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不気味な転生  作者: ハイイ


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5/12

危険な任務?

歩道の外側の空気は、要塞の中よりも冷たく、そして澄んでいた。風が奥から吹き抜け、枯れ草や低木を揺らし、細かな摩擦音を立てる。その音を聞き続けると、何かが暗がりで動いているような錯覚に陥る。


アモンドの足取りは速いが、慌ててはいない。まるで「いつでも方向転換して逃げられる」リズムを意識しているかのようだ。マントは揺れ、時折、腿の横に装着された小型の弩、色味のあまり良くない矢が覗く。


「任務内容、覚えてるよね?」

彼女は振り返らずに言った。


「覚えてる。」

千里は刀を斜めに掛け、軽く答える。「巡回。生物を見つけたら倒すか追い払う。巣を見つけたら位置を確認する。何もなければ、散歩がてら帰って報酬をもらう」


「まとめ方がうまいな」

アモンドは鼻で笑った。「少なくとも、人の話を聞けるようね」


「散歩バイトみたいなもんだな」

千里は片手で刀を持ち、肩の力を抜いて言う。「こう聞くと危険でもなさそうだ、ハハ」


「余計な旗は立てるな」

アモンドは眉をひそめる。「毎回、楽勝だと思った瞬間に限って、ろくでもないことが起きるのよ」


最初の異常生物は、ごく自然に現れた。


枯れ木に張り付く小さなトカゲ状の生物で、背中には薄く透明な膜があり、毒液を噴出しそうだ。頭だけを覗かせ、こちらを“観察”している。


アモンドはほとんど止まらず、弩を構え、矢を放った。

弾は正確に生物の腹部に突き刺さる。生物は短く震え、もがいた後、すぐに動かなくなる。


千里はその光景を立ち尽くして見守る。


「悪くないな」

「当然だ」

アモンドは弩を戻し、低く警告する。「近づくな……煙が出てる。血液、腐食性があるみたい」


彼らは死体を避け、進み続ける。


二度目の遭遇は、半時間後。

三匹の五彩の狼のような生物が茂みをうろつく。アモンドは追い払うつもりだったが、一匹が彼らの存在に気付くと、一直線に加速、目的は明白だった。


千里が動いた。


余計な動作はなし、ただ一歩前へ。刀を下から上へ振り、切れ味は清々しく、角度も完璧。刃が肉を切り裂く感触はほとんど抵抗を感じず、湿った空気を斬るようだった。


生物は倒れ、残る二匹は後退し、視界から消えた。


アモンドは地面の残骸を二秒見つめ、千里を見た。


「動き、なかなか慣れてるね」

「追い込まれたからだ」

千里は刀を振るい、軽く言った。「痛みは色々教えてくれる」


彼らは進み続け、最後の巡回ポイントを回ると、遠くに要塞の輪郭が再び現れた。任務は理論上完了だ。

新たな巣はなく、異常生物も排除済み。高リスク個体もなし。空は夕暮れ色に傾き、風は少し冷たさを増す。


「帰ろう」

アモンドは記録板をしまう。「運が良かった。さあ報告に戻る」


千里は背伸びをし、骨が軽くきしむ音を立てる。


「初任務、思ったより楽だったな」

笑いながら言う。「披露するチャンスもほとんどなかった」


言い終わった瞬間、地面がわずかに揺れた。


「地震か?」

千里は反射的に訊ねる。


いや、それは地震ではない。地面が突然目覚め、寝返りを打ったような感覚。揺れは小さいが、低周波で骨まで伝わる圧迫感がある。


アモンドの顔から笑みは消えた。


「……止まれ」

声がさっきより低くなる。


千里も笑みを引っ込め、足を自然に緩める。下を見ると、砂利の間の細かな砂が微かに動き、下からかき混ぜられているかのようだった。


第二の揺れがすぐに来る。


今回はさらに明確だ。

茂みが揺れ、小型の異常生物が追われるように草むらから飛び出し、方向も構わず、ほとんど衝突しかける。


「これは地震じゃない」

千里は低く言う。「下に何かいる……」


「撤退」

アモンドは即断。「今だ」


二人はほぼ同時に振り向く。


第三の揺れは、一歩踏み出す前に起きた。


地面が沈む。


爆発ではなく、下層が失われるように急激に落ち、陥没穴が広がる。


アモンドの足が空を切り、体が滑る。反射的に手を伸ばすが――届かない。彼女は一瞬で埋まりかけた。


「いやあ!」

完全に埋まる直前の、恐怖に満ちた叫び。


「——アモンド!」

千里の叫びは、崩落する土石に半分飲み込まれた。


千里は考えず、身体が先に動いた。


膝を地面に打ち付け、破片で皮膚を裂きながら前に手を伸ばす――


つかんだ。


だが――掴んだ場所が悪い。


手首ではなく、指先。


「まずい、力がかけられない」

千里の顔が青ざめる。


これは「安全な掴み」ではない。救助のプロなら即座に判断する——このままでは、まず「指が滑る」か「二人とも落下する」。


陥没はまだ拡大中。千里は躊躇できない。全力でアモンドを掴み、指先は肉に食い込む。


一瞬で、肩が外れそうなほどの引力がかかる。アモンドは土中に沈み、千里も前に引きずられる。


「しっかり掴め!」

千里は叫ぶ。轟く地面の音に声は裂かれる。「俺がいる!緩めるな!」


「緩めてない!」

アモンドの声は震え、泣き声混じり。「指が千切れそう!!」


「なら落ちるな!」

千里は歯を食いしばり、断続的に叫ぶ。「今選べる策はこれしかない!」


「聞け!」

千里は吠える。「手首が出たらすぐにもう片方で掴め!」


「やりたいに決まってる!!」

アモンドの声が震える。「下が動いてる!何か近づいてる!!」


その一言で、千里の背筋が凍る。

通り過ぎるだけではない――

地下から、何かが地表へ出てこようとしている。


「下なんて気にするな!まだ間に合う!」

千里は全身の力で後ろへ体を押すように“ずらす”。少しずつ、アモンドを上へ。


肩の関節が限界まで押される感触が伝わる。


ついにアモンドの手首が土から現れ、千里は手首を掴んだ。


「よし!」

千里は笑いながら叫ぶ。「しっかり掴め!」


斜め後ろ、回転を伴った力で引く。救助としては粗野で優雅さはないが、効率的だ。


アモンドは半身だけ引き上げられ、その後は手足を使い、土を掻き分けて外へ。マントは土に捕まれ、動かせない。


「俺の――」

「諦めろ!」

千里は遮る。「あれはもう地下の世界のものだ!」


次の瞬間、土が沈み、マントごと小さな地表が黒暗に引き込まれる。跡形もなく消えた。


アモンドは一瞬固まる。顔が青ざめる。


「……これは屍織からもらったものだ」

「命の方が大事だ」

千里は息を切らせながら言う。「取りに戻りたいなら、勝手にやれ。俺は知らん」


アモンドの指が震える。咬み締めて向きを変え、千里に続いた。

「これ、元はいい値で売れたんだが……」と小声で呟く。


二人は土堆から這い上がり、なんとか安定した地面に立つ。

立ち直った瞬間、地面が鈍く響く。下から何かが押し上げてきた音だ。


次の瞬間、地表が轟然と裂け、大量の土と石が宙に舞う。

巨大な影が地下から飛び出した。

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