた事がなかった二人にとって、ここまではっきり言われるとそれほどショックを受ける・・・・・・・・
ものだと、睦は考えていた。 しかしソノ考えは一瞬にして打ち砕かれる事となる。
「いいじゃん。似合ってるんだから」
鼎のその言葉で雅等黄兄妹は言葉をなくした。鼎の自意識過剰な言葉に要は頭を抱えた。
たしかに鼎の女装はかなり似合ってる。そこらへんの女子よりもカワイイ。しかしココまではっきり言えるのもどうかと思う。 要はコノ自意識過剰な変態と同じ血が流れていると思うと、また頭が痛くなった。
要は自分が変態だとちゃんと自覚しているから、変態といわれてもなんとも思わない。鼎はきっと自覚していない。この姿がかなり似合ってるのだと分かっているから変態といわれても、カワイイからいいと思って特に怒ったりもしない。
雅等黄兄妹は自分たちの発言に怒るものだと思っていた、イヤ寧ろ。変態といったのは二人とも完璧確信犯でわざと怒らせようとしたのだが、泉坂兄妹の反応は二人が想像していたものとは全然違う。挙句の果てに一人は開き直った発言をし、雅等黄兄妹を驚かせた。
そんな驚いている雅等黄兄妹の心境を知ってか知らずか(きっと知っている)鼎は気にすることなく、要の手をとり教室を出て行った。
要が非難の言葉をあげる暇もなく、鼎はそそくさと靴箱のほうへ行ってしまった。
そんな二人の背中を唯呆然と見詰める雅等黄兄妹と睦と C組の人たち。
そして太陽と陽彩はしばらく、二人の背中を呆然と見ていたが、二人の背中が見えなくなると、今だ呆然としている人たちに気づかれないように
笑った
((アノ二人面白い))
同じことを考えて
笑った
ソレは新しい玩具を見つけた純粋な子供のような笑みだった。
太陽と陽彩が笑った事に 誰も気づかない