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転入生(鼎編)

時間は少しさかのぼる。2年B組。


「始めまして。雅等黄 陽彩です。よろしくお願いします」

  黒板の前で、雅等黄 太陽の双子の妹 雅等黄マサラキ 陽彩ヒイロは無表情のままそう言った。鼎は緊張で顔が強張っているのかと思ったが、良く見ると全然そんな様子はなく。本当に無表情であった。鼎はその様子に若干気になっていたが、正直陽彩のことは全く興味がないので、すぐに意識を別のものへと移した。

 

 

 陽彩は太陽とは違い、身長がかなり低い。鼎より数センチ低いくらいだ。しかしその顔は可愛らしく、まっすぐな艶のある黒髪を後で一つに結んでいる。兄同様かなり顔が整っているのだ。

顔や体格自体は太陽と大分違いがある。太陽が大人びた顔立ちなら、陽彩はその逆、幼い顔立ちだ。しかし正反対な顔立ちをしているものの、やはり双子なのか太陽と陽彩はどこか似たような雰囲気を醸し出していた。

 

 そんな陽彩の容姿に惚れる男子は、勿論いるわけで。女子もその小動物のような可愛らしさに、心打たれている様子だった。2-B組の殆どが陽彩を意識している。

 ただ一人鼎を除いては・・・。


 鼎の目線は陽彩に向けているものの、意識はこれから何をしようかな、等と全く別のものを考えている。そうやってボーっとしている鼎は誰かからの視線を感じて、ハッっとした。

その視線をたどると・・・・。陽彩がいた。目線は確実に鼎を捕らえており、その顔はさっきと同様無表情であった。そんな陽彩を鼎は訝しげに見ていたが、思い出した。



 あの始業式のときに感じた視線を、それは今陽彩が鼎に送っている視線と全く同じものであった。


(こいつかぁーあの視線の正体は・・・。てかなんだコイツ、無表情で感情読み取りにくいなぁ。こうゆう扱いにくい奴俺大嫌いなんだよなぁ。まぁ・・・・関わらないようにしよう、後々めんどくさそうな事になりそうだし・・・・)


そう考えると鼎は陽彩から視線を外し、窓の方へと向けた。でも陽彩は確実に鼎を目で捕らえている。

 鼎はそんな居心地の悪さに若干、眉を寄せた。

 

(何なんだよコイツ。いみわかんねぇ~、てか俺が女装してるから珍しくて、見ているのかと思ったけど、何か違うみたいだなぁ。無表情で気味悪いし。それにあんな風にずっと見てたら、喧嘩売ってる様にしか・・・・・てか、あれ?もしかしてワザと見てんのかぁ?アイツ。もしかしてワザと俺をムカつかせようとしてんのかぁ。)


 そう思い鼎は窓から陽彩へと視線を戻した。すると陽彩は鼎を馬鹿にしたようにフッっと笑ったのだ。

 (あぁ?何だよあいつ!むかつくなぁ!)

 

その様子に鼎は心底いらだっていたが、表面上にはまだ出していない。陽彩が自分をワザと挑発しているのだと気づいてから、尚更苛立っているのを陽彩に知られるわけにはいかないと考えたのだ。


 すると鼎は、フッと作り笑いを陽彩に向けると・・・・・・・

口パクで   「ブラコン」といったのだ。



陽彩は「ブラコン」っと言ってるのが分かったのか、表面上は相変わらず無表情だが若干青筋を浮かべていた。周りの人間はそれに気づいていないようだったが、鼎はソレが安易に分かった。



そして二人は暫くだれにも気づかれないように、睨みあい、火花を散らしていた。






お互いの第一印象は・・・・・・・





 「ムカツク奴」だった。



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