表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結済『勇者一行を捨てた王国を、金融商が契約で追い詰める 〜残価設定ローンで復讐しながら、魔王から勇者も救い出します〜』  作者: ほまれ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/84

第十八章 第七十三話 反転する戦場

お読みいただきありがとうございます。

是非最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。

 最初に空気が変わったのは、外周だった。

 ナリアが、足を止める。

 拳ではない。

 呼吸でもない。

 背骨が、きしんだ。

 肩口から鱗が浮き、

 頬に角が伸び、

 背中の気配が膨れ上がる。

 半身だけの龍化。

 人の輪郭を残したまま、

 “龍である意味”だけを前面に押し出す。

「――退いて」

 低い声。

 ミーニャとヘトルビースが即座に横へ跳ぶ。

 ナリアが、息を吸う。

 肺ではない。

 存在が、空気を吸い込む。

 喉の奥で、紫と蒼の光が渦を巻いた。

「はぁぁあああっ!!」

 吐き出されたのは、

 毒炎のブレス。

 だが、ただの毒でも炎でもない。

 その表層に、龍気が絡みついている。

 白い天使の群れを、

 奔流が飲み込んだ。

 焼く。

 溶かす。

 そして――“削る”。

 外殻だけではない。

 神聖力の流れそのものが、

 炎に削り取られていく。

 再生が、止まる。

 白い翼が、音もなく崩れ落ちた。

「……通る!」

 ナリアの瞳が、縦に細く光る。

 ブレスは一直線ではない。

 龍気を帯びた炎が、蛇のようにうねり、

 二列、三列と天使を巻き込んでいく。

 空間に空白が生まれる。

 ナリアの毒炎が白い軍勢を焼き裂いた直後。

「行くにゃ!」

 ヘトルビースの爪が、深く地面を抉る。

 ただの構えではない。

 爪の周囲に、黒紫の気配が集まっていく。

 魔力と闘気を無理やり噛み合わせた、

 彼女が編み出した即席の戦闘術――魔闘気。

 爪が、唸った。

「裂けるにゃあッ!」

 振り抜いた瞬間、

 爪そのものではなく、

 空気が斬れた。

 三日月状の黒い斬撃が、

 地面すれすれを滑るように飛ぶ。

 白い天使の胴が、

 触れた瞬間に断たれた。

 肉ではない。

 外殻でもない。

 内側の“流れ”ごと切り裂く一閃。

 再生が、追いつかない。

 もう一振り。

 今度は縦。

 交差する二本の斬撃が、

 群れの中心を十字に裂く。

「遠くも届くにゃ……!」

 自分でも一瞬驚いた声。

 だが止まらない。

 ナリアの龍気ブレスで弱った天使に、

 魔闘気の斬撃が突き刺さる。

 焼かれ、

 ほどかれ、

 斬り飛ばされる。

 三方向からの破壊。

 そこへ、ミーニャの鋼糸が走る。

 ミーニャの指が、空を撫でた。

 何もないはずの空間に、

 細い鋼糸が幾重にも走る。

 絡めるのではない。

 縛るのでもない。

 ――編み目を探している。

「……見える」

 天使の群れの背後。

 空間そのものに、うっすらと“継ぎ目”が浮かぶ。

 力の流れ。

 再生の経路。

 光と肉を結びつけている、見えない糸。

「忍法――虚織」

 指を、軽く閉じる。

 斬ったのは天使ではない。

 空間の“縫い目”だった。

 音が消える。

 次の瞬間、

 半径十数歩の空間が、静かにほどけた。

 翼が落ちる。

 光輪が崩れる。

 肉体が再生しない。

 そこにあったはずの“繋がり”だけが、

 消えていた。

 ナリアの炎も、

 ヘトルビースの斬撃も、

 届かなかった天使たちが、

 糸を切られた操り人形のように崩れ落ちる。

「……空間ごと、ほどいたにゃ……?」

 ヘトルビースが呟く。

 ミーニャは小さく息を吐く。

「ほどいたっていうか……」

「“結び直させない”だけ」

最後までお読みいただきありがとうございます。

いかがだったでしょうか。

ぜひ、感想やコメントをもらえたら嬉しいです。

また、おかまバー〈ゴールデン戦国〉の夜話 ― 推し義龍様と転生ママ ―も連載中です。

そちらもよろしかったらご一読ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ