第十八章 第七十四話 白の崩落
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空間が、静かに“軽く”なる。
さっきまで押し潰してきていた白が、
目に見えて減っていた。
天使はまだいる。
だが、壁ではない。
“群れ”に戻っている。
「……減った」
ナリアが低く呟く。
「減らしたにゃ」
ヘトルビースが爪を鳴らす。
ミーニャは指先の鋼糸を解きながら、小さく肩を回した。
「これなら、回せる」
白い軍勢の奥で、
六枚翼が揺れた。
ラファエル。
ウリエル。
初めて、
二体の大天使が“後退”した。
神殿騎士団の誰かが、息を呑む。
「……押してる?」
違う。
押してはいない。
だが。
止まった。
それだけで、戦場は変わる。
その空白へ、
重い一歩が踏み込んだ。
――ドン。
石床が沈む。
ダイアンだった。
左手に大楯。
右手に大槌。
どちらも“片手”。
巨躯が、壁のように前へ出る。
「……ここからは、通さない」
ラファエルの刃が降る。
白い羽根の雨。
大楯が受ける。
砕けない。
弾かない。
受け止める。
横からウリエルの翼刃。
空気ごと裂く斬撃。
大槌が振り上がる。
防ぐのではない。
軌道をずらす。
左右の大天使が、同時に止まった。
その背後で、
ライブが静かに指を動かす。
「強化、三層」
「付与、展開」
「反射、薄膜」
補助の光が、ダイアンの筋肉に沈む。
大楯の縁が淡く輝く。
大槌の柄が、脈打つ。
さらに。
宙に、白い剣が浮かぶ。
「補助だけじゃないよ」
護符剣が、ラファエルの翼に突き刺さる。
再生が、わずかに鈍る。
ライブが、ちらりと笑った。
「天才を、舐めないで」
空間が、整う。
前は盾。
横は補助。
後ろは――
クリフが、槍を引いた。
闘気の膜。
呼吸。
視線。
何も変わらない。
だが、
全部が揃っている。
「……道はできた」
ダイアンが半歩沈む。
ライブの光が脈打つ。
クリフが踏み込む。
「俺が行く」
穂先に闘気が集中する。
白い外殻の奥。
神聖力の芯。
「支えてくれんなら」
一閃。
「百で出せる」
槍が、ラファエルの胸を貫き、
返す動きでウリエルの核へ届く。
音が遅れて割れた。
白い巨体が、同時に崩れる。
ダイアンが短く呟く。
「……通った」
ライブが息を吐く。
「当然でしょ」
クリフは振り向かない。
「まだいる」
「全部、落とす」
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また、おかまバー〈ゴールデン戦国〉の夜話 ― 推し義龍様と転生ママ ―も連載中です。
そちらもよろしかったらご一読ください。




