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完結済『勇者一行を捨てた王国を、金融商が契約で追い詰める 〜残価設定ローンで復讐しながら、魔王から勇者も救い出します〜』  作者: ほまれ


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第十九章 第七十九話 秩序の神、再臨

お読みいただきありがとうございます。

是非最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。

 白い光が、限界まで膨れ上がった。

 魔法陣の紋様が一斉に点灯し、

 線が面となり、面が柱となる。

 天井へ届く白柱。

 空気が、重くなる。

 音が消える。

 呼吸が浅くなる。

 神聖という概念が、質量を持ったようだった。

 聖杯が音もなく砕ける。

 中身だけが、上昇する。

 光が集まり、

 凝縮し、

 形を持つ。

 人の輪郭。

 だが、人ではない。

 白い衣。

 直線的な立ち姿。

 過不足のない造形。

 背後に浮かぶのは光輪ではなく、

 規則正しく並ぶ幾何学の環。

 顔に、感情はない。

「……千年か」

 静かな声だった。

「長いような、短いような時間だ」

 それだけで、空間が震える。

 秩序神コスモが、目を開いた。

 視線が流れる。

 全員を一度で把握する。

 評価ではない。

 分類だった。

 ネコルトが一歩前へ出る。

 礼ではなく、確認のための一歩。

「……あなたが」

「秩序神コスモで、間違いありませんか」

 白い視線が、ネコルトに止まる。

「その名で呼ばれていた存在だ」

「現在も、その定義に大きな差異はない」

 肯定でも誇示でもない。

 事実の提示だった。

 ネコルトは小さく頷いた。

 白い瞳が、静かに細められる。

 神聖な光が空間を満たし、息をすることすらためらわせる威圧が降りる。

 ネコルトがもう一歩進み、頭を軽く下げる。

 礼ではあるが、屈服ではない。

「……1000年ぶりの世界は、いかがですか」

 静かな問いだった。

 歓迎でも、皮肉でもない。

 ただ、相手の思考を測るための言葉。

 コスモの白い瞳が、ネコルトへ向く。

「印象では語らない」

「私は、記録と観測で判断する」

 一瞬の沈黙。

「千年、観測は続けていた」

「結論として、顕著な改善は見られない」

 ネコルトは、息を呑みながら静かに続ける。

「では、人類は……」

 空気が、さらに重くなる。

 コスモは、淡々と答える

 「処分する。

 「人類も魔族も獣人も、ある程度の知能を

  もつ生命体は全て対象だ」

 「争いは構造的に避けられない」

 その言葉を、フォードが受け止めた。

「それでも!」

 一歩、前に出る。

「いいところもある!」

 聖神剣を握る手に、力が入る。

「勇者と魔王と教皇が、一緒に戦った!」

「ありえなかった連中が、同じ方向を見たんだ!」

 コスモは、無表情のまま聞いている。

「戦いは、なくならないかもしれない!」

「でも、和解もできる!」

「俺たちは、それをやった!」

 ピサラが肩をすくめて前へ出る。

「正直、面倒だったけどね」

「でも共闘はできた」

 魔神剣を軽く回す。

「魔王と勇者が同じ敵を殴る日が来るなんて、

 千年前なら、あんたの計算にも入ってなかったでしょ」

 ライブが続く。

「知識は、積み上がる」

「失敗も、共有される」

「人は同じ過ちを繰り返すけど……」

「前よりは、ましになることもある」

 彼女の足元に魔法陣が静かに浮かぶ。

「全部を切り捨てるほど、単純じゃない」

 ナリアが一歩前へ出る。

 瞳が細くなる。

「種族も」

「思想も」

「血も」

 拳を握る。

「全部違っても、一緒に生きられる」

 低い声だった。

「毒竜王は、人を憎んでた」

「でも最後は、託した」

 胸に手を当てる。

「わたしは、その意志を継いでる」

「滅ぼすんじゃない」

「一緒に生きる方を選ぶ」

 静寂。

 コスモは、わずかに首を傾けた。

「あなた方の主張は理解できる」

「感情的ではあるが、事実に基づく部分もある」

 一度、全員を見渡す。

「勇者と魔王の共闘」

「宗教権力との協力」

「種族を越えた共存の意思」

「これらは、確かに千年前には観測されなかった事例だ」

 否定ではない。

 だが、肯定でもない。

「しかし」

「それが人類全体の傾向であると結論づけるには、証拠が不足している」

 淡々とした、判決文のような声音。

「だが、記録する価値はある」

 視線が、再び全員を一望する。

「止めるのか」

「力尽くで」

 表情は変わらない。

 フォードが即答する。

「やるに決まってるだろ!」

 ピサラが続く。

「無理だと思うけど、一応ね」

 クリフが槍を引く。

「止める」

 ライブが息を整える。

「計算は、戦いながら」

 ナリアが拳を鳴らす。

「殴れば、分かる」

 ダイアンが大楯を上げる。

「……守る」

 ミーニャが鋼糸を張る。

「ほどけるか、試す」

 ヘトルビースが爪を鳴らす。

「神でも、斬れるにゃ」

 ネコルトが小さく息を吐く。

「……どこまで出来るかですね」

 その横に、クエラが並ぶ。

「私も、戦う」

 コスモは、ほんのわずかだけ目を細めた。

「理解は、まだ及ばない」

「だが、無視するほど無価値でもない」

 一拍置く。

「観測は継続する」

「最終判断は、その結果をもって下す」

 白い光が、再び満ち始めた。

最後までお読みいただきありがとうございます。

いかがだったでしょうか。

ぜひ、感想やコメントをもらえたら嬉しいです。

また、おかまバー〈ゴールデン戦国〉の夜話 ― 推し義龍様と転生ママ ―も連載中です。

そちらもよろしかったらご一読ください。

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